映画「ギャング・オブ・ニューヨーク」あらすじ,ネタバレ,レビュー
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あらすじ
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ギャング団の父は対立するギャング団との戦いで死んだ。16年後ニューヨークに戻った息子は父を殺したギャング団に入団。素性を知らないボスに気に入られてボスの側近になる息子。やがて父の敵を討つべく息子は…。
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説明:
ストーリー・ネタバレ
アメリカ、ニューヨーク州ニューヨーク。それは運のある人に微笑み、運の無い人には冷たくあたる街…。ギャング団ネイティヴズ(aka ネイティヴ・アメリカンズ)を率いるウィリアム・“ビル・ザ・ブッチャー”・カッティング。彼らは移民、特にアイルランド移民たちを嫌っていた。方やギャング団デッド・ラビッツを率いるヴァロン神父はアイルランド移民。雌雄を決すべく2つのギャング団は対決。ザ・ブッチャーの手によりヴァロン神父は倒れた。それを見ていた神父の幼い男の子が神父の亡骸を抱いた。時に1948年の出来事であった…。
16年後。
ニューヨークのブラックウェル島にあったヘルゲート少年院で幼き時を過ごしてきた青年アムステルダム。彼はヴァロン神父の忘れ形見である。アムステルダムが久しぶりに街に出ると人々はいきり立っていた、南北戦争の戦禍がこの街にも迫りそうだったのだ。徴兵制を導入した大統領リンカーンに反対する人々も多数いた…。
アムステルダムが廃屋にいるとき2人の青年に襲われた。白人のジョニーと黒人のジミーである。ジョニーはアムステルダムのことを知っていた。ヴァロン神父の死に際してジョニーはアムステルダムの事を助けようとしたのだ。その事を口にするとアムステルダムも思い出した。少年院での身の上を話すアムステルダムと街の有力ギャング団の事を話すジョニーは直ぐに打ち解け友人となった。そんな2人に綺麗な女性ジェニー・エヴァディーンがぶつかってきた。親しげに話すジェニーとジョニー。だがジェニーは女スリ師。ジョニーの時計をスッて逃げていった。これがアムステルダムとジェニーの初対面となった。
この荒んだ住民の心を癒すのは時たま起こる火事であった。住民たちはソレを見ては溜飲を下げるのだがアムステルダムはジョニーと組んで火事場泥棒を行っていた。だが今回は些か上手くは行かずジョニーが焼け死にそうになった。アムステルダムは身の危険を顧みずに助けるのであった。
火事場で盗んだ金品が全て若者たちの取り分になるわけではなかった。ギャング団への上納とかこつけて毟り取る地位のある若者、昔はヴァロン神父のギャング団の一員だった警官のハッピー・ジャック…。
そんなジョニーとアムステルダムが街を仕切るギャング団の一つネイティヴズのリーダー、ザ・ブッチャーの所に上納の為にやって来た。アムステルダムにとっては父の敵、顔を合わせようとしない彼だったがそれを知らないザ・ブッチャーがアムステルダムを近くに寄せた。アムステルダムがジョニーを火事場で助けたところを見ていたザ・ブッチャーは、それで一目置いたのかも知れない。そして2人に検疫されている船に忍び込んで金品を盗むように命じた。
夜。停泊する船に忍び込んだアムステルダム、ジョニー、そして仲間達。だが一足遅くライバルに金品を盗られていて乗員は皆殺しであった。仕方が無く彼らは“死体を売って”稼いでザ・ブッチャーへの金を工面。そしてそれを渡しに言ったのだがザ・ブッチャーの仲間マグロインに難癖付けられ喧嘩になるアムステルダム。その喧嘩に勝ったアムステルダムに更に“惚れる”ザ・ブッチャーは外をアムステルダムと2人で歩くと彼の身の上話を聞くのであった。
徴兵制のことを考えていたアムステルダムが女スリ師ジェニーに街中で会った。警戒するアムステルダムだがジェニーにとってはお茶の子さいさい、くすねた首掛けメダルを持って逃げ去るジェニーをアムステルダムは追いかけた。そしてソレを取り返すとジェニーを散歩に誘ったアムステルダムであった。その時は何もなかったが…。
その後ザ・ブッチャーと歩いているアムステルダムが目を留めた男、それは父ヴァロン神父と共に戦ってくれたモンクだった。微かにモンクの事を覚えているアムステルダム。モンクはというとアムステルダムが少年院から出てから陰ながら気に留めていた…。
力をひけらかそうとするザ・ブッチャー。住民の溜飲を更に下げる為に“重罪人”を作り彼らを処刑させた…。
牧師主催のダンスパーティーが開かれた。そこの“主役”に選ばれたジェニーは来ていたアムステルダムをダンスパートナーに選んだ。彼女に惚れていたジョニーは選ばれることなく…。その後、良い関係になりアムステルダムとジェニーは身体の関係を…それも途中で終わった。ジェニーがザ・ブッチャーとも関係を持っていることを知ったアムステルダムは抱かなかった…。
とある芝居小屋。鑑賞していたザ・ブッチャーが暴漢に狙撃された。一緒にいたアムステルダムが取り押さえた。痛みで怒り狂ったザ・ブッチャーは暴漢を…。そしてアムステルダムに帽子を取り丁寧に礼をするのであった。アムステルダムもまた帽子を取り礼を返した。その後やって来たモンクは、ザ・ブッチャーの手下に成り下がったアムステルダムを問い詰める。“お前の父は頭は悪かったが同胞アイルランド人を思っていた”と…。
ザ・ブッチャーは傷を癒す日々。本当に気に入られたアムステルダムはザ・ブッチャーと共に酒、そして麻薬を楽しんでいた。傷の手当てをする為に来ていた女スリ師ジェニー。成り行きからかそれぞれの思いからか身体を重ねるアムステルダムとジェニー。ソレを見ていたジョニーだった。
ジョニーはその後、ザ・ブッチャーに会いアムステルダムの正体を明かした。“ヴァロン神父の息子、アムステルダム・ヴァロン”だと…。
舞踏会場。ナイフ投げの催しを見せようとするザ・ブッチャーはその相手としてジェニーを指名。彼女目掛けてナイフを投げる。ジェニーは元より客席のアムステルダムは固唾を呑む!無傷ではなかったがその“催し”も終わりザ・ブッチャーが毎年行うライバル、ヴァロン神父の追悼…そこで鬼気迫るアムステルダムはナイフをザ・ブッチャーに向かって投げた!だがザ・ブッチャーはソレを防ぎ逆にアムステルダムの土手っ腹にナイフが突き刺さった!命を狙った見せしめに息絶え絶えのアムステルダムのとどめを刺さなかったザ・ブッチャーだった。
アムステルダムを助けたのはジェニーだった。医者や神父を呼ぶなど必死の看病をした。そして幾分か快方に向かったところアムステルダムをモンクが訪ねた。そしてヴァロン神父の遺品である剃刀を渡すのであった…。
完全に傷の癒えたアムステルダムはまず始めに“死んだウサギ”を皆に分かるように吊した。“デッド・ラビッツ”再興である。ザ・ブッチャーは警官ハッピー・ジャックをアムステルダムの元に差し向けた。だがアムステルダムは逆にハッピー・ジャックをもその意図が分かるように吊した。
その後、友人や過去デッド・ラビッツに関わった人達がアムステルダムの周りに集まり“真に”デッド・ラビッツは再興した。ジョニーはこの時に自身の裏切りをアムステルダムに謝罪するが拒絶される。ジョニーを“使える”と判断したザ・ブッチャーはジョニーを半殺しに…。ジョニーを見つけたアムステルダムは自分の手で拳銃の引き金を引くのであった…。
モンクに言われたとおり頭を使おうとしたアムステルダム。デッド・ラビッツとしての人気が彼にはあるのだ。人気を更なるものにする為に権力が欲しい。アムステルダムはモンクを選挙で推したのだ。アムステルダムの人気により当選するモンクであったが、ソレを良しと思わないザ・ブッチャーの手により倒れるモンクであった。
結末・ラスト
近々、南北戦争への従軍、徴兵が行われようとしている。きっと市民の暴動が起こる。“彼ら”はその暴動に乗じて相対することを決めた。
そして徴兵される人々が選ばれる日。案の定、市民暴動が起こる。政府は武力で鎮圧しようとする。そこにアムステルダム率いるデッド・ラビッツ、ザ・ブッチャー率いるネイティヴズが武器を持ち向かい合った!船からの砲撃があり混乱する場であったがアムステルダムは父ヴァロン神父の敵を討つのであった。
アムステルダムが葬った仲間の墓標を臨む丘から見える景色は、やがて“薔薇色”に…。
レビュー・感想・解説・評価
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Herbert Asbury(ハーバード・アズベリー)の同名小説を元にしたクライム・ドラマ。受賞はならなかったがアカデミー賞には作品賞を始め10部門にノミネートするなど高い評価を受けた作品。
メガホンを取るは、その長い経歴の中で度々アカデミー賞にノミネートされながら受賞は「ディパーテッド」での監督賞のみ(2016年1月時点)のマーティン・スコセッシ。ノミネートを全部挙げたらキリがないので止めますが…スコセッシに関して最近レビューしたのは「グリフターズ/詐欺師たち」(製作)、そして自身が出演した問題作(と言ってしまうと更に問題…)「真実の瞬間(とき)」。あの日のアカデミー賞授賞式、もう一度見てみたい。
以下、挙げるべきキャストを…。
・アイルランド移民の子供を演じるのは大スターレオナルド・ディカプリオ。「ギルバート・グレイプ」(助演賞)、「アビエイター」(主演賞)、「ブラッド・ダイヤモンド」(主演賞)、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(作品賞・主演賞)、「レヴェナント:蘇えりし者」(主演賞)でオスカーノミネート。受賞、なりますかね!?「クリッター3」、「ザ・ビーチ」、「あのころ僕らは」そして実在の詩人を演じた「太陽と月に背いて」など。
・とても特徴的なギャングのボスを演じてアカデミー賞にノミネートしたのはダニエル・デイ=ルイス。「マイ・レフトフット」、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」、「リンカーン」で史上初めて3度のアカデミー主演男優賞を得た男になった名優。他に「父の祈りを」でもオスカーにノミネートしている。
・今作のヒロイン女スリ師を演じるのはキャメロン・ディアス。“コミカルな役ばかり!”等と批判しかしていないようなtoikun。いざ、今作の様なシリアスになったら…だなぁ。ジョニー・デップ主演の「ラスベガスをやっつけろ」はチョイ役だったし、toikunには作品の意図が見えなかった…。「チャーリーズ・エンジェル」、「チャーリーズ・エンジェル フルスロットル」は“合っていた”。
・「シカゴ」のオスカーノミニーであり特徴的な“脇役”ジョン・C・ライリーは敵方についた警官役。「デイズ・オブ・サンダー」、「ギルバート・グレイプ」など。
・アムステルダムを見守る男にアイリッシュ、ブレンダン・グリーソン。「遙かなる大地へ」、「マイケル・コリンズ」、「M:I-2」、「テイラー・オブ・パナマ」など。
・アムステルダムの友人に「E・T」のヘンリー・トーマス。
・ザ・ブッチャーに気を遣う政治家役に「アイリス」のオスカーウィナー、ジム・ブロードベント。“違う方の”「アベンジャーズ」など。2016年7月に日本公開が予定されるブロードベント出演の「ブルックリン」をT's Theaterでは紹介している。同作は作品賞・主演女優賞・脚色賞の3部門でアカデミーにノミネートした評価が非常に高い作品。ブロードベントは神父役だ。
・そして別にノークレジットじゃあないんだけど大きなクレジットで出なかったので上の方に入れたが、ヴァロン神父を演じるのはアイリッシュ、リーアム・ニーソン。「シンドラーのリスト」のオスカーノミニー。最近はアクションスターですが…監督や演者自身のアイデンティティーを追った名作「マイケル・コリンズ」をレビューしている。
さて。
着想を得てから30年、頑張ったなぁスコセッシ!沢山賞にノミネート・受賞してソレだけで監督冥利に尽きるだろう…って思うけどtoikun的にはイマイチだったなぁ。コスプレもの。最近まで貶してきていたイギリス系コスプレものに興味が遷っているtoikun、でもこの様な“混乱期のギャングもの”、辛かったかも。最近レビューした「王妃マルゴ」なんかは作品として“大河ドラマ”的、良かったんだけど。
オスカーにノミネートしたU2の楽曲“The Hands That Built America”、アンマリだった。これも洋楽に興味の無いtoikunだからか?それでも昨年度のアカデミー賞で「グローリー/明日への行進」の主題歌のパフォーマンスに鳴いたし、作品を鑑賞しても鳴いたんだけど。
toikunの中のディカプリオアレルギーも消えつつありまして偏見無しに今作を見られて良かったがディカ君に関して特筆するべきものはない。挙げるとすればD・D・ルイス、熱演。セリフからして片眼が義眼なんだよねぇ。あまり眼の色なんて気にしないけれども振り返ってみるとソンナ感じ。コンタクト!?
…南北戦争という時代背景があります。ちょっとキモかった「白い肌の異常な夜」でも同時期。舞台舞台はしていませんでしたがぁ。南北戦争と直接は関係ないけど後に「グローリー/明日への行進」、「大統領の執事の涙」みたいなのに影響がある…アメリカの“裏側”。
リーアム・ニーソンを引っ張ってきたこと、とても面白く拝見できました☆だって「マイケル・コリンズ」好きなんだもの。同作はアイルランド独立運動を描いた作品でありジャンルは戦争ものであるがジュリア・ロバーツ、故アラン・リックマンが出演するなど“敷居”は低い。是非レンタル屋さんでチェックしよう。なお、リックマンに関しては追悼として、toikunの心の中の名作「愛しい人が眠るまで」と彼の初監督作品「ウィンター・ゲスト」をレビューした。どちらも頗るよろし☆
次はディカ君繋がりで…を見ようか!?
2016/01/30
by toikun.
映画ファンの口コミ・レビュー
No.1 dreamer さん
レビュー日時:2021/11/23 21:33:44
評価:7点/10点満点中(最低点1点)
★★★★★★★☆☆☆
"アメリカの原型を描き出そうという、マーティン・スコセッシ監督の野心作「ギャング・オブ・ニューヨーク」"人種や宗教がせめぎ合う一方、共存の道も模索する移民の大国・アメリカ合衆国。マーティン・スコセッシ監督の壮大なスケールの史劇「ギャング・オブ・ニューヨーク」は、"アメリカの原型"を描き出そうという意欲的な力作だ。アメリカという国の強さの源泉でもあり、混沌のもとでもある多様性であるとか、厳然として存在する社会階層であるとか、自分の身を守るために武装して闘う権利に対するメンタリティとか、およそ、今あるアメリカという国にある原型のようなもの、世界の他の場所ではあり得ない、アメリカという国の個性が、文明とは名ばかりのような混乱の中から、確かに息づいてくる様を、ニューヨークという街に焦点を当てて描き出そうという野心作なのだ。舞台は19世紀半ばのニューヨークのスラム街。先に移住して来たグループと対立する、大飢饉を逃れて来たアイルランド移民たち。抗争でリーダーだった父親が殺されて16年後、息子のアムステルダム(レオナルド・ディカプリオ)は、敵対するグループに潜り込む。街を仕切る父の敵、ビル(ダニエル・デイ=ルイス)に復讐するのが目的だ。やがて狙い通り、ビルの信頼を得るアムステルダム。だが、ビルが亡き父を崇拝していることが分かり、アムステルダムは、複雑な思いを抱く。更に愛するジェニー(キャメロン・ディアス)が、ビルの愛人だったことを知って嫉妬にかられてしまうのだ------。映画はこの男女三人の復讐と愛の物語だけに終わらず、背後に黒人奴隷解放を掲げた"南北戦争の影"を描き込む。気高い理想とは裏腹に、政治が貧しい移民ばかりを戦場に送り込んだことから、スラム街の怒りが爆発する。そして、この"愛憎劇と歴史のひずみ"が一つになって、壮絶なクライマックスへと突き進んでいく。主演のレオナルド・ディカプリオは、名匠マーティン・スコセッシ監督と組んで、役者としての野心を燃やし、この作品に果敢に挑んだ熱意は立派なものだと思うが、さすがにこの作品では背伸びし過ぎたのではないかと思う。決して演技が下手なわけではないのだが、当時のディカプリオでは、こういう壮大なドラマを支えるだけの技量と度量が、まだ備わっていなかったと思うのだ。それに対して、当時、役者をやることでは人生が満たされないとして、休業宣言し、スイスで靴職人の修行の道に入っていたダニエル・デイ=ルイスを、マーティン・スコセッシ監督が再び役者として映画の世界に復帰させ、スコセッシ監督の熱い期待に応えるかのように、この作品でのダニエル・デイ=ルイスは、映画が描こうとしたものに、一人で対峙するかのような圧倒的な迫力と渾身の演技による大芝居を見せ、ディカプリオとの格の違いをまざまざと見せつけたと思う。この映画の中で、豪華なセットや衣装、混沌とした時代に負けていないのは、彼一人だけだと思う。この映画が公開された前年に、9.11同時多発テロが発生し、その後の情勢を受けて内容を再検討し、公開を一年延期したという、いわくつきの作品で、民族・宗教間の"不寛容や暴力"という現代世界の問題を想起させる、意欲作だと言えると思う。物語が混沌としているのは、アメリカ社会のエッセンスをそのまま映したからなのかも知れない。ただ、惜しむらくは、人間ドラマと時代背景の、二つの軸がもう少し溶け合えば、2時間48分という長さも、そう長く感じさせなかったに違いない。
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『映画ファン』さんのレビュー・評価
投稿日時:20??/??/?? 15:59:46
4点/10点満点中★★★★☆☆☆☆☆☆
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