映画「ジュリエッタ」あらすじ,ネタバレ,レビュー
©El Deseo
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あらすじ
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恋人ロレンソとポルトガルへ行くことが決まっていたジュリエッタ。彼女の娘アンティアは12年前に失踪しており、ジュリエッタは、現在は娘のことを忘れたかのように人生を謳歌しており、新天地ポルトガルへの引っ越し準備に追われていた矢先、街角で娘アンティアの親友だった女性ベアと再会し、ベアは娘をイタリアのコモ湖で見かけたと話す。そして娘に対して、母親ジュリエッタはマドリードに住んでいると話したベア。これを聞いたジュリエッタはポルトガル行きを突然止めてロレンソと別れ、かつて娘と暮らしたマドリードの別地区にあるアパートへ移り住んだ。
何故、娘アンティアは母親ジュリエッタの元を離れたのか?娘の当時の思いを懸命に考えた時、ジュリエッタは今まで語ることのなかった夫(=アンティアの父親)の事など全てについて一通の手紙にしたためた、手紙を送る住所さえも知らないのに…。
そんな矢先、母親の思いが伝わったかのように、娘アンティアからの封書が届く…。
スペインの巨匠ペドロ・アルモドバル監督・脚本による母娘のドラマ。本作には原作がある。それはノーベル賞作家アリス・マンローによる短編集『Runaway』だ。資料によれば、同一主人公ながら独立したストーリーとなっている『Chance』、『Soon』、『Silence』の3編を監督のアルモドバルが一続きの物語として脚本化したという。(新潮クレスト・ブックスによる『ジュリエット』は10月31日発売。(Amazonのリンク))
観終わって直ぐは正直に言って“母と娘の物語”とは感じる事が出来なかった。それよりも、ジュリエッタの恋人ロレンソの愛が強いかなぁ…と。だがよくよく噛み砕いてみると、段々とその様に感じてきたのだ。そして監督アルモドバルが全ての母と娘に贈りたいと思った事に納得できた。
ネタバレになってしまうので、これだけしか言うことが出来ないが、もしかしたら観客の望むラストではないのかもしれない。でも、"ソレ"で脳細胞が活発になって…で、ニンマリ出来ると思う。素敵仕様な映画である。
「エル・クラン」の共同配給、ブロードメディア・スタジオによる配給で、11月5日(土)新宿ピカデリーほかにてロードショー。
公式サイトはこのページには掲載のない様々な場面画像で彩られており、主要キャストも画像付きで紹介されているので一度映画館へ足を運ぶ前に訪れてみて欲しい。公開劇場情報についても公式へ。
この欄の最後として、ポスター画像について述べることにする。描かれるのは現在のジュリエッタと過去の若いジュリエッタであるが、劇中の“バスタオルのシーン”について注目して観ると、映像演出がとても興味深しろいゾ。
配給:ブロードメディア・スタジオ
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ストーリー・ネタバレ
julieta
現代。スペイン・マドリード。
30年も前の彫刻を丁寧に梱包する女性ジュリエッタ。彼女は机の引き出しから青い封筒を取り出すと、何か物思いにふけった後でゴミ箱へ捨てた。そこに恋人であるロレンソがやって来た。ジュリエッタは、ロレンソから誘われてポルトガルで一緒に暮らすために引っ越しの準備を行っているのだ。そんなジュリエッタが息抜きで街角を歩いていると、昔の知人ベアと再会した。ベアの年の頃はジュリエッタに子供がいるとしたら、その子供と同年齢くらい。では、それ程、年の離れているジュリエッタとベアの関係とは?
ジュリエッタに会ったベアは、彼女が撮影でイタリアのコモ湖へ行った際に、ジュリエッタの娘アンティアと再会したと話した。ジュリエッタにはアンティアという娘がおり、アンティアとベアは親友だったのだ。ベアはよくアンティアの家に遊びに来ており、それでジュリエッタとベアは面識があった。だがアンティアは12年前にジュリエッタ、そしてベアの前から行方をくらましており、今まで生死が不明であった。この事を聞いたジュリエッタは、娘を心配するように、心には動揺が広がっていた…。
ひとり暮らしの家へと戻ったジュリエッタはゴミ箱を漁り先ほど捨てた青い封筒を取り出した。ロレンソからの電話など手に付かない様子のジュリエッタ。やがて、ロレンソがまたジュリエッタの家を訪れると、ジュリエッタは、ポルトガルには行かずに此処に残ると話した。
独りでいたいの。この街を離れたくない…。
こう告げたジュリエッタの本心とは…。結局、ジュリエッタのポルトガル行きはご破算となり、破局を迎えるジュリエッタとロレンソだった。
ジュリエッタは、同じマドリード地区のアパートを訪ねた。出迎えたのは昔馴染みの管理人イノセンシオ。ジュリエッタはかつて娘アンティアと一緒にこのアパートに住んでおり、その当時から管理人だったイノセンシオとは面識があったのだ。改修中だと話すイノセンシオだが、ジュリエッタはかつて住んだ部屋をまた借りた…それは何故か!?
アパートで引っ越し後の荷解をするジュリエッタ。一度はゴミ箱に捨てた青い封筒を開けたジュリエッタ、中に入っていたのは、彼女が娘と撮った写真を破ったものである。ジュリエッタは、娘が失踪して12年も経ち、娘などいなかったものとして生きていこうと考えていた。だからロレンソとの同居に際して、破ったとは言え取っておいた写真を捨てた。だがベアに会い、娘が生きていることを知ったジュリエッタは娘への愛が戻り、なぜ娘が失踪したのかを改めて考えるようになった。そしてジュリエッタがこのアパートに戻ってきた理由は、ベアがアンティアに、母親ジュリエッタはまだマドリードに住んでいると話したから。アンティアから彼女に連絡があるとしたら、このアパートしかない、他に娘は住所を知らないのだから。その為に引っ越しをしたのだ…。
一段落をして街に出たジュリエッタは子供連れの女性に目を向けていた。それは、ベアからアンティアには3人の子供がいるという事を聞いていたから。しかし、天文学的数字の低い確率に賭けた願いも虚しく、時は過ぎ、ジュリエッタは帰宅。そんなジュリエッタの後をつけていた人物がいた。
ジュリエッタの机の上には、バラバラに破ってしまった娘との写真が復元してあった。そして、ジュリエッタは改めて娘アンティアを思い、彼女がジュリエッタの前から行方をくらました理由を考え、それへの返答など、娘に伝えるべき全てのことについて、一通の手紙にしたためることにした。娘の住所など知らないのに…。そして、ジュリエッタは記すべき過去を思い出す…。
過去。ジュリエッタが25才の時。
ジュリエッタは一人旅でとある列車に乗った。そして彼女がいる客室の、彼女の目の前に座る男がいた。少し気が合わないと感じたジュリエッタが食堂車へと移動すると、そこにいたのがアンティアの父親となる男性ショアンだった。お互いに自己紹介をする二人。ショアンには妻がいて、5年程病気で昏睡状態だという。気が合ったジュリエッタとショアン。車掌が10分間の停車を告げに来たとき散歩へと誘うショアンがいた。ただジュリエッタはコートがなかったので外へは出なかったが。
直ぐにまた走り出した列車が急ブレーキをかけた。騒々しくなった車内、ジュリエッタは食堂車に来る前に座っていた客室へと行ってみると、目の前に座った男はいなかった。彼女は男のバッグを開けてみると、何も入っていない。悪い予感がよぎり列車の外に出たジュリエッタは、乗客達が死体袋を運んでいるのに出くわした。大きな鹿が入っているわけではない、あの目の前に座った男が死体袋に包まれているのだ。ジュリエッタの姿を見つけたショアンは死体袋を他の乗客に任せて戻ると、“気を悪くされたの”と責任感を感じる言葉を告げられる。
その後、走る列車の中で席を倒して横になるジュリエッタとショアン。顔を合わせると、
眠れないの。
オレもだ。
そして唇を重ねると、直ぐに身体を重ねる二人だった…。
それから暫く経ち、ジュリエッタは臨時の古典の教師となっていた。彼女の授業は人気があり子供たちの成績も上がったのだが、正規の先生が戻ってくると言う事で、ジュリエッタは学校を離れることになった。それを告げた先生が、ジュリエッタに手紙を渡した。それは、学校の住所しか知らなかったショアンからの手紙であり、彼の妻の死を伝えていた。
ジュリエッタは初めてショアンの家を訪れた。出迎えた無愛想な家政婦マリアンはこうジュリエッタに話した。
男には女が必要よ。責められない。
葬式から帰ってきたショアンは椅子で寝ていたジュリエッタを抱きかかえると、ベッドへと運んだ…。こうして二人は娘アンティアをもうけるのであった…。
[ストーリーは導入のみ]
・娘アンティアを実の両親にお披露目に行くジュリエッタ、だが母の病気は変わらず…
・浮気の証拠が出てくるショアン、ジュリエッタは彼に…
・様々な人間による、様々な愛の形…
・どの登場人物も物語に深く関わり“薄い”人物はいない
・ただ性格もあるので感情移入できるかはその人物に因る
・前述したが、バスタオルのシーンでの“映像”は、起伏には富まない映画の中で特異と言えるが興味深い
注意
・ポスター画像のように現在のジュリエッタと若いときの過去のジュリエッタが同時に現れるような場面はない
・また、このページの一番上=メイン画像はジュリエッタとベアの写真であり、娘アンティアの写真ではない
女性を深く描いてきたペドロ・アルモドバル監督からのラブレター、もし出来るなら、お母さんと娘さん、ご一緒に受け取って頂きたい、そんな映画です。
公式サイトにはペドロ・アルモドバル監督の“ ”の写真も!是非是非、ご覧になってみてください☆
レビュー・感想・解説・評価
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2016年9月に公開された「エル・クラン」という“犯罪実話”を描いた作品にはプロデューサーとして参加をしていたペドロ・アルモドバル監督がアリス・マンローの原作『Runaway』を基に映画化をした母娘のドラマ。わだかまりを抱える母娘に一緒に劇場に行って欲しいと言うのは酷だが、そういう人たちは別々にでもご覧になって、お互いに“この映画、面白そうだから観てみれば?”なんて促してみて、母娘、両者ともご覧になった後で話し合って欲しい…。
なお本作の編集を担当しているホセ・サルセドであるが、カンヌ映画祭に出品されたメキシコの犯罪映画「クライム・シティ」に参加をしている。
キャストを。
・現在の方のジュリエッタを演じるのはエマ・スアレス。スペイン出身でハリウッドの大スターとなったアントニオ・バンデラスとは「インセスト/近親相姦」と「暴走遊戯」で共演しており、賞レースではゴヤ賞にこれまで4度ノミネートされ『El perro del hortelano(原題)』で受賞を果たしている。
・過去の若いときのジュリエッタ嬢に扮するアドリアーナ・ウガルテ。『Cabeza de perro(原題)』でゴヤ賞の新人女優賞にノミネート後キャリアは更に広がり2015年10月には来日も果たしているという。出演作は他に「砂の上の恋人たち」や「ライルド・ルーザー」など。
・toikunは初見でこの人の愛を感じたのだが…ロレンソを演じるダリオ・グランディネッティはエミー賞男優だ。
さて。
チラシの表・裏にある本作に“色を付けている”語句は、間違いはないが人によってはオーバーなセンテンスだと感じるかもしれない。toikunもそうだった。ただ30分くらいの帰宅の電車でチラシと睨めっこをしてよく考えてみたら染み込んできたというのも“事実”だ。
toikunには父親はおらず、母親とも数年会っていないので若干主人公たちと状況は似ているのだが(ひとりっ子であることも)、この映画は親子の性別を問わず色々な親子にも考えさせることが出来ると思うので、久しぶりに親にメールでも打って映画を勧めてみようかと思った。
ラストは“アレ”で終わって救われた感があり評価したい。どんなラストかを示唆してしまうので、これだけの表現に留める。
巨匠と呼ばれるペドロ・アルモドバル監督、前述した「エル・クラン」はアルゼンチンの映画だし、同作ではプロデューサーだけとはいえ世界中を飛び回っているんですね!もっともっとアルモドバル監督作品が観たくなったtoikunです☆
2016/09/27
2016/09/30
by toikun.
『映画ファン』さんのレビュー・評価
投稿日時:20??/??/?? 15:59:46
4点/10点満点中★★★★☆☆☆☆☆☆
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