映画「ブルゴーニュで会いましょう」あらすじ,ネタバレ,レビュー
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あらすじ
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フランス・ブルゴーニュ地方でワイナリーを経営する老父フランソワ。経営に行き詰まり負債が雪だるま式に増えて、ついには買収の話まで出てしまう。7日間以内に経営改善案を立てなければ手放さなければならない…。
それを聞いたフランソワの息子シャリル。彼はソリの合わない父の元から離れ、パリで著名なワイン評論家になっていた。シャリルが評価すれば、そのワインは飛ぶような売れ行きとなる。そのシャリルが実家に戻り、取り敢えず経営に参画することになった。この事で、負債は1年間だけ返済の猶予を与えられる。
反目するフランソワとシャリルが手を携えるワケではなかった。フランソワはワイン造りへの興味が失せているよう。一方、シャリルは利きワインは出来るが、ワイン造りに関しては素人だ。そこでシャリルは、フランソワと一緒に住みワイン造りをしてきた妹マリー、義弟マルコと共に“昔なりの方法”で、ワイン造りにアプローチをしていくのだが…。
フランスを代表する名優ジェラール・ランヴァンと、「ヒューマン・リソース」など出演だけに止まらず「イヴ・サンローラン」などの監督としても知られるジャリル・レスペールが共演した、“ワイン造り”を物語の幹としながら、求める果実は“親子の物語”という本作。
メガホンをとったのは本作の完成まで4年を費やしたと言われるジェローム・ル・メール監督。ちなみに監督インタビューにこうある。
“この物語が生まれる種を見つけたのは2006年に遡り、2012年に脚本を執筆し、2015年に作品が公開された。”
正に本作はワイン造りのようだ!
非常に良く出来た人間ドラマは、それぞれ掘り下げられた多くのキャストによって紡がれている。余り“必見”という言葉は使わないのだが、本作には高らかに宣言しよう、必見だと。
11月19日(土)、Bunkamura ル・シネマほか全国ロードショー!公開劇場は9月30日現在、12の劇場しか公式サイトに記載がないが、是非とも盛り上げて公開規模を増やしていければ…思っている作品だ。みなさん、「ブルゴーニュで会いましょう」公式Twitterに“観たい!”と、是非呟いてみて下さい!
なお、公式サイトのファーストビューは主人公2人と一面のブドウ畑が広がるデザインで感嘆してしまった!是非一度訪れてみて下さい、詳細なキャスト情報など盛り沢山だから…。
配給:クロック・ワークス、アルバトロス・フィルム
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ストーリー・ネタバレ
フランス・パリ。
一人の男の前には産地や生産者が分からないように、数字だけ貼られたワインボトルが所狭しと広げられた。この男は1本1本コルクを抜いては、匂いを嗅ぎ、口に含み、ある時は喉に通し、口に残ったワインは吐き出す。この様にしてワインに点数を付け、味などの評価も口にする。この男の職業はワイン評論家。それも、その評価がワインの売り上げに大きな影響を及ぼす程の著名な評論家。名前をシャリル・マレシャルという。
シャリルはブルゴーニュ地方にあるワイナリー“ドメーヌ・マレシャル”を営むフランソワの息子だ。父との折り合いが悪く、若い内に実家から出て行ってしまったのだ。この“折り合いが悪い”と言うのは要約すると、フランソワの人格が宜しくないと言える。シャリル以外にもマリーともう一人の娘がいるが、家に残ったのはマリーだけ。マリーは夫のマルコと共に父のワイナリーを手伝っているが、フランソワの言動はなかなかどうして…。
パリに出たシャリルは、チャンスを掴みワイン評論家となったのだ。彼には秘書的な役割の女性セシルがいて、パリでの生活は公私ともに順風満帆であった。そんなシャリルに、妹のマリーから連絡が入ったのだ、ワイナリーがピンチだと。
フランソワの経営するワイナリーは3年間で3万本というワインの在庫を抱えて、負債がとてつもなく大きくなっていた。銀行からは債務整理のためにワイナリーを手放すように言われているのだ。ワイナリーの買収に名乗り出たのが日本人と、フランソワのライバルとも言える隣家のワイナリー経営者の女性エディットだったのだ。銀行からは、ワイナリーを再建できる“キチンとした”責任者を提示すれば1年は借金返済を待ち、買収も待ってくれるという。
フランソワはまさかエディットが買収に名乗り出ているとは知らず彼女の家へと向かったのだが、エディットにこう言われてしまう。
エディット:あなたにはもうワインは作れない。イヤなら行動しなさい。本当に失うわよ。
しかしフランソワには頼る相手などいないし、何より自分の手でワイン造りをしたいと今までやって来たのだ。ましてや飛び出した息子シャリルを頼ることなど頭をよぎらない。こんな状況になったためにマリーが兄シャリルに電話したのだ。シャリルはちょうど自身のワイン批評を記述した本の出版パーティのあと。急いでブルゴーニュの実家へと戻った。
父フランソワに会ったシャリル。
シャリル:変わらないな。
父はこう言った。
フランソワ:変わる必要があるか?
シャリルにとっては父親は相変わらず“一緒にいたくない”相手。直ぐにこの場を後にするとレストランに行き、連絡をくれた妹マリーと会うシャリル。電話ではなく面と向かって“ドメーヌ・マレシャル”の売却を口にされた。だがマリーは兄にこうも頼んだ。
マリー:コネで売って、偶に来て手伝って。
しかしマリーにとって色よい返事は聞かれなかった。
マリー:兄さんは、最低のエゴイストよ!
フランソワが“ドメーヌ・マレシャル”で作業をする中、シャリルは高級車でパリへと戻っていった…。
シャリルの家。引っ越してきて既に半年が経つのに荷解を終えていないシャリル。恋人関係にある秘書セシルがやって来ると、この事について突っ込むもののシャリルは直ぐに帰れと言い放った。セシルはこう言ってシャリルから距離を置いた。
セシル:振り回されるのはウンザリ。距離を置くわ。
自分の勝手で人を振り回すところは父親に似たのであろう、シャリルは。シャリルは父親フランソワと仲が悪いが、フランソワもまた彼の父親とは仲が悪かった。シャリルは子供の頃、祖父から教わったワインの知識を思い出すと、実家へと再び車を走らせた。そして、“1週間以内に責任者を”というギリギリのリミットの時に、管財人の前に父と座ったシャリル。責任者として書類に署名をし、ワイナリー“ドメーヌ・マレシャル”の再建に尽くすことになった。
責任者としてサインをしたものの、ワイン評論家と掛け持ちをしようと考えていたシャリルに父親はこう言った。
フランソワ:片手間では出来ない。口出しはしない。好きにやれ。
ワイン造りに関しては素人のシャリルは父親に手伝ってくれるように頼むが、
フランソワ:畑への興味は失せた。
と言って、これからは長年趣味としてきたボート造りだけを行うようになる。と、この時、シャリルの学生時代の同級生ブランシュが訪ねてきた。彼女は結婚すると言うことを口にした。このブランシュとは、フランソワのワイナリーを買収しようとしたエディット・モービュイソンの一人娘ブランシュ・モービュイソンである。彼女がやがて訪れるシャリルのピンチに…。
広大なブドウ畑の真ん中でブランシュとアメリカ人男性クリストファーの結婚式が開かれた。大勢の人が2人の門出を祝い、そこにはフランソワやシャリルも参加している。ブランシュに祝福の拍手を送るシャリルだが、その顔はどこか寂しげに見えた…。
隣りあうマレシャル家の“ドメーヌ・マレシャル”とモービュイソン家の“ドメーヌ・モービュイソンは、次のブドウ収穫、醸造のために今シーズン出来る限りを尽くしている。”
ある時、シャリルは資金確保と場所の確保もあり、3年分3万本のワインをどうにかしようと、コネのあるボルドー地方のワインメーカーを呼んだ。しかし普段協力もしないフランソワが現れて男たちを怒らせると、商談はご破算となってしまう。再び趣味のボート磨きにかかった父親に文句を言うシャリル。しかし、
フランソワ:当主はオレ。倒産したって好きなことをやる。
と言われてしまう。父親フランソワの真意とは!?
[ストーリーは導入のみ]
・モービュイソン家では、当主エディットの期待に応えられないクリストファーがアメリカへ…
・ブドウの収穫が終わったらクリストファーを追うと言うブランシュだが…
・意外にも最新の手法ではなく、古代からの手法に勝機を見つけるシャリル、その方法とは!?
・ドメーヌ・モービュイソンは毎年素晴らしいワインを造り上げ、評論家であるシャリルも評価している、ならば…
・ブドウ収穫の時期が来たときフランソワを先頭に地域の人が集まるが、シャリルは…!?
そして、“リコリス”を感じられた時…
・そして、フランソワとシャリルという反りの合わない親子が今シーズン収穫するのは他でもない“情”
・頑固じいさんフランソワの不器用な“父性”に注目!
・不器用なのは息子シャリルも同じ。父親に求めるべきものを祖父との間で“経験”した。これと同じように9歳の少年ティボーとフランソワの微笑ましいシーンが!
・ワインというお酒がストーリーの中心だが、別にアルコールに溺れる人たちは出てこない。アルコール依存で飲まなくなって丸12年が経ったtoikunも問題なく鑑賞することが出来た。
・中心はワインだが、その幹からは様々な人間関係という枝が出ている、それぞれに要注目!
・お酒が飲める方は、本作を劇場で観た後に、是非ワインバーへと足を運んでみて下さい。何時もより美味しいワインが飲めるでしょう☆
レビュー・感想・解説・評価
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少々多忙につき27日に観た作品のアップが本日10月の一日となってしまった。この“日”は12年前にtoikunがアルコールを止めて丸12年が過ぎて13年目に突入した日。その日にワインの映画を語るのもまた一興。
ワイン映画と言えばアラン・リックマンが出演していた「ボトル・ドリーム カリフォルニアワインの奇跡」なんてアメリカ映画を思い出すが、本作は真面目なドラマであり、ロマンスも素敵に描かれる。
監督にジェローム・ル・グリのペンネームで短編をいくつか製作したジェローム・ル・メール。初の長編映画『Requiem pour une tueuse(原題)』は現在日本語に訳されたソフトは出ていない。それから4年という長い歳月が経ち、本作が完成!
キャストを紹介with資料からのインタビューなどを交えて…。
・頑固じいさんを演じるのはジェラール・ランヴァン。ル・メール監督はランヴァンをイメージして役を書いたそうだ。30年前から田舎に住んでいるランヴァンだが、ブドウ栽培者やブルゴーニュの人たちと特に親しくしているわけではないと話す。
・息子シャリルに扮するは監督としても活躍するジャリル・レスペール。ワイン評論家の役であるがワインの世界は全く知らなかったと答えるレスペール。また司法でのキャリア、実際は社会学と哲学の道に進み、稼げないからと法律を学んだそう。本作の役柄に重なるものがあったのかもしれない。
・ブランシュを演じたアリス・タグリオーニは「ナイト・オブ・ザ・スカイ」、「プレイ-獲物-」などに出演。アリスの叔父はワイン専門科だそうだ。そして彼女にとってボルドーよりもブルゴーニュの方がお気に入りの産地、ほぉ!そして役の準備のために実際に女性ワイン醸造家に会った事も語ったアリス。
・妹のマリーを演じたのはローラ・スメット。「イヴ・サンローラン」や「石の微笑」など。撮影前はガストロノミー(美食学)の世界については全く知らなかったと語るローラ。ル・メール監督が研修を準備してくれて学び、また女性シェフに捧げられたドキュメンタリーも観て、それから“女性としての態度を示さなければ”など教訓を得たそうだ。
なお、上記の資料からの記述は、公開が近づけば全て公式サイトに載ると思われるので、楽しみに“日参”して欲しい☆
さて。
頑固&不器用なじいさんの物語というと、先日に12月公開のスウェーデン映画「幸せなひとりぼっち」を鑑賞して、余りの傑作に10点満点を点けてしまったのだが、本作には7点という評点を付けたが「幸せなひとりぼっち」に負けず劣らない良作だ。
良いだの悪いだのは誰でも書けるので、ここでワインジャーナリストの山本昭彦氏のお言葉を資料から。“保守的なブルギニヨンはアウトサイダーを嫌う。マレシャルのドメーヌ売却話で、日本の銀行が登場するのは、そうした事情を暗に批判している。”
これ、ハリウッド系映画によくある、ただ単に金持ち日本批判かと思っていたけど、こう言う意図があるとは…。その道のプロの批評ほど読んで楽しいものはない。
toikunの感想的なものをあと少しだけ。飛び出した息子がこうも簡単に戻ってくる、まぁ一度は追い返されるとか怒って出て行くという描写があるのだが、そこに若干の違和感は持った。
それと山本氏のブルギニヨンという言葉は“ブルゴーニュの人々”とtoikunは捉えたが、劇中で描かれるもう一つの保守性=アメリカ人クリストファーがああ言う結果になるのも、その閉鎖性が大きく関与しているのだろう。
さぁ宣伝文句を言っちゃうゾ!まぁ重複となるんだけど、沢山の人々が出てきてそれぞれ相対してその中に光るドラマが生まれる。どれも見逃すには惜しい…変な英語で表すと、シーケンシャル・オムニバス…?…と、本作はオムニバス映画ではないのでお間違いなく。
是非、劇場で楽しんだら「ブルゴーニュで会いましょう」公式Twitterに感想を挙げよう!モチロン、T's Theaterにもドウゾ!
本作を観たお客さんの笑顔を想像すると、11月19日公開が非常に待ち遠しい!
2016/10/01
by toikun.
『映画ファン』さんのレビュー・評価
投稿日時:20??/??/?? 15:59:46
4点/10点満点中★★★★☆☆☆☆☆☆
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