映画「母の残像」あらすじ,ネタバレ,レビュー
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あらすじ
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かつて戦争写真家として戦地を回っていた女性イザベルは、引退後“不運な交通事故”に巻き込まれてこの世を去った…これが世間の知る著名なイザベルの“死”だ。
イザベルと共に度々戦地へと行き“戦友”でもあったリチャードが、ニューヨーク・タイムズ紙にイザベルの回顧録を寄稿をする話が持ち上がり、世間が知らない“真実”を記述すべくイザベルの夫ジーンに連絡をしてきた。
ジーンと彼の長男ジョナは“母親が精神を病んで自殺したのかもしれない”という事実を知っていたが、まだ事故当時幼かった次男のコンラッドには知らせていなかった。記事が出る前に、自分の口で真相をコンラッドに話すべきか、長男に連絡をとる父ジーン。
だが、高校生となったコンラッドは、友達がおらず、家ではゲーム三昧の日々であり不安定に見える、まるで“母の残像”が何時までも離れないかのように…。
果たして、コンラッドに真実を話すべきなのだろうか?もし、それをしてしまったらコンラッドは、耐えられるのであろうか?
父親ジーンと兄ジョナの決断は?そして彼らからも離れない“母の残像”は…。
かつて「オスロ、8月31日」でカンヌを湧かせたヨアキム・トリアー監督の劇場用長編映画監督第3作。2015年のカンヌ国際映画祭をまたもや歓喜に包んだ感動の家族ドラマが2016年秋に登場する。
「ユージュアル・サスペクツ」のガブリエル・バーン、本年は大ヒット映画の続編「グランド・イリュージョン 見破られたトリック」で魅せたジェシー・アイゼンバーグ。「ヴァイオレット・ノジエール」でカンヌ国際映画祭主演女優賞を受賞するなど名女優であるイザベル・ユペールが故人イザベルを演じる。
家族を演じるのはもう一人いる、コンラッドを演じる期待の若手俳優デヴィン・ドルイド。彼を中心にして物語が進んでいくが、皆、何かを抱えている。父、兄、弟、皆がオカシイのはそれぞれが、それぞれなりの“イザベルの残像”に憑かれている・抱えている。物語の結末に一筋の涙がこぼれ落ちた。
前後したが“戦友”リチャードを演じるのは「グッドナイト&グッドラック」のオスカーノミニー、デヴィッド・ストラザーン、お腹いっぱいになります☆
極上な本作を紹介できることを非常に光栄に思う。
そんな極上の映画「母の残像」は2016年10月17日現在、3つの映画館で上映が決定している。“無数”に増えるであろうと思われる公開劇場一覧はコチラの公式サイトの“THEATERS”ページで。
11月26日(土)、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかロードショー。
公開まではまだ時間があるので公式サイトをご覧になり、写真付きのスタッフ・キャスト紹介や、映画評論家の樋口泰人氏の逸品のコメントなどを是非。
INTRODUCTIONは特に興味深いぞ。またきっと公開が近づくと現状未公開のヨアキム・トリアー監督のインタビューも公開されると思うので、チェックを欠かさずに☆
“秀作”は劇場で観てこそ、真の評価が出来る、お見逃し無きように。
配給:ミッドシップ
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ストーリー・ネタバレ
産婦人科病棟。赤ん坊を抱いている男性は大学教授のジョナ。妻エイミーとの間に生まれた娘を、亡くなった母親と同じ“イザベル”と名付けたジョナ。優しく顔を撫でた後に保育器へと戻したジョナは、エイミーの口癖である“Fuck”が娘にうらないように、彼女に言わないように言い聞かせると、自分達の食事を買いに病院の売店へと出掛けていった。だが売店は閉まっていたために、他に食事を買える場所を求めて院内をさまよっていたジョナが、昔の恋人であるエリンを見つけた。彼女は父親を50代で亡くしたと言う。ジョナから彼が教授職に就いている事を聞いたエリンは、この病院で何をしているのかを尋ねると、エイミーと結婚して子供が産まれたことを話すジョナ。“エイミーが妻”だという事を聞いたエリンはこう言った。
エリン:ゴメンなさい。“I'm sorry...”
つまりは、エイミーは彼らの中では高感度のある人物or教養がある人物とは思われていないことが分かる。こう言った後でジョナに抱きついたエリンだった。
LOUDER THAN BOMBS
ジョナの父親ジーンがいるのは戦争写真家であるリチャードの家だ。ジーンが見ているのは、リチャードがイザベル・リードという女性についてインタビューを受けている場面。このイザベルというのは何者なのだろうか?
イザベルもまた戦争写真家で“あった”。それもチャーリー・ローズ・ショーに出る程の著名な写真家。そんなイザベルのことはモチロンWikiPediaにも書かれている。このチャーリー・ローズ・ショーで司会のチャーリー・ローズにこう話すイザベル。
イザベル:撮ることが、私の責任なんです。
しかし、イザベルは写真家を辞めた後、58歳で交通事故に巻き込まれてこの世を去ってしまったのだ。リチャードは何度もイザベルと共に戦地を渡り歩き、写真を撮ってきた親友である。その彼が新聞に寄稿する回顧録のために、ジーンを家に呼び昔の映像を見せていた。そして、そのジーンに、リチャードがイザベルの素材を提供して欲しいと持ちかけた。そう、ジーンはイザベル・リードの夫なのである。そしてジョナはジーンとイザベルの長男だ。写真などの提供については“ジョナと相談してみないと…”と話すジーンだが、リチャードは彼にこう話すのだった。
リチャード:記事を書くには、死の真相に触れなければならない。
リチャードの話す真相とは!?実は戦争写真家を辞めた後、イザベルは少し精神がおかしくなったフシがあった。そして不運な交通事故として処理された死因だが、イザベルの自殺の可能性もあったのだ。その可能性が大いにあると思っているリチャード、そしてジーン。ジーンが息子にその事を話したのかどうかを尋ねるリチャードは、自分が回顧録を寄稿することによって、それを見たジーンの息子たちが母の死の真相を初めて知ってしまい傷ついてしまうのではないかと心配をしているのだ。
当時12歳、今は高校生になっている次男のコンラッドには伝えてないと話すジーンだった。
ジーンは、コンラッドの通う高校へとやって来ると、息子の教室の前で国語の教師ハンナに合図をした。放課後になると、コンラッドは誰とも話さずに校舎から出て帰宅の途へとついた。それを車に乗って眺めているジーン。
息子に気付かれないように少し距離を置いて車を走らせたために見失うものの、直ぐに公園のブランコに座るコンラッドを見つけた。すると、ジーンはコンラッドの携帯に電話をかけた。何をしているのか尋ねる父親に、コンラッドは友人のケネスと一緒にいると話すが、彼の周りには誰一人姿はなかった…。忙しいと言って電話を切るコンラッド。彼は公園から行ってしまい、また距離を置いたジーンは見失ったが、今度は息子がレストランに入るところで見つけ出したジーン。息子の様子を伺うジーンだが、コンラッドは直ぐに店から出ると墓地へと足を踏み入れた。この墓地は、母親イザベルの眠る墓地。
墓の前にやって来ると、急に墓に向かい倒れるコンラッド。彼は、直ぐにその場を去るが、後をつけてきた父親ジーンが墓石を見ると“バルデス”と書いてある…誰!?
一足早く家へと帰ったジーンが料理をしていると、コンラッドが帰ってきた、“ただいま”も言わないで。部屋に入ったコンラッドを確認したジーンは次いで部屋に入るとやはりコンラッドはゲームに夢中になっていた。会話をしようとするジーンだが、会話にならない。改めて、“話したいことがある”と言ってゲームの中断を促すも、いきなりコンラッドはビニール袋を被り窒息しそうな状態となってしまう!ジーンは何とかビニールを取り去るもコンラッドは部屋を出て行った、この言葉を残して…。
コンラッド:失せろ!
森を彷徨うコンラッド。裸足の彼が歩を進めると倒れている女性を発見した。女性が脱いだのであろう靴を履くと、まるで女性が母親であるかのように、“添い寝”をするコンラッドの姿があった…これはコンラッドの母親との夢か…。
翌日。学校へとやって来たコンラッドはハンナ先生の国語の授業を受けている。本を朗読するクラスメートに目をやったコンラッドは、彼女の読む文章の断片から過去を思い出している。そして、その“過去”は母親が事故を起こした夜であり、その“瞬間”に思いを巡らすコンラッド…。
直ぐに幼い頃へと記憶が飛ぶと、母イザベルとのかくれんぼを思い出して顔がほころぶコンラッド。ハンナ先生がボヤッとしているコンラッドを見つけると声を掛けて朗読についての質問をするがコンラッドに声は届かなかった…。
下校時間。ひとりで帰宅をするコンラッドにまた父親から電話が入った。前と同じく“友人といる”と言って電話を切ったコンラッドは同級生の女の子3人組を発見して後を追った。その中の一人は国語の時間に朗読をしていた子。彼女たちを追ってレストランへ入ったコンラッドだが、注文をしようとしたところで反射する天板に見えたのは様子を伺っている父親ジーン。コンラッドは直ぐに店を出るのであった…。
イザベルのみた夢の話しを聞いたジーンは、それを分析する。そしてこう言った。
ジーン:退屈しているのでは?
眠りから起きたジーンは長男ジョナの姿に気付いた。ジョナは子供が産まれたばかりだというのに、1人でやって来たのだ、コンラッドのことについて相談を受けたため。ジーンは家族と来ると思って部屋を用意していたが、ジョナは片道6時間かかるので妻娘に負担をかけないために1人で来た…いや、1人で来た理由はそれだけではなくて、妻エイミーには未だ話せていない母親の死の真相を、話すことになってしまうだろうと思ったから…。
起きてきたコンラッドはシリアルを食べようとする。“この家でシリアルが出てくるとは。”と口には出したが、食べることを止めようとはしなかったジョナ。
母親イザベルの仕事場へと入ったジーン、ジョナ、コンラッド。母親の残した懐かしい写真が出てくると、それに写るのは父親ジーン。役者をしていた頃の思い出だ。そして、ジーンは取り敢えず朝食に誘うが、“今やりたいんだ”とジョナは思い出の整理をし始めた…。
[ストーリーは導入のみ]
・父親ジーンの隠してきた秘密を知ったコンラッドは…。
・誠実そうな長男ジョナ…。
・母親イザベルの秘密が明らかになると…。
・この一家は、再び一つになれるのか?
・そして、恋…。
・高校生のコンラッド、小学生ではないが、名作「スタンド・バイ・ミー」を思い出す!
・家族みんな、満遍なくフォーカスがあたる。みんな主人公なんです、それぞれの人生の…という意味でも。
・一点だけ、ネタバレ描写をしてしまいましたが、本作をご覧になった後に、もし自分がこう言う立場に置かれたら…と想像をしてみて下さい。
・T's Theaterは本作を劇場で観るべき作品としてイチオシします。劇場へ行く際は、ハンカチーフをお忘れ無く!
公式サイト、そして下のポスター画像にあるキャッチフレーズ、“誰も知らない、もう一人のあなた”。あなたは自分も知らない一面を気付くことが出来るでしょうか?そのヒントに本作を…。
レビュー・感想・解説・評価
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もう、名優と呼ばれる域に達したのだなぁ…としみじみ感じたガブリエル・バーン…。でも一番感情移入しちゃったのは、コンラッド=若き才能デヴィン・ドルイドです!
メガホンをとるのはデンマーク人監督ラース・フォン・トリアーを叔父にもつ新鋭ヨアキム・トリアー。長編映画の監督3作品目で既に上り詰めた感が映画に溢れている!3作品目にして初の英語作品という事になり、ハリウッドスターがキャスティングされている。
キャストを。
・父親ジーンを演じるのは「ユージュアル・サスペクツ」で世界中をビックリさせたガブリエル・バーン。アカデミー賞のノミネートがないのが不思議だよねぇ。「ニキータ」というリュック・ベッソンのハリウッドリメイク「アサシン 暗・殺・者」では「ニキータ」のチェッキー・カリョの役を引き継いだ。「自由な女神たち」(1998)は単純明快、無敵に面白かった。本作でのお父さん、複雑です…。
・長男ジョナは教授だった!って教授として授業とかしたり威厳のあるシーンはないが、そんなジョナに扮するのは「ソーシャル・ネットワーク」でアカデミー賞にノミネートを果たしたジェシー・アイゼンバーグ。「グランド・イリュージョン」と続編「グランド・イリュージョン 見破られたトリック」では短めの髪の毛で凄いマジックを魅せた!ウディ・アレン監督作品の「ローマでアモーレ」ではアレック・ボールドウィンとの絡みが面白すぎた。貴方はこのジョナの行動に共感できるか!?
・次男コンラッドは皆が主人公の中でも“イチバンの主人公”だよね!ダニエル・ラドクリフとの共演作の公開も控えるデヴィン・ドルイドが複雑な年代の男の子を演じる。大体の方がこの道を通ってきたんじぁあないかなぁ。
・イザベルという女性の死の真相とは!?前述カンヌ国際映画祭主演女優賞も見事だがフランスのアカデミー賞と言われるセザール賞の女優賞に最多15回ノミネートってのも凄い(!)イザベル・ユペールが扮している。劇中で明らかになるイザベルの秘密は10月公開の「92歳のパリジェンヌ」に通じる秘密であり、“描くか否か”について映画ファンとしては賛否が分かれると思う。では、それはどんな秘密なのか?
・一家が集まる発端となった人物リチャードを演じるデヴィッド・ストラザーンは「グッドナイト&グッドラック」のオスカーノミニー。「ザ・ファーム 法律事務所」ではトム・クルーズの兄貴を演じていて、同作では2016年大きなニュースとなったタックスヘイブンが描かれる。スティーヴン・キング原作の「黙秘」や映画ファンの評価が高い「L.A.コンフィデンシャル」、大ヒットアクションシリーズ「ボーン・アルティメイタム」にも登場!toikunが今のところ観ている一番古い作品は「ロンリー・ブラッド」でクリストファー・ウォーケン達泥棒一家の一人として登場してた。本作、家族だけでなくこのジャーナリストにも秘密がありますが…。
・ハンナという国語教師にも思わぬ秘密が…「ゴーン・ベイビー・ゴーン」のアカデミー賞ノミニー、エイミー・ライアンが扮している。
さて。
本作も観たいなぁと思い続けて来たが紹介が遅れに遅れてしまいファンに申し訳ない。そして“観たいと思い続けた気持ち”が裏切らなくて本当に良かった。すげぇ、いい映画!
このデヴィン・ドルイドという俳優、先日の「シークレット・オブ・モンスター」の子役トム・スウィートと共に、“見守りたくて、折ってしまいたくなる才能”。こう言う若い人たちの原点となるような作品にリアルタイムで出会えることは嬉しいものだ。
映画として道草みたいな描写が多々描かれるが、それが家族の秘密って事になっているので意図通りかも知れないが、描かなかったらどうなるだろうね?登場人物達が優等生になっちゃうのかな?そうすると弟コンラッドと真逆に位置しちゃう…ってーことは、家族みんな同じという事なので描いて正解かぁ。
なんて、ご覧になってない方には何を言っているのか分からない表現だが。
映画ライターとして個別の映画を応援するのは禁忌なのかも知れないが、映画ファンとして、それこそ本作の奥さんエイミーじゃないけど、“Fuckin'”応援したくなる。二律背反の立場を背負いながら、秋の夜長に物思いにふけります。
2016/10/17
by toikun.
『映画ファン』さんのレビュー・評価
投稿日時:20??/??/?? 15:59:46
4点/10点満点中★★★★☆☆☆☆☆☆
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