映画「92歳のパリジェンヌ」あらすじ,ネタバレ,レビュー
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あらすじ
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92歳となった女性マドレーヌは、自分のバースデー・パーティの席で家族にこう言った。
“2ヶ月後の10月17日に私は逝きます”
最近は立つのがしんどくなってきたし、車を運転することも出来なくなった。“出来なくなった事リスト”も大分埋まってきた。お手伝いのヴィクトリアは幾分かリベラルな女性であるため彼女に影響を与えた!?
マドレーヌの娘ディアーヌや息子ピエール、そして彼女たちの家族は皆マドレーヌの願いを否定する。長男であるピエールは、母マドレーヌがこう言い出したのは、ヴィクトリアの考えが遷ったせいとか鬱病になったとか言い出す。マドレーヌの考えを一番分かっていると思われるディアーヌも実は分かっていなかった。
ディアーヌの同居の申し出を断りアパートで一人暮らしを続けるマドレーヌ。だが倒れ、入院し、オムツを履くことになってしまった。
“逝くことへの思い”を家族が受け容れてくれないマドレーヌ。だがオムツ姿を娘ディアーヌに見せた時、娘の思いが変わった。
母マドレーヌを退院させて、車で旅に出るディアーヌ。目的地で…。
そして近づく10月17日。家族は…、そしてマドレーヌ自身は…。
フランスのジョスパン元首相の母ミレイユが2002年に行った“決断”を基にしたファミリー・ドラマ。(そしてtoikunはジャンルの欄にロマンスを入れてみた。副次的なものではあるが、マドレーヌという女性を端的に表す言葉であるし、描かれるし。)
原案はノエル・シャトレの『最期の教え 92歳のパリジェンヌ』(Amazonへのリンク)となっている本作。公式サイトのPRODUCTION NOTEには本作の監督パスカル・プザドゥーが原作を読んで衝撃を受けたことや、コメディ映画をバックグラウンドにもつ監督の興味深いコメントなど多岐にわたっているので是非一度覗いて欲しい。映画を深く理解できるから。
セザール賞ノミニー女優マルト・ヴィラロンガにセザール賞女優サンドリーヌ・ボネール共演!“安楽死”を正面から扱った見応えのあるドラマは10月29日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー!公開される劇場一覧はコチラをドウゾ!
なお、テーマ曲であるジルベール・ベコーのシャンソン楽曲『そして今は』はコチラのYouTubeを参照して欲しい。映画の中で流れるこの楽曲の歌詞字幕を観た時、あなたは何を感じるのだろうか?
間もなく公開の映画で日本の価値観が変わるかもしれない…。
予告編オープニングに登場するピエールの可愛い娘ルーを演じるジュリアン・ルポローにもご注目アレ!?
配給:
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ストーリー・ネタバレ
ラジオから流れる明るいシャンソンを聞いても、91歳の女性の“決断をした表情”は些かも崩れることはなかった…。
この決断をするまでにあった事象とは…自動車を運転していた女性は自転車を轢きそうになってしまった。停車するとクラクションを鳴らされ、女性は急いで車を出そうとするもクラッチが繋がらずに空吹かし…。彼女はノートをつけていた、それは死ぬまでにやりたいことを書き連ねるというBucket List(バケット・リスト、バケツ・リスト)ではなく、やれなくなった項目を連ねた、さしずめ“やれなくなったことリスト”。自動車の項目を書くと、静かに上から横線を引くのだった…。
今日8月17日は彼女マドレーヌの92歳の誕生日だ。娘ディアーヌの家を訪れたマドレーヌ。ディアーヌの夫クロヴィス、息子マックス、そしてディアーヌの兄つまりマドレーヌの長男ピエールや彼の家族がマドレーヌのバースデーパーティーに集まっていた。
それなりに自由にやってきたマドレーヌとピエールとの間には溝ができてはいたが、ピエールは母のために大きな液晶テレビをプレゼントした。マドレーヌが使い方が分からないと言うと、ピエールは母のために母の家に行く前に設定をする。
そして家族団欒の場となったこの家だが、家族の話に混じれない、いや、とある決断をしているために混じらないマドレーヌ。そんな母を娘ディアーヌが心配していると、マドレーヌは突然立ち上がった。だが騒々しくて聞くものなどいない。何度か椅子に座るマドレーヌだったが、意を決し、ついにこう言い放った。
マドレーヌ:長い人生だった。でももう疲れた。2ヶ月後の10月17日に私は逝きます。
突然の発表にシーンとして言葉がない家族。やりきれなさか、次々と席を立つと、残ったのはマックスひとりだった。スマートフォンのゲームをしているマックスひとりだけ…。
娘ディアーヌと息子ピエールに連れられて、一人暮らしのアパートに帰宅をしたマドレーヌ。92歳という高齢の母親を慮って“エレベータはないの?”なんて話すディアーヌだが、隣人の青年ディディッドが現れるとマドレーヌを抱きかかえて彼女の部屋へと連れてきた。“メンテの要らないエレベーター”なんて粋なことを言うディディッドは、マドレーヌにとっては本当に良き隣人だ。
母のアパートに入ったディアーヌは家の中を覗くと片付けの最中のようだ。ピエールがテレビのセッティングをして、3人は思い出のビデオを流した。そこに映るのは、若き日のマドレーヌと幼いディアーヌとピエールだった。
子供たちが帰ったあとお手伝いさんのヴィクトリアと電話で話したマドレーヌ。“ついに決心した事を話した”と語ったマドレーヌだった。
兄ピエールとはお互い家族がいるために、当然のことながら別居をしているディアーヌは、兄に家まで送ってもらう車の中でこう兄から言われる。
ピエール:ヴィクトリアに感化されたのか?老人ホームにでも入れるか
妹ディアーヌはそれを聞くと車を出てしまった。そして兄からは“面倒を見ろよ!”と言われるのだった。
92歳になったパリジェンヌ、マドレーヌは、長い人生で集めてきた小物を一つずつ大事に大事に包装紙に包むと、それに一枚ずつメモをした付箋紙を貼っている。翌朝、4時10分というマドレーヌにとってもまだ早い時間に目を覚ました彼女は、自由ではない身体を起こすと布団の上で寝ている飼い猫シモーヌをどかして懸命に布団のシーツをひっぺがす。シーツを洗うことは普段来てくれているお手伝いのヴィクトリアの仕事なのだが、マドレーヌが早朝に必死になるのには理由があった。彼女はオネショをしてしまったのだ…。
お手伝いヴィクトリアが“出勤”してくると、洗濯をしているマドレーヌを見て“私の仕事よ”と言うがマドレーヌは洗っている“理由”を話した。笑い合うマドレーヌとヴィクトリアだったが、何でも自分でやろうとするマドレーヌにこんなことを言ってまた笑い合う。
ヴィクトリア:棺桶も自分で閉めるつもり?
出かけるヴィクトリアに新聞の購入を頼んだマドレーヌ。ヴィクトリアが何時ものように置いてある小銭を取ったところで彼女の顔色が変わるのであった…。
ディアーヌの家。ディアーヌは髭もじゃの息子マックスを起こすとこう言った。
ディアーヌ:部屋をかたして。おばあちゃんが来るの
ディアーヌはマックスの部屋に母親を連れてこようと考えていた…母親を引き取ろうとする決心。だが自分の部屋がなくなることを知り機嫌が悪いのかマックスは、祖母が自由すぎると言われ、母に、こうあたった。
マックス:自由のどこが悪い?(おばあちゃんは)ママよりずっと人生を楽しんでいる。
マックスは祖母マドレーヌの家を訪ねると“アルツハイマー病でしょ?”なんてストレートに聞いた。彼にとっての伯父ピエールもマドレーヌが“鬱病なのでは?”なんて思っているのだから、マックスのことは責められない。今年、彼女が居るオーストラリアに行ってサーフショップを開くと言う夢を語ったマックスはこう続けるのだった。
マックス:死ぬのは春がいい
ある日。母親マドレーヌを連れ立ってショッピングに出掛けたディアーヌ。楽しげに買い物をするマドレーヌだったが疲れたのか試着室で寝てしまう。気付いたディアーヌは母親を車に乗せ、彼女が目を覚ますと、こう申し出た。
ディアーヌ:うちへ来て。私が世話をする。
続けて
ディアーヌ:10月17日を命日にしろと言うの?
マドレーヌはこう、言うだけだった。
マドレーヌ:受け容れて…。
アパートへ母親を連れ帰ったディアーヌは家政婦ヴィクトリアからこう言われてしまう。
ヴィクトリア:この家はマドレーヌの一部よ!取り上げないで!
[ストーリーは導入のみ]
・マドレーヌが一人で居る時に倒れてしまい、発見したディアーヌによって病院へ…そして入院。
・オムツを履かされたマドレーヌは、その姿を娘に見せると…。
・対立するディアーヌとピエール…。
・ディアーヌの考えは変わったのだ!そして…。
・まず聴きどころとして、劇中に流れる、特に、ジルベール・ベコー『そして今は』の歌詞は考えさせられるし、エンディングテーマでも流れるが、どう感じるか?
・スリラーチックな描写やライトコメディな描写もあってヨロシイ。
・基になった“元フランス首相夫人の死”の結末は“死”であったが、本作はどうなるのであろうか?
・明かされるマドレーヌの過去の人柄にあなたは何を感じるのか?
公式サイトの多彩な画像をご覧になって、お待ち下さい…。
レビュー・感想・解説・評価
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先日、とても陽気な映画「胸騒ぎのシチリア」を観て、すごい結末にビックリしたtoikunは本作の最期には…を期待した(言及はしませんYO)。フランスの実話を基にしたファミリードラマ。
メガホンをとるはコメディを多く手掛けてきたというパスカル・プザドゥー。現状、日本の字幕付きで観られる映画は本作以外ないようだ。女優としても活躍するパスカルは「タンゴ」(1992)などに出演。
キャストを。
・主人公の92歳の女性に扮するはマルト・ヴィラロンガ。そう言えばこの項目では“老人”なんて言ってなかったけどマルトには何か“女性としての”気品があるなぁ。「愛と哀しみのボレロ」や「赤ちゃんに乾杯!」などに出演。役柄の結末は劇場で…。
・マルト・ヴィラロンガとのW主演とも言えるサンドリーヌ・ボネールが娘役として登場する。「仕立て屋の恋」など。ディアーヌもまた母親を理解していなかった…その理解した前と後を“アナタは理解”するか?
・母親とは過去のことで葛藤があった息子ピエールに扮するはアントワーヌ・デュレリ。「メトロで恋して」(2004)などに出演。息子は息子で考える、苦悩は母親よりあるんじゃないかな?溝が出来た過程の展開が描かれた後、アナタは“母親を”理解するか?
・ディアーヌの息子マックスとして登場するのはグレゴアール・モンタナ。若き才能はフランス映画界をしょって立ちそうと思わせる本作。オープニングでスマホ弄ってるマックス、“馬鹿息子!”なんて思っていると直ぐに面食らうゾ!こう息子が主人公とも思える程にキチンとフォーカスがあたってくれるのは嬉しく、同様の好意は「母の残像」でも感じられた。
・血が繋がっていないと言うことで家族と言っても“助演”扱いなのだがディアーヌの夫クロヴィスを演じたのはジル・コーエン。「預言者」(2009)など。世の男性諸氏には、こう言う夫にはなってほしくない、という面が描かれるので参考にしよう!
・お手伝いさん、ヘルパーという字幕は本編には出てこなかったように思うが、ヴィクトリアを演じるのはザビーネ・パコラ。アメリカ映画で言うところのウーピー・ゴールドバーグな役どころだ。
さて。
血の繋がった家族には満遍なくフォーカスがあたり、流石“感動作品”という感じ。微笑ましい描写も多く→→→特にダンスシーン!に、ニヤけちゃう!これ、チョット本作より1週間後の公開のスペイン映画「ジュリエッタ」にも似たような感じがある。こういう演出に好感を持つ人多いよね?
何かザビーネ・パコラが微笑ましくて良かったし、隣人ディディッドを演じたジョナ・ディナルも微笑ましいし。だけれども、今までアメリカ映画を多く見てきたtoikunは、ドイツ映画「帰ってきたヒトラー」やイタリア映画「人間の価値」に今年出会って、また旧作フランス映画「ありふれた事件」に出会って、“人種”を考えるセリフに暗くなっちゃったんだけど、本作でも…。
色々と考えることの多い本作だけれども、色々と楽しい描写も多い→中和を計っているのかもしれないが、では果たして結末はどうなるのか?お知りになりたい方は公式サイトの写真にヒントがあるのでご覧下さいナ☆
最後に。イギリス映画で「ウィンター・ゲスト」という作品があるのだが、この映画で親子を演じたのが実の親子フィリダ・ロウとアカデミー賞女優エマ・トンプソン。本作がイギリス、若しくはアメリカでリメイクされるならば、この2人だなぁ…なんてエンドロールでニヤけていたtoikunがいた…。
2016/10/16
by toikun.
映画ファンの口コミ・レビュー
No.1 レビュアン さん
レビュー日時:2017/07/15 18:47:15
評価:8点/10点満点中(最低点1点)
★★★★★★★★☆☆
未見で申し上げるのも何ですが・・・・・良作の匂いがプンプンしますね~期待点8点です(笑)私の好きな人情話のような・・・・・・・・近日中に見てみたいと思っておりますm(__)m
『映画ファン』さんのレビュー・評価
投稿日時:20??/??/?? 15:59:46
4点/10点満点中★★★★☆☆☆☆☆☆
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