映画「スカーレット・レター」(1995)あらすじ,ネタバレ,レビュー
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あらすじ
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既婚女性ヘスターは夫とは別に新天地アメリカを訪れて牧師アーサーと恋におちた。夫はアメリカ原住民に襲撃されて死んだと思ったヘスターは誰に隠すこともなくアーサーと交際できると思ったが、遺体が確認されない為に7年間は男性と付き合えないことを知る。それが2人の恋心を燃え上がらせてヘスターはアーサーの子供を妊娠、出産。しかし死んだと思っていた夫ロジャーが現れて…。
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説明:
英語名ジョニー
ストーリー・ネタバレ
(キリスト教のカトリックやクエーカー教、清教などは見識がありませんので間違い等をお許し下さい。また八木敏雄氏が訳されたナイジェル・ホーソーンの原作『緋文字』については読み終わりましたらこのページに記述を致します。)
アメリカへヨーロッパ各国の入植が進む1666年。(八木敏雄訳『緋文字』では1642年という解説がある)
マサチューセッツ湾の植民地にやってきた女性ヘスター・プリンは希望を抱いていた。夫ロジャー・プリンは医師であり別の船に乗って遅れてやって来る。彼女を迎えたのはキリスト教の流れを組むクエーカー教徒達であった。17世紀という時代、そして宗教という問題もあり女性が何かと弱い立場に置かれている。夫が来るまでは知事達と一緒に食卓を囲むこととされていたヘスターだが、夫に頼まれていた先に住居を見つけて生活の基盤を作るという事を言い出すと皆に怪訝な顔をされるのであった。
家探しの為にヘスターを案内するのはブルースター。岬の家にブルースターは案内してヘスターはこの家に住むことを決めるが不意に彼女の唇を奪うブルースターは美しいヘスターに惚れていた。直ぐにヘスターは拒絶したが、これに懲りることはなかったブルースター…。
この時代、植民によってアメリカ原住民(インディアンと本作では呼ばれる)は白色人種の“下”に置かれて、あるものはキリスト教に改宗して白人と対等に近い地位を得て、あるものは金で売られ、あるものは武力を用いて植民する白人に対抗していた。ヘスターは街に出て家事を手伝う召使いとしてインディアンの女ミトゥバを金で手に入れた。そして農作業をしていると鳥に誘われて森の中に分け入るヘスターが見たのは全裸で水浴びをする男であった。思わず見とれるヘスターだったが安息日の行事があり声をかけられその場を後にした。
教会に向け馬車を走らせるヘスターだが車輪がぬかるみにとられてしまった。四苦八苦しているヘスターの前に先の湖の男が現れて救った。彼の馬に乗り教会へとやって来たヘスター。途中で別れた男だが彼はヘスター等の目の前で牧師として教えを説いた。行事が終わると隣人に牧師アーサー・ディムズデイルを紹介されたヘスター。彼女は説教に熱が入っていたことを称えたが、アーサーはこう答えた。“今日はなぜか気分がノリました。”この日は方方でアーサーとすれ違うヘスター。一緒の女性にアーサーが人気があるのは、彼が植民する英国人とインディアンの共存を訴えるからではなくハンサムであるから。本が沢山あるアーサーの家に入ると同じく本が趣味であるヘスターは“合う”と感じたのかもしれない、いや彼女もまたアーサーがハンサムであるからか…。
帰り道、隣人のハリエット・ヒボンズに“挨拶”を受けたヘスター。隣人と言ってもそれぞれの家は土地が広大な為に隣家とは言いがたいのだが。ハリエットに彼女の友人サリー・ショートやメリー・ロリンズ等の紹介をしてもらったヘスター。そしてハリエットはヘスターに“見えない物が見える時がある”と不思議な力があるかのように打ち明けた、この時代、一般的に魔女のようだと思われる能力…。
本好きアーサーが本を読み尽くしたので夫の本を届けに来たヘスター。アーサーのふとした仕草に、今まで惹かれていた心が更に傾いたヘスターがいた。そしてまたアーサーのヘスターへの思いも…。
借りた本を返しに来たアーサーはヘスターに“愛してしまった”と告げた。キスをしようとする2人だが死罪になるという事がヘスターを止めた。
ヘスターは滅多に外に出ることなくアーサーと出会うことを避けた後。アーサーが知らせを聞いた、イギリスからの船がインディアンに襲われて乗客は皆死んだと言う報を。それと共に届いた“医師ロジャー・プリン”という名の入った持ち物。アーサーはロジャーの死をヘスターへ告げに来たが、それを聞いたヘスターは誰に気兼ねすることなくアーサーと付き合えると気分が上がるが、法律的には死体が上がらない=死が不確かな場合は7年間は付き合うことが許されないと告げるアーサー。しかしそれ程待てるわけもない、2人はその日に関係を持つ。しかし2人はロジャーが生きていることを知らなかった。ロジャーは殺されずにインディアンの宗教へ改宗と従属という形で生きのびていたのだ…。
ヘスターはハリエット等クエーカー教徒の女性たちの集まりによくよく参加していたのだがソレに参加していた女性に思い掛けない証言をされる。知事等の前に呼ばれたヘスターは女性により妊娠しているという疑惑を持たれるのだ。その場にはアーサーも居るのだがヘスターはアッサリと事実を認めるが父親の名は明かさなかった。ヘスターはそれにより逮捕されてしまった。投獄されたヘスターを訪ねたアーサーは自分で打ち明けると言うが、ヘスターは自分がOKを出したら…と言った。彼女はOKなど出すつもりはないのに…。
やがてお腹が大きくなるヘスター、アーサーが雨の中嘆くのは名乗り出ることが出来ない自分の不甲斐なさからなのか…。そして出産の時を向かえたヘスターは初めての面会人である隣人ハリエットによって赤子を取り上げて貰った。
女の赤子をパールと名付けたヘスター。アーサーは出産の一報を聞き“土産”を持ち牢獄のヘスターを訪ねた。その土産はヘスターが牢から解かれると言う事、ただし罰を受けなければならないが…。
牢から出されたヘスターは街中の人が見守る中で洋服の胸元にワッペン型の“A”の字が入った“緋文字=スカーレットレター”をつけられた。その“A”の意味するところはアーサーのAなのか、アメリカン・ウーマンのAなのか…。これを遠くから眺める視線があった、それはインディアンと共に街にやって来た夫ロジャーの視線…。
ロジャーはヘスターの家を訪れた。怒るロジャーは監視すると言い、また身体を求めてきたが怒りでそれどころではなくなり“怒りをぶつける”ロジャー。ヘスターはソレを振り払った。翌日アーサーを訪ねたヘスターは夫ロジャーが生きていると話した。ロジャーが策を巡らしてアーサーを殺すと考えたヘスターは、彼に一人街を去るように促すが妻と娘を残して去ることは出来ないとアーサーは言った。
ロジャーは変装をしてこの街に繰り出す。人に信用して貰えるように長髪のカツラをつけ医師として見識があることも見せる。そしてアーサーの教会の下宿人となったロジャーは偽名“ロジャー・チリングワース”を名乗ったが、ロジャーの言葉の節々に自分への憎しみの感情を見出すアーサー。お互いがお互いを分かっている…。そのままアーサーがパールの父親であると言い出せばいいのにロジャーが偽名にて世間に顔を出したのは、イギリスではヘスターが分かりうることはなかった生来のロジャーの性格の悪さがあったから…。
スカーレット・レターを胸につけるヘスターは街を行き交う時は太鼓持ちの少年に後をつけられ太鼓を叩かれる。不義を働いた女がここに居るという事を分からせる罰だ。街の殆どの人はヘスターを避けた。アーサーは緋文字をつけることはなかったが心には緋文字が…。
ロジャーは権力者達に取り入っていた。権力者達や街の大部分の人たちはキリスト教カトリックなのだがクエーカー教徒の女性たちは集会を開いている事実を挙げ、凶なる未来を予言するように語るロジャー。知事たち権力者はクエーカー教徒の集会に目をつけた。そしてロジャーはインディアンに習った教えで赤ん坊パールの腹を見て、アザを悪魔のアザと言いたかったのだがこの日は“猶予”を与えたロジャー。そして悩み打ちひしがれるアーサーを遠くから見つめるのであった。
今、ヘスターは直接アーサーに会ったりはしていない。その代わり手紙を召し使いミトゥバに持たせたのだがロジャーがミトゥバを見つけて手紙を取り上げようとするがミトゥバがそれを飲み込んだ。彼女も“理解”出来ているのだ。ロジャーは権力者達と共にミトゥバを脅したが喋ることの出来ない彼女が語るハズもなく、それを分かっていたロジャーはミトゥバを解放。
そしてヘスターの唯一の味方であるハリエットを彼女から遠ざける為に権力者に差し金して、“魔女逮捕”に向かわせた。捕まったハリエット。そして“本件の証人ミトゥバ”を知られずに殺したロジャー、魔女ハリエットが呪い殺したとして…。ヘスターはハリエットの為に魔女裁判を批判するも緋文字をつける彼女に力などない。そしてハリエットが取り上げた赤子パールの腹を裁判の場で見つけて“悪魔の子”だと皆に言い放った。
このままではハリエットは処刑され、次はヘスターと娘パールの番だ。それを恐れたアーサーは今一度ヘスターに会い娘と逃げろと話すも彼女はそうせず自分が死んだ後は娘を頼むと言った。彼女はハリエットとの女の友情に生きようと…いや死のうとした。
結末・ラスト
ある晩、仕度をしているロジャーはインディアンの中の教えにより“感づいて”いたのだろう。ブルースターがヘスターを襲ったのだ。自分が愛情を見せたのにアーサーに靡いたことに怒って。ヘスターは何とかブルースターを追い出すことは出来たが、ロジャーが馬で山道を行くブルースターを襲い殺した。これが改宗したインディアンの仕業であると権力者は思い込み、クエーカー教徒を使いインディアンを煽ったとしてヘスターはまたも逮捕された。これを見てハッとした顔を見せたロジャーの推測した未来とは変わっていたのであろう。全てを焼き捨て首をくくったロジャーを発見したアーサーがいた。街は大混乱で権力者は街のインディアンをすべからく逮捕しようとした。インディアンとの友好関係を願っていたロジャーは改宗したジョニーを逃がし、元の仲間のインディアンに救いに来させようとした。
牢獄のヘスター、ハリエット、女性クエーカー教徒達、縛り首の日が来た。アーサーは絞首台を取り囲む人々を分け入り絞首台に立つと自分がパールの父親であると話し、ヘスターを愛していると高らかに宣言した。アーサーの首に縄がかけられた時、ジョニーに呼ばれたインディアン達が街を襲い大混乱となった絞首台から皆が逃げ出した。引き裂かれた娘パールを混乱の中で探し出したヘスター。
騒動鎮圧後。アーサーがヘスターに伝えたのは知事が緋文字を外すと約束したと言う事と知事の謝罪だった。ヘスターは娘パールと共にこの街を去ろうとアーサーに別れを告げると、アーサーもまた街を捨て、3人は旅立っていった。遠いカロライナ州で幸せを手にした。アーサーは早くして亡くなったがヘスターは再婚することはなかったと言う…。
レビュー・感想・解説・評価
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過去、ストーリーやレビューが不十分であった映画を集中的に観てリレビューしていますが、本作もまた…。まずは前の感想。
アメリカ植民地時代を舞台にした文学的作品。ヘスターにデミー・ムーア、アーサーにゲーリー・オールドマン、そしてロジャーにロバート・デューヴォール。
内容的には愛を貫き通すといえばきれいだが、全編暗さが支配する展開である。かなり、暗くなる内容でもある。この映画ではいつものキレた演技はないものの、オールドマンが一瞬見せる狂気の顔が印象的であった。女性ファンにはオールドマンのサービスシーンも。また、デューヴォールの彫りの深い目元が怖さを増幅させた演技は素晴らしかった。いつもの人のいい彼の演技にはないからスゴく怖い。そうそう、デミムーも出てるけど、いかがなものか?
1998/09/20
2016年のです。
原作は文学傑作ナサニエル・ホーソーンの同名小説『The Scarlet Leter(緋文字)』(『緋文字』のAmazonへのリンクはコチラ)を映画化した本作。今のところ少しだけ八木敏雄氏が訳した岩波文庫版の小説を参考にしている。後に呼んだら書き足す。
監督を務めるのはローランド・ジョフィ。「キリング・フィールド」の監督であり同作でアカデミー監督賞にノミネート、後の「ミッション」でも同賞ノミネートを果たす。
キャストを。
・主人公のヘスター・プリンを演じるのはデミ・ムーア。ラジー賞の常連さんですが本作でもノミネートしちゃってる。toikun、彼女のことは全く好きではなかったのだが昨年より「幸福の条件」、「ア・フュー・グッドメン」、「Mr.ブルックス 完璧なる殺人鬼」などをレビュー、リレビューするウチに多少なりともイメージが変わった。デミが悪女を演じた「チャーリーズ・エンジェル フルスロットル」では元旦那ブルース・ウィリスがカメオで出てるが絡みなし。
・本編字幕にて“牧師”と表現されるアーサー・ディムズデイルはカトリックではなくクエーカー教なのか?クエーカー教の伝道師的な人を牧師と呼ぶのか?少し調べてみても判断がつかなくてゴメンなさい。そんなアーサーを演じるのは“狂気の男”ゲイリー・オールドマン。「裏切りのサーカス」は今のところ彼の唯一のアカデミー賞ノミネート映画。獲っていてもおかしくないのにね。結構作品を観ているがレビュー作は「バスキア」しかないのは反省すべきです。
・本作で恐い顔を見せるロバート・デュヴァルはロジャー役。カツラ+不必要な裸の描写にツボったtoikun。「テンダー・マーシー」のオスカーウィナーであるが「シビル・アクション」などノミネート作は多い。「ゴッドファーザー」シリーズではマフィアの弁護士であり、「ゴッドファーザーPART II」をレビューしている。
・牧師ってか超権力者という感じがした役にロバート・プロスキー。「遙かなる大地へ」、「ミセス・ダウト」、「デッドマン・ウォーキング」などはどれも世間の評価が高いしtoikunも好きな部類。
・「魅せられて四月」でアカデミー賞にノミネートしたジョーン・プロウライとが魔女の烙印を押される女性を演じる。「ミスター・クレイジー 殺したい男」など。
さて。
前は5点というどっちつかずの評点、ただ印象は良くなかったのは覚えている。でもね、もう一度観てみて8点とした。それはデミのtoikunの中のイメージが向上したからか?それとも「ピアノ・レッスン」を先日観たからか。
「ピアノ・レッスン」とは年代が2世紀違うし部隊もアメリカとニュージーランドという違いがあるものの、どちらもヨーロッパから渡ってきた女性の話しであり現地民のことが多分に描かれるのが共通点。で、一番の共通点は2つ、不倫とラブシーン…官能的なシーン。「ピアノ・レッスン」でも不必要かと思うハーヴェイ・カイテルの裸があったしこの辺の官能描写はいらんかったと思うのだが。
あ、そう「ピアノ・レッスン」はアカデミー賞3部門受賞でノミネート多数なのに本作はラジー賞を受賞しちゃった部門もあり。今日観てみてそこまでの差を感じず、逆に本作の方が評点を高くつけちゃったよ。みんなもデミムーが嫌いか?(苦笑)
ミトゥバを情事のシーンと重ねるなど、同様の“重ねる”演出が目立つが、これは文学『緋文字』の各シーンをそれぞれ観客に解釈をしてもらって、映画は決定的な意味を持たないという様に感じたtoikun。一言で言うと映画は曖昧…me、mine。
適切な解説は出来ていないがこの辺で。あと1年もしたら原作読んで加筆しているかも…。
2016/06/16
by toikun.
『映画ファン』さんのレビュー・評価
投稿日時:20??/??/?? 15:59:46
4点/10点満点中★★★★☆☆☆☆☆☆
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