映画「五日物語-3つの王国と3人の女-」あらすじ,ネタバレ,レビュー
(C)2015 ARCHIMEDE S.R.L.-LE PACTE SAS
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あらすじ
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3つの国が世界を治めている。
ロングトレリス国の女王は不妊で悩んでおり、王は妻を妊娠させるためにフードの男から言われた、食べるとたちまち妊娠すると言われる怪物の心臓を得るために一人海へ。王の犠牲で得られた心臓を食べた女王は妊娠し、たった1日で王子を産む。だが心臓を茹でる時に出た煙を吸った女中も息子を産み、その子は王子と同じ顔をしていた…。
色を好むストロングクリフ国の王に“若い声を見初められた”のは老女だった。引きこもりの老女姉妹、姉が若返って王の妻となると、妹は若返りに命をかける…。
“ノミ”を配下の者に分からない様に大きく育てるハイヒルズ国の王。娘の王女ヴァイオレットの結婚相手を決めるためにノミの表皮を見せて、何の生き物なのかを当てさせる事に。そこに現れた怪物のような形相の男がノミだと当ててしまい…。
カンヌを2度制した鬼才:マッテオ・ガローネ、それは「ゴモラ」、「リアリティー」でカンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを2度受賞したということ。ガローネ監督には初の英語作品となった本作にはサルマ・ハエック、ヴァンサン・カッセル、ステイシー・マーティンといった国際派キャストが集まり、またハリウッドからは個性的なフェイスで人気のあるジョン・C・ライリー、イギリスからは、10月に「奇蹟がくれた数式」が公開のトビー・ジョーンズ、そしてシャーリー・ヘンダーソンが参加。肥えた映画ファンには堪らないキャスティングだろう。
おとぎ話である『ペンタメローネ[五日物語]』を基にした本作は3つの国の3人の女性の欲望がメインテーマ。男性の欲望というのも十分に描かれるので、PG12という区分になっているが。
“そういうシーン”は出てくるものの、決してエグいものではなく、逆に映像美として評価が出来るので親御さんはキチンとガイドをして子供さんに観させてほしい。大人は只映像美にウットリする。
本作の煌びやかな配色の公式サイトはコチラをどうぞ。また公開劇場一覧は公式サイトのこのページに掲載をされている。また映画サイトなど真っ青になる完璧なPRODUCTION NOTEもあるので、映画の理解のためにも是非一度行ってみて欲しい。
ビックリする展開や結末も待つので楽しみに待っていて欲しい。
11月25日(金)TOHOシネマズ六本木ヒルズ他全国ロードショー。
思うがままの欲望よりも、欲望Fを追い求める時間は短い方がいい。それだけ…。
配給:東北新社、STAR CHANNEL MOVIES
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ストーリー・ネタバレ
周りを見ながら通りを歩く道化姿の男がやってきたのはロングトレリス国のお城。彼以外にも多くの道化師が集まり、代わる代わる王や女王、王宮に勤める人にショーを披露する。中には大刀でジャグリングを行うものまでいる。
王宮には侍女の下品な笑い声がこだまするが、女王は一向に笑うことなく、逆に妊婦の道化を見て怒りがこみ上げると立ち上がり行ってしまった。静寂に包まれる王の間。王が女王の後を追う。だが女王は部屋に入るとドアを閉め、部屋にあるものを手当り次第に投げつけて壊した。一段落すると王が部屋へと入り、女王に理由を尋ねる。彼女は王の間を去った理由を話した。
ロングトレリス国の女王:身重の女が道化として出ていた!
深夜。フード姿の魔法使いと見紛うばかりの男がロングトレリス国の王宮を訪ねた。男は“海の怪物の心臓を食べればたちまち妊娠するであろう”と王に進言をした。ただし1人で怪物を仕留めなければならないとも話す。
王は深い海の底にいる怪物と対峙をする為に万全の装備をすると、自ら海へと飛び込み、寝ている怪物にモリを突き刺すが暴れた怪物により致命傷を追ってしまう。
侍従たちが王と死んだ怪物を浜へと引き上げると、王は“これで愛する女王が子供を授かることが出来る”と思ったのであろう、微笑みを浮かべると静かに息を引き取った。
呼ばれていた女王は王の傍らへ座して悲しむ事なく、大きな心臓を胸に抱えると、王宮へと持ち帰った。
心臓を食べられるように茹でる必要がある。呼ばれた1人の女中はまだ鼓動している怪物の心臓を恐る恐る持つと、煮えたぎる大きな釜へと放り込んだ。すると、猛烈な湯気、いや“湯気以上の何か”がもくもくと調理場を包み、その女中の腹は臨月の女のように大きな膨らみを見せた。
ロングトレリス国の女王は火の通った心臓を、犬食い、そして手掴みでむさぼり食べた。
翌日。痛みを乗り越えて出産した女王は我が子を腕に抱いて微笑みを浮かべる。そして、怪物の心臓を大釜に放り込んで腹が膨れた女中もまた赤ん坊を産んでいた…。
ロングトレリス国の王の葬儀には、ハイヒルズ国の王、ストロングクリフ国の王も集まった。もちろん、赤子を抱いた女王の姿もあった…。
16年後。
16歳になった我が子エリアスを石垣で作られた迷路で楽しそうに追う母としての女王の姿がある。逃げるエリアスに彼と同じ顔をした男の子ジョナが合流した。ジョナは16年前に怪物の心臓が発した煙を吸った女中の子供。彼らは、王子と平民という身分を超えて親しくなっていた。
女王はエリアスにはジョナに会わないように言っていたのだが、王宮から、2人が一緒の馬に乗って楽しそうに談笑している姿を見ると怒りがこみ上げてしまう。女中を呼びつけるとキツク言い放った。
ロングトレリス国の女王:あなたに肉親と呼べるのは私だけ。謝りなさい。
エリアス:ごめんなさい。
ロングトレリス国の女王:今度、2人でいたら二度と許しませんよ。
大勢の裸の女が横たわる湯殿。散らかり放題なのはここの主が“性”にしか興味がないから。その主ストロングクリフ国の王が姿を表すと、直ぐに女に身体を求めるが、断られてこの場をあとにする、尽きることのない欲望が慰められることなく。
灯りのない狭い王宮の廊下で王が耳にしたのは若くて美しい女の歌声であった。いや、“若く聞こえる声を発する女”と言ったほうが正しいか。王は王宮から声が聞こえる方へ話しかけ、己の欲望を満たそうと誘うのだが、女は直ぐに家の中へと入っていった。
王は女の気を惹かせる為に宝物庫を漁ると、宝を侍従を使い女の家へと持って行かせる。この家に住むものは人目をしのぶ引きこもりの様な人物なのだろう、宝を受け取るために動いた“仕掛け”がそれを物語っている。仕掛けの桶で宝を受け取ると、侍従に会うことはなく、王の愛の言葉だけ受け取った家主。
深夜になり、祈りを捧げて寝ようとしているのはこの家に住む姉ドーラと妹インマの老女姉妹だ。突然、玄関のドアを激しく叩く音が聞こえる。2人が玄関に行ってみると王が喋りかけていた。昼間、外で歌っていたドーラの声に惚れたことを語る王。ドーラは王に、1週間後に訪ねるように言った。
ドーラ:美しい一部を差し上げます。指です。
王が去ったあと、妹インマはどうするのか姉ドーラに尋ねるのであった。
弦楽器を美しく奏でるのはハイヒルズ国の王女。誰のために弾いているのかと言うと父である王のために弾いているのだが、王は“ノミ”に気を取られている。そのノミは王から離れようとはせず、王が差し出す手のひらに飛び移るなど王を気に入っているフシが見られる。自分の奏でる音色など耳には入らない父王にヴァイオレットはムッとする表情を浮かべた。
夜。王はまだノミの事を気にしている、いや、気になっている。指に留まったノミに、王は自分の指を傷つけ血を出すと、ノミはその血に頭を埋める。この頃は小さな指の血溜まりに身体が全て包み込まれる程の大きさであったノミだったのだが…。その後、王は嬉しそうにノミを箱へと入れると、虫眼鏡を取り出して観察をするのだった。
ノミに夢中のハイヒルズ国の王は仕事が手につかない。指の先ほどに大きくなったノミにミニチュアの車を牽かせて楽しむ王がいる。ある時、娘ヴァイオレットと彼女の結婚について話をする王。退屈な王宮ぐらしから抜け出し素敵な男性と一緒になることを夢見ている王女。その話も終わり食事となった時、ヴァイオレットが“火が通っていない!”と肉を残した。王はその皿を手に持つと、嬉々とノミに与える。大きさは人間の頭2つ分にはなっているだろうか…。
ロングトレリス国。女王が侍女たちに自分の支度を頼んでいる。王子エリアスの名を呼ぶと、現れた男にイヤリングのチョイスを任せる。男は女王にイヤリングを着けて部屋をあとにするが、女王の顔は曇っていた、“息子”に何か違和感を感じて。
部屋にいる王子エリアス。彼の部屋に入ってきたのは王子の身なりをしたジョナだった。女王にあれ程きつく会わないように言われたエリアスだが、ジョナと会っている。そして平民であるジョナに対してこう話すエリアス。
エリアス:もうじき18歳だ。僕が王に即位をしたら交代で王をやろう!
この部屋を覗き息子の言葉を聞いている、自分の部屋を訪れた“息子”に違和感を感じとった女王の姿があった。女王が部屋へと入るとエリアスはジョナを見えないように隠す。女王は息子にこう話す。
ロングトレリス国の女王:誰よりもあなたを愛している。
女王が部屋から出たあとで、エリアスはジョナを帰すが、彼が薄暗い肉の燻製部屋を通っているときに女王が襲った!頭を打たれたものの軽い傷で済んだジョナは静かに王宮から逃げ出した。
18歳の即位を前にして、ポーズを取り肖像画を書かせている女王とエリアス。エリアスは立ったままなので一度身体を崩して外を見ると、見えた“状況”が気になって肖像画どころではなくなってしまう。
それは旅立とうとするジョナの姿…。ジョナはエリアスに会うと大きな木が生える場所へと連れてきた。ジョナが気の根本を鋭いもので突き刺すと、綺麗な水が湧き出した。そしてジョナはこう言った。
ジョナ:水を眺めていてほしい。水が枯れれば僕もお仕舞いだから。
ジョナが旅立ったあと、エリアスは木から流れ出る水を気にかけている。絶え間なく、澱みなく流れ出る水は小さな泉となり、そこで子供たちが遊んでいるのを見つけると、エリアスは子供たちを追い払う。そして水に浮かんだ汚れを手ですくうと、それを捨てて綺麗にしたエリアス。まるで、この水が枯れると、本当にジョナが死んでしまうような気がしているから…。
[ストーリーは導入のみ]
・ロングトレリス国。木の根元を流れ出る水が泉になり、エリアスがそれ眺めていると血のような濁りが…。
・ストロングクリフ国。ドーラは一度は姿を見られて王に拒絶をされるが、若返り、王の妻に。妹インマは姉のように若返ることに取り憑かれる…。
・ハイヒルズ国。娘ヴィクトリアの結婚のため、死んだノミの表皮を見せて何の動物か当てさせるテストを開く。怪物のような男が当ててしまい、王の威厳を保つためにヴィクトリアは嫁いでいくが…。
・若いファンはおとぎ話の映画と言えばジョニー・デップの「アリス・イン・ワンダーランド」を思い浮かべるだろうが、本作は正統派のおとぎ話。ユーモアも皮肉タップリ!
・「ゴモラ」、「リアリティー」でカンヌを2度制したマッテオ・ガローネ監督による映像美、見事!
・あっと言う展開・結末が待つ、是非劇場で!
公開は11月25日。
レビュー・感想・解説・評価
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ジャンバティスタ・バジーレの世界で最古のおとき話と言われる『五日物語』を基にしたエロティックなファンタジー。
メガホンをとったマッテオ・ガローネ監督は2度カンヌを制しており巨匠と呼ばれる程の監督だ。
撮影監督のピーター・サシツキーはジョルジュ・シュルイツァー監督の「失踪 妄想は究極の凶器」やティム・バートン監督の「マーズ・アタック!」などの撮影もしている。
キャストを。
・本作は皆が主人公と思われるのだが、トップクレジットだったのは「フリーダ」のオスカーノミニー、サルマ・ハエック。本年はカリコレ2016で「おとなのワケあり恋愛講座」が公開され、魅力的な面立ちを存分に魅せてくれた。他に少し趣味の悪い「ワイルド・ワイルド・ウエスト」など。サルマ、おとぎ話が似合うねぇ!
・フランスのスター俳優であるヴァンサン・カッセルが女性を求める王を演じる。大スターがこぞって手を挙げた「オーシャンと十一人の仲間」のリメイクシリーズでは「オーシャンズ12」から参加して続編「オーシャンズ13」にも出演。新作「ジェイソン・ボーン」が公開された。見境の無い王様に注目!
・ノミを飼い始めたことから娘の悲劇に繋がった王様を演じたのはトビー・ジョーンズ。2016年10月には主にイギリスを舞台とした伝記映画「奇蹟がくれた数式」に出演。面立ちが本当におとぎ話に合っている。
・サルマと夫婦役を演じるのは個性派アクターのジョン・C・ライリー。彼の出番は序盤のみなのでファンは気をつけて欲しい。「ギルバート・グレイプ」や「黙秘」、「ギャング・オブ・ニューヨーク」や「ダーク・ウォーター」など。ライリーが潜水する時の格好は少し滑稽!?
・出演作「トレインスポッティング」が一世を風靡して続編が製作されているが、そのシャーリー・ヘンダーソンが老女の妹を演じる。少し顔立ちでは判別がしにくい。姉を見て若返ろうとする老いた妹、ではどの様になるのか…?
・キャスト欄では現在のところ役名を“???”としているが、“ソレ”を演じたのはステイシー・マーティン。日本では本作と同日公開となる「シークレット・オブ・モンスター」でフランス人家庭教師を演じている。ネタバレも何も彼女の姿はこのページの画像の中にあるので…。
さて。
世界最古のおとぎ話、知らなかったなぁ…ってことで原作は未見だ。確かに官能的な描写はあるのだが、ソレが苦手なtoikunでも辟易する事はなく、寧ろ映像美に見入った。邦題の副題「-3つの王国と3人の女-」とあるけど3人の王様たちや王子やジョナなども主人公と言って良いと思う。それぞれ深く描かれているし、自身の中のストーリーで主人公だし。
近年の驚くようなVFXの描写はないが、確かなVFXと美術が物語を支えているのは分かる。それ程には派手さがないと言う事、アクション映画でもないし。でも、そんな映画達が置いていきがちな人物描写はしっかりとされているのでご期待下さい。
エンドロールには特別な本編映像はないのだが、壁画を思わせるバックグラウンドに多重の幕のような映像が映るので、ソチラもお楽しみを。
尚、本作を観る前に公式サイトのPRODUCTION NOTEの一番下、“LOCATION MAP”を見ておくといいぞ!シチリア島を蹴飛ばしているイタリアの地図があり、3つの国の位置関係などがある。toikunは何も知らずに本作を観たので、広大な地球に3国しかないのか?っと思っていたので…。
公開をお楽しみに…☆
2016/10/20
by toikun.
『映画ファン』さんのレビュー・評価
投稿日時:20??/??/?? 15:59:46
4点/10点満点中★★★★☆☆☆☆☆☆
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