映画「遙かなる大地へ」あらすじ,ネタバレ,レビュー

　1800年代後期のアイルランド･ダブリン。

　いつか自分の土地を得る事を夢見る小作人の若者ジョセフ・ドネリーは高利で土地を貸す大地主のダニエル・クリスティーのせいで父親を失った。ダニエルは余りにも高利な事で小作人たちから嫌われていたのだ。ジョセフはダニエルを殺して父親の敵を討つために古めかしい銃とロバを連れてダニエルの住む土地へと旅立った。

　道の途中で酒場を訪れたジョセフは思いがけずにダニエルと会う事となった。酒を奢ってくれたダニエルに対して大いなる悪意は感じなかったジョセフであった。だが夜更けに家に帰るダニエルに気付かれないように銃口を向けるジョセフ。だが引き金を引いた事のなかった彼は出来なかった。

　ダニエルの後をつけたジョセフは彼の立派な屋敷の馬小屋で一晩を明かした。そこへ思いがけずダニエルの娘シャノンが馬に乗って現れ、馬小屋に入れようとしに来た。隠れるジョセフだったがシャノンに見つかり、足に怪我を負う。そしてシャノンは出て行き大声で家族を呼んだ。出てきたダニエルに再び銃口を向けるジョセフ。だが銃は暴発してジョセフ自身が怪我を負ってしまう。

　ダニエルを狙った罰として、クリスティー家の土地を管理しシャノンに思いを寄せるスティーヴンと決闘を行うために手厚く休まされたジョセフ。休んでいる部屋は2階、部屋の外側から鍵がかかっている。と、その部屋の窓にハシゴがかけられイキナリ部屋に入ってくるシャノン。彼女は母親のノーラたちが行っている社交界の場がとても退屈でタダで土地をもらえるチャンスのあるアメリカに行く事を夢見ていた。その”資金”として部屋にある”銀のスプーン”を取りに来たのだった。また、興味のあった男性器を覗いてしまうシャノンであった。

　ジョセフとスティーヴンの決闘の朝。濃霧が立ちこめる野原に2人は立った。が、そこに荷馬車に乗ったシャノンが現れてジョセフを拾い上げた。彼女は一緒に船でアメリカに行こうと言ったのだ。呆気にとられるシャノンの父母やスティーヴンがいた。

　船はあっという間にアメリカ･ボストンに着いた。お互い気になるがそれぞれの道を行こうとしたが、状況的に一緒に行く事になるジョセフとシャノン。アメリカの土地柄、貴婦人は好まれない。だから良い身なりではないジョセフはシャノンを妹として連れて行く事にした。

　そんなジョセフは”賭けボクシング”での強さから売春宿を経営するケリーに気に入られて売春宿の1部屋を2人で借りる事ができた。お金がないジョセフとシャノン。シャノンはニワトリの捌き、そしてジョセフは毎日の賭けボクシングで金を稼いだ。金になるボクシングで稼ぎ身なりも良くなっていくジョセフ。だがある試合で気高いシャノンが自分を殺して下着姿のダンサーとして働き、彼女に茶々が入ったことで怒ったジョセフ。気を取られて試合には負け、ケリーの売春宿から追い出されてしまう。

　ダブリンでは小作人たちが一揆を起こしダニエルの家は灰と化した。シャノンの事も気になったクリスティー家とスティーヴンはアメリカへと向かったのだった。シャノンを探すスティーヴンに気付くジョセフだった。

　追い出されたジョセフとシャノンは着の身着のままで数日間食料無しに過ごしたがタメに、とうとう空き巣に入ってしまう。そこでお互いを思いキスを交わす2人。だが家の人が帰ってきて逃げ出した2人だったがシャノンが銃で撃たれてしまった。金のないジョセフには何も出来ない。それを知っていたジョセフは、シャノンをスティーヴンのところへ連れて行くのだった。

　それから8ヶ月。ジョセフは鉄道を引く仕事に就いていたのだが、”土地がもらえるチャンス”を忘れてはいなかった。ジョセフは仕事を辞め西へと向かった。そこには傷の癒えたシャノンがいた。スティーヴンに愛されながらもジョセフへの思いを忘れられないシャノン。

　1893年。その土地で、幾つかの区画に分けられた土地に”ヨーイドン”で向かって一番先に旗を立てればその土地が自分のものになるというレースが行われる事となった。参加者は皆、馬で行く。普通の馬乗り、帆馬車、荷馬車などが集まった。ジョセフは仕付けられていない暴れ馬で行くハメになった。またシャノンはスティーヴンと共にそれぞれ馬に乗って行く事に。

　スタートの砲撃が鳴った。それぞれが夢見た土地を手に入れるために馬を走らす。ジョセフは最初は苦戦しながらも暴れ馬を上手に操り急ぐ。そしてシャノンはスティーヴンを振りジョセフへの思いを貫き、2人の土地を手に入れるのであった。