映画「シークレット・オブ・モンスター」あらすじ,ネタバレ,レビュー
©COAL MOVIE LIMITED 2015
原題:
邦題:
原題訳:
製作年:
製作国:
上映時間:
ジャンル:
監督:
主演:
あらすじ
1人の映画ファンの口コミ・レビューがあります。(クリックすると下方のユーザーレビューに移動)
“何が少年を独裁者へと変貌させたのか-”
第一次世界大戦の戦後処理のためにフランスを訪れたアメリカ人の一家。父親はアメリカ政府の国務次官候補としてヴェルサイユ条約の締結へ邁進、家族を顧みる時間はない。母親は息子プレスコットを教会に通わせる。しかし、プレスコットが教会での降誕劇の練習後に大人たちに石を投げつけてから、彼の“癇癪”は顔を覗かせ始める。
“癇癪…怒りやすい性格…”
髪の毛の長いプレスコットは、しばしば女の子に間違われ、その事もまた彼を変貌させた理由の一つなのか…。
プレスコットを可愛がっていた使用人をクビにしたことも、彼を変貌させた理由なのか…。
果たして彼を独裁者にした本当の理由は何なのか…。
あの「羊たちの沈黙」のジョナサン・デミ監督を始めヴェネチアを驚愕・戦慄させたミステリー・スリラーが、この秋ついに登場する。
また新たな才能が現れた…。オープニング・クレジットにおいて、ロバート・パティンソンに次ぐ“introducing”と付いたキャスティングのトム・スウィートが独裁者へと変貌する少年プレスコットを演じる。本作が映画デビュー作というのに、全く…何と言う才能。これからトム君がどの様な俳優に育っていくのか見守りたくなり、“独裁者”という事もあり、才能という事もあり、恐ろしい。
母親に「アーティスト」のオスカーノミニー、ベレニス・ベジョ。父親にアイルランドにアイデンティティーを持ちカンヌ国際映画祭でパルム・ドール賞を受賞した「麦の穂をゆらす風」などに出演するリアム・カニンガム。他に「トワイライト」シリーズのロバート・パティンソンが一家の友人役(に…&…!?)など。
彼らを纏め上げたのは本作が劇場用長編映画監督デビュー作となるブラディ・コーベット。過去に短編でサンダンス映画祭やカンヌ映画祭を湧かせたコーベット監督が、長編デビュー作でヴェネチアを湧かせたのだから、いやはや、こちらも才能か…。
考えていて溜息が出たが、本作のサントラを大音量でかけている今、それも直ぐに吹っ飛んだよ。
そう、本作の音楽を担当するのは「ポーラX」以来の音楽担当となるスコット・ウォーカー。ウォーカーによる大音量・大音響のスコアがオープニングから炸裂し、toikunの心を奪ったから即効サントラを手に取ってしまったのだ。
公開は11月25日より、TOHOシネマズ シャンテほか全国ROADSHOW!
日本は、きっと戦慄する…。
配給:REGENTS
感想・レビューを書いてみませんか?投稿フォームはコチラ[下にあります]
ストーリー・ネタバレ
序曲:OVERTURE
1914年に勃発した第一次世界大戦。英・仏・露v.s.独。
1917年、アメリカ参戦。
1918年、ドイツ降伏。
1919年1月18日、パリ講和条約が開かれる。パリ講和条約の為にフランス入りしたアメリカ合衆国大統領ウィルソンを盛大に歓迎するパリ市民がいた。
THE CHILDHOOD OF A LEADER
1918年フランス・パリ郊外。
見えるのは教会で、子供たちが降誕劇の練習をしている。練習が終わったのか次々と子供たちが上階から降りてくる、最後に降りてきたのは天使のコスチュームをした男の子プレスコットである。
最初の癇癪:来たるべきもの予兆
プレスコットは外に出ると森との境目のところで石を拾い始めた。石を集め終わると教会付近にいる大人たちへと投げ始めた。直ぐに大人たちに見つかると森の中へと逃げるプレスコットだが、大人たちに追いかけられて転倒してしまう。大人たちは白衣のプレスコットを見つけると、彼を助け、抱えて教会へと戻っていった。そこで彼の母親が心配の声を上げた。
この少年プレスコットの父親はアメリカ人だ。国務次官候補という肩書きの彼が妻やプレスコットを連れパリへとやって来た理由はヴェルサイユ条約の締結の為だ。今晩は、友人のチャールズと共にビリヤードをしながら聖書について語っている。彼らが住んでいるこの家は、彼の妻の姉から引き継いだものであり、その姉一家はと言うと戦火の広がりでパリから出て行ってしまったのだ。
その妻が息子プレスコットと共に帰宅をすると、プレスコットは一目散に上階の自分の部屋へと駆け上がった。父親が政府の仕事で忙しい中、母親は息子を連れて教会への日参の日々…。
母親は倒れたプレスコットの身体を洗いながら、石を投げつけた理由について尋ねるが、こう言い返された。
プレスコット:僕より大事なの?どういう意味?
洗い終わり、プレスコットがベッドへと入ると、母親は彼の手を組ませ神へと祈らせた。
プレスコット:アーメン。
文筆家であるチャールズが帰るところ。父親、母親、チャールズの3人が顔を合わせると、母親がプレスコットの投石について話をした。そして母親は“野蛮な”ドイツ語でチャールズと挨拶を交わすと彼は帰って行った。母親はドイツ出身であり4ヶ国を操ることが出来る。ドイツ語を“野蛮”と形容する父親の考えとは…。
夜中。父親が語る“引き継いだ”というのは間違いと思える程に廃墟に見えるこの屋敷で、プレスコットの苦しそうな息遣いが響いていた。そして、一人トランプをしながらタバコに火をつけた母親のところにプレスコットがやって来ると、オネショをしたと話した。母親はシーツを替え、プレスコットは水浴びをして身体を綺麗にした。
朝になると、使用人のモナがやって来た。彼女はこの歳になるまで結婚をしておらず、一生の勤め先と思いこの屋敷へと通っている。昨夜に森で倒れたことを知らないモナは、プレスコットの顔の傷について“優しく”尋ねた。
日も高くなると、母親はプレスコットを連れて教会の神父へと会いにやって来た。途中、聞こえる赤子の声に目をやる母親たち、その先には戦争で全てを失い路上生活となった女の腕に抱かれる赤ん坊がいた…。
神父に面会をした母親とプレスコット。母親は夫がもうすぐ国務次官補になるのだと告げ、本題の“昨夜のお詫び”について語る。神父は英語が話せないため、母親に通訳を任せてプレスコットに事情を聞く。だが、神父の質問には答えようとしないし、偶に神父のフランス語が理解できると、生意気な口を聞くプレスコット。そしてそっぽを向いてしまうが、母親が神父の方に顔を向けさせると、ただ、プレスコットは“彼には何もしていない”と語った。
面会が終わり外に出ると急に走り出すプレスコット。だが追ってきた母親にこう言った。
プレスコット:ごめんなさい、ママ。
父親は英語しか喋ることが出来ないし、それで十分ではないかと考える節がある。その為か、母親はプレスコットにフランス語を身につけさせようと、地元の教師アデレイド=“アダ”を雇い息子に付けている。ある日、アダが“髪の毛を切って”とプレスコットの髪に触れると“ストップ!”と声を上げるプレスコットがいた。
そして。子供たちによる降誕劇が開かれる当日の教会。神父の説法に参加をしているプレスコットの父親と母親。フランス語が分からない父親のために妻が神父の言葉を訳す。神父が“アーメン”と締めくくると、神父の紹介で子供たちが入場して降誕劇が披露された。降誕劇後、教会の外では神父と共に立ち、出てくる人々ひとりひとりに“ごめんなさい”と謝罪をするプレスコットの姿がある。ある大人がプレスコットに“いいお嬢ちゃんね。”と声を掛けると、プレスコットはこう癇癪を起こした!
プレスコット:僕は女じゃない!
第二の癇癪
アダがプレスコットにフランス語の本を読み聞かせている。プレスコットはアダの開いた胸元が気になるようだ。だがしかし、その本の教えである
小さな友人が偉大な友人になる
というのは頭に入っているようだ。お腹が空いたとアダに食事を頼むと、アダは使用人エディットに食事を頼みにいった。暫くした後でプレスコットが自室を出ると、何か甘い吐息が耳に入りそちらへ向かうと、父親と一緒にいるアダの姿があった。直ぐにその場を後にするプレスコットだったが…。
夜。食卓を囲むプレスコットの一家。プレスコットは父親にこう尋ねた。
プレスコット:パリで何をやってるの?
父親:大統領のお手伝いだ。
父親はこう答えたが、次にプレスコットが“言及”したのは昼間に父親とアダが一緒にいたこと。“…”。プレスコットが食事を残すと、母親は使用人モナに
母親:食べるまで、ついていて。
と言って、プレスコットと彼が残した料理のお皿を預けた。モナは“食べていい?”とプレスコットに聞いて料理を口にすると、“酷い”と言って料理を捨てた。母親に内緒にしているために、プレスコットは“食べきった”事になった、モナという使用人のお陰で…。
ある日。父親は仕事で数日間パリに泊まると言って家を後にした。何時ものようにアダにフランス語を習っているプレスコットだが、突然に彼女の胸を触ってしまい、アダから怒られてしまう。アダはプレスコットに謝らせるが…。
母親が、女性の裸体が描かれた本“新・女性の健康と美容”を閉じて溜息をついた一方で、ベッドで寝ているプレスコットのおでこに優しくキスをする使用人モナ。プレスコットはフッと目を開けるのだった…。
[ストーリーは導入のみ]
・プレスコットが独裁者へと変貌を遂げる様々な理由・事象が描かれるが、それはたった一つなのであろうか?それとも複合的・複雑に絡み合うのか?
・そして、独裁者誕生…。
・視覚的には少年プレスコットを演じたトム・スウィートの魅力が溢れる。
・そして音楽は静かな場面も多いが、“恐ろしい”スコット・ウォーカーの音楽が大音量で流れると、本作が“最上級のサイコ・スリラー”に感じられる。
・この2つの魅力は大きいぞ!特に音楽、家ではこんな大音量で流せない…劇場でしか味わえない魅力だゾ!
公式サイトには、このページには無いトム・スウィートの可愛い写真で溢れているので是非ソチラもドウゾ。ただ、彼の事を“女の子のように可愛い”なんて思いながら映画を観ると、それこそ身の毛がよだつ思いをする事になるが…。
以下、ギャラリー後に感想・レビューをしているのでドウゾ。
以上、ギャラリーは終了。レビュー欄にはキャストそれぞれの特別ポスター画像があります。
レビュー・感想・解説・評価
感想・レビューを書いてみませんか?投稿フォームはコチラ[下にあります]リンクについて
~~~(矢印と破下線のリンク)は、T's Theaterでレビューしている映画作品や紹介している俳優等、全て内部リンクです。
映画の仕事をしていると、時に観たい順番で映画を観られないという悲しい思いをするのだが、本作については早くに紹介できなかったことを悔いているtoikunがいる。
ブラディ・コーベットの劇場用長編映画初監督作品。共同脚本のモナ・ファストボルドはコーベットの奥さんだ。
そして音楽を担当するのは「ポーラX」以来16年ぶりとなるスコット・ウォーカー。久しぶりにサントラ(Amazonへのリンク)盤に手を伸ばしたtoikunだが“正解”(…とまぁ映画を観てからの購入なので正解が分かっているのだが)。仕事を捗らせる“重苦しくて、追い立てる”音楽。サントラ盤には宇野維正氏の興味深い“音楽と映画の解説”があるが、ソチラから一言引用する。“「モンスター」たち”。
キャストを。
・“introducing”付きのクレジットであり、トップクレジットでは無いが本作の主人公プレスコットという女の子のように可愛い少年を演じるのは、ロンドンの公園でサッカーをしているところをスカウトされたトム・スウィート。外見は確かに“甘い”が、映画本編では恐ろしい姿を見せる・魅せる。届いている動画では新作撮影中であり来日が出来ないそうだ…残念。
・固有名詞は出てこない母親を演じるのは「アーティスト」(2011)でアカデミー助演女優賞にノミネートを果たしたベレニス・ベジョ。ベレニスの“母親ぶり”を貴女も参考にしないと、子供さんが独裁者になるかもしれない!?
・こちらも名前の出てこない父親を演じるのはアイリッシュ・アクターのリアム・カニンガム。アイルランドを描いた「麦の穂をゆらす風」や「HUNGER/ハンガー」など。この父親のあるシーンはそう確証めいた描写は無いのだが、あれは子供目線だと確かに独裁者に繋がるようなと言ったら言い過ぎだがそんな要素がある“含みのある演出”だ。
・家庭教師のアデレイド、劇中ではアダとも呼ばれる女性に扮するのは、フランスとイギリスにアイデンティティーのある女優ステイシー・マーティン。近年は「パレスダウン」や「ハイ・ライズ」など。また本作の公開日である2016年11月25日同日に「五日物語-3つの王国と3人の女-」が公開されるが、ステイシーは若返った後の老女を演じている。このアデレイドもまた少年プレスコットに大きな影響を与えているように“見える”が、どうなのだろうか…。
・チャールズという一家と親交のあるライターさんを演じるのは「トワイライト」シリーズで日本を喧噪に巻き込んだロバート・パティンソン。「ハリー・ポッター」シリーズなど。彼については一言だけ…“驚き”。
・プレスコットを可愛がる使用人モナを演じるのは本年は「神様メール」が日本で大ヒットしたヨランド・モロー。モナという女性のあるセリフ・シーンに、不意を突かれる事になるのでお楽しみに。
さて。
最近では余り見なくなったスタッフも含めた“ガッツリしたオープニング・クレジット”だったので懐かしい思いがしたし、スコット・ウォーカーの音楽もあって“これから始まる!”って盛り上がった。
エンド・クレジットは非常に簡素なもの。その中で不確かだが“解釈を助けるために配給が字幕を入れた部分がある”なんて字幕が出たが、それは“序曲:OVERTURE”の説明だったのかな?本作を字幕の無い外国でご覧になった方は見比べると理解が深まるかもしれない。
具体的に感想の部分に入っていくと…理解が出来ていないtoikunがいるのだが、資料の“監督自らが語る『シークレット・オブ・モンスター』”から、コーベット監督の“ジャファール・パナ監督の言葉の引用”を引用した“映画を説明できるなら、なぜ映画を作るのか?”を見て救われた。この映画は100人いたら100人が違った感想を持つ映画と理解する。
映画の印象については音楽が締める部分が大半では無いかと感じた。代替が効かない音楽…違ったものなら180度とは言わないが方向性がかなり変わってしまう。反面、視覚的盛り上がりが聴覚によって支えられていると判断出来なくも無いが、きっとコーベット監督もスコット・ウォーカーも“そう感じること”を織り込み済みで“ほくそ笑んで”いそう。
「羊たちの沈黙」監督(ジョナサン・デミ)が認めた驚愕の2冠=ヴェネチア国際映画祭のオリゾンティ部門の監督賞と初作品賞を受賞した本作。サイコ・スリラー好きな映画ファンのみならず、俳優の外見などから入るライトなファンにもお勧めする。
2016/10/17
2016/10/21
by toikun.
映画ファンの口コミ・レビュー
No.1 ハル さん
レビュー日時:2019/03/29 20:56:08
評価:5点/10点満点中(最低点1点)
★★★★★☆☆☆☆☆
自分自身の理解力が至らなく、釈然としない部分もあったため、個人的好みとしてこの点数にさせてもらった。ただ、言葉で表すことはとても出来ないような底知れぬ闇のような不安感を音楽でさらに煽っており、映画も芸術品であることを改めて感じさせてくれる作品であると思う。感覚的にはどこに価値が生まれているかわからない高価な絵画を見ているような印象というのが、個人的にぴったりくる。
ホームページ
『映画ファン』さんのレビュー・評価
投稿日時:20??/??/?? 15:59:46
4点/10点満点中★★★★☆☆☆☆☆☆
ホームページ
コメント:
(コメントをどうぞ。)
T's Theaterへのお問い合わせフォームはコチラ(別ページで開きます)