映画「ゴッドファーザーPART II」あらすじ,ネタバレ,レビュー
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あらすじ
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イタリアのコルレオーネ村で生まれたヴィトー。彼の父親は地元を仕切る親分を侮辱したとして殺される。復讐を恐れる親分は家族をも殺そうとする。その中、辛くもその難を逃れたヴィトー少年は単身アメリカに移り住む。成長していったヴィトーは徐々に力を付けていく。
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説明:

フランシス・フォード・コッポラの息子
ストーリー・ネタバレ
(本作ではマイケル・コルレオーネの“時代”と親のヴィトー・コルレオーネの“時代”が何度も入れ替わり描かれるので下記記述のような順番には本編がなっていませんのでご注意願います。)
1901年。シチリア島のコルレオーネ村で生まれたヴィトー・アンドリーニ少年。地元マフィアのドンを侮辱したことにより殺された父親、そして母親と兄も殺されたヴィトーは当時9歳。多くのシチリア島民と共にアメリカへの船に乗り込んだヴィトーだった。
1917年。ニューヨークシティ。ヴィトーはコルレオーネ村から名前をとってヴィトー・コルレオーネと名乗っていた。妻カルメラとは長男ソニーが生まれていたヴィトー。雑貨店で働くヴィトーは、劇場や様々な場所で権力者を気取って人々から金をふんだくるチンピラのファヌッチにより失業してしまった。しかしひょんな事から知り合ったクレメンザ達とドレス販売の商売を始めたヴィトー。しかしチンピラのファヌッチはヴィトーの商売にも目をつけて金をせびってきた。ファヌッチは有力者であるために逆らうことが出来ないと言う友人達だがヴィトーは“ファヌッチと話をつける”と言って結果彼を殺したヴィトー。
ソニー、フレド、マイケルという3人の男の子に恵まれたヴィトーはもはやこの街では彼を知らないものはいない程の“人物”となっており、シチリア島へ帰島した際は家族の仇としてシシリア島の地元のボスを殺害したヴィトー。マフィアのドン、ヴィトー・コルレオーネはゴッドファーザーという異名を持つようになった…。
ヴィトー・コルレオーネはこの世を去って彼の息子達の時代になっていた。
コルレオーネファミリーを仕切るのは三男のマイケル・コルレオーネ。マイケルの兄、長男ソニーは鬼籍に入っており次男フレドは“マフィアのドン”には相応しくない性格であったためにマイケルがドンになった。
更なる勢力拡大を狙うマイケルは資金面を潤すためにホテルを経営することを思いつきファミリーのパーティに上院議員パット・ギーリーを招くが、彼はマフィアというものが嫌いでありホテル経営を許可する為に多額の金を要求してきた。マイケルはファミリーを侮辱した議員に対して金は払わんと言い放った。
パーティには他にもマイアミのマフィア、ロスの部下やコルレオーネファミリーのフランキーがやって来ておりそれぞれマイケルと面会。それぞれの思惑が渦を巻くマイケルの“シマ”ネバダ州でのパーティ。夫マイケルとダンスをするケイの心の中には“5年で悪の世界から手を引く”というマイケルの言葉が虚しく響いていた。
夜。マイケルがケイトと共に就寝中に銃撃を受けた。ファミリーの弁護士で実力者のトムが犯人を探すと見つかった犯人は既に殺された後であった。“誰がマイケル・コルレオーネを狙ったのか?”この一件により疑心暗鬼となるマイケルだった。
マイケルはハイマン・ロスに会って“自分を狙ったのはフランキーだ”と言った。そして彼を消すとも…。
そして今度はフランキーに会ったマイケル。フランキーがロスの部下ロサト兄弟といざこざを起こそうとしていることを知っていたのでロサト兄弟から手を引く様に言うマイケル。そして“ロスに命を狙われた”とも…。
その後、フランキーは店でロサト兄弟に襲われるが偶然入ってきた警官によって命を取り留めたフランキー。外では銃弾が飛び交った…。
勢力をひたすらに拡大…。マイケルは自分を侮辱した上院議員のパットをハメた。パットが売春婦と宿に泊まっている時に売春婦を殺したマイケルの部下。アプセットするパットをトムが訪ねて力になると言ったのだ。これでパットはコルレオーネファミリーの為に動いてくれる…。
マイケルはキューバのハバナを訪れていた。ハイマン・ロスの誕生祝いのために様々なファミリーが集まっているからだ。ロスは政情不安定なキューバに投資をしており暴利を貪っていた。表向きは老体であるロスの為のパーティだが出席者それぞれ胸に秘めた思いがある。マイケルは部下を使ってロスを亡き者にしようとするがそれは実行できなかった。またロスへの上納金という形で金を持ってきたフレドだが、パーティでフレドがロスの部下に関して親しげに語っていたのでフレドに疑念を持ったマイケル。その後キューバ革命が起こり皆散り散りになりながらアメリカへ戻った。しかしハイマン・ロスは直ぐにはアメリカに戻らなかった。
ネバダ州の家に戻ったマイケルが聞いたのは妻ケイが流産したと言う事だった…。
上院委員会に呼び出されたマイケル・コルレオーネ。それは彼の部下だったウィリー・チチがマイケルと彼のファミリーの不正を告発したからだ。皆が“ゴッドファーザー”とマイケルを呼ぶことについて尋ねられたマイケルは、“親しみと尊敬を込めた呼び名”と語った。確かにそれには嘘偽りはない…。パット議員がマイケルを庇う発言をして席を立つと、マイケルは自身の身の潔白を説いた。
しかし委員会には切り札がある。それは殺されかけて怨みを持っているフランキーであり事前の調査でマイケルの不正を証言している。その委員会に行く前にマイケルはフレドに絶縁を言い渡すのだった。
委員会。証言のためにやって来たフランキーが驚いたのはマイケルと一緒にいる自分の兄だった。マイケルはイタリアにいたフランキーの兄を連れてきて無言の圧力をフランキーにかけたのだ。この圧力が効いてフランキーはマイケルに不利な証言をすることなく、自身のファミリーが行った不正により収監されるのであった。
委員会後のホテルの一室。一緒に来ていた妻ケイはフランキーへの圧力を目にして糸が切れていた。マイケルのもとを去ると言いだしたのだ。償いをすると言うマイケルだがケイが発した“流産ではなく堕胎した”という言葉に怒り沸騰となりケイを殴り飛ばしたマイケル。妻に一人で出て行けと言い放つマイケルがいた…。
マイケルの母親カルメラが息を引き取った。葬儀にはファミリーの皆が集まり、久しぶりに顔を見せたフレド。マイケルは兄とは絶縁していたので彼がいるうちは姿を見せるつもりはなかった。だが妹コニーが懇願した事によりフレドの前に姿を現したマイケル。固く抱き合う兄弟の姿があった。
裏切り者・自分を狙ったものを許さないと考えるマイケル。トムを収監中のフランキーのところへ会いに行かせたマイケル。“自殺すれば家族には手を出さない”と仄めかすトムにフランキーは家族の安全を願い自ら命を絶った。次にマイケルが命を狙うのはハイマン・ロス。キューバ革命後、マイケルを恐れて帰国せずに様々な国に移住しようと試みていたが、それが許されずに帰国することになりその事が紙面を賑わせていた。
ロスに手を出す前に、子供たちを訪ねてきた妻ケイを冷たく追い払ったマイケル。そして一度裏切ったフレドをも手にかけた…。親友と言っても良いトムさえも疑いの目で見てしまうマイケルが本当に信頼できる人物は果たして…。
帰国したハイマン・ロスはマイケルが放った部下によって死んだ…。
結末・ラスト
今、マイケルは過去のあの日を夢見ていた。父ヴィトーの誕生日に家族皆が集まったあの日。時代は第二次世界大戦でありマイケルは愛国心から海軍に志願した。徴兵などはヴィトーの計らいで何とでもなるのにマイケルは自ら…。その事で喧嘩になるヴィトーの子供たちソニー、フレド、マイケル…そしてトム。ヴィトーが登場すると皆集まりおめでとうを言うがマイケルはそれに加わることはなかった…。
タバコをふかすマイケルの脳裏を横切ったのは父に抱かれて列車に乗るところ…。
アメリカ一のマフィアとなったコルレオーネファミリーのドン、マイケルの心は孤独感だけしかなかった…。
レビュー・感想・解説・評価
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最近ハマっている一度観た昔の作品をもう一度観ること。今回もまたその“ブリブリ”シリーズです。まずは前の!
アカデミー作品賞や監督賞などを受けた映画史に残る、マフィア映画。
二人のドン・コルレオーネの言葉でなく、その動き、表情から、心が見えてくる。全編、暗さが支配し、これがマフィアの世界をすごみのあるものに感じさせる。ビトを演じたロバート・デニーロはこの演技で、アカデミー助演賞を受賞。名優と呼ばれる人たちの、演技の元をみることができる。
1998/08/30
再レビュー☆
アカデミー作品賞など6部門に輝いた名作はこれまた名作と名高い「ゴッドファーザー」の続編。「スーパーマン」等の映画脚本でも知られるマリオ・プーゾの同名原作小説“ゴッドファーザー”を映画化した前作。今作もプーゾは脚本を担当している。
メガホンをとるのは名監督フランシス・フォード・コッポラ。「パットン大戦車軍団」の脚本賞、「ゴッドファーザー」の脚色賞、そして製作も兼ねた今作での作品賞・監督賞・脚色賞と5つのオスカー像をもつ巨匠だ。コッポラの監督作として「アウトサイダー」と「レインメーカー」をレビューしている。他にロバート・デ・ニーロ監督作品の「グッド・シェパード」では製作総指揮として参加している。
キャストを。
・主人公マイケル・コルレオーネを演じるのはアル・パチーノ。本作も含め「ディック・トレイシー」や「摩天楼を夢みて」などアカデミー賞にノミネートした回数は多々あるが受賞できなかったパチーノ。だがtoikunが彼を好きになったキッカケの「セント・オブ・ウーマン 夢の香り」でやっと主演男優賞の受賞となった。最近は「ミッドナイト・ガイズ」が面白かったな☆←←←服役していたギャングの下っ端。
・本作の助演男優賞と「レイジング・ブル」の主演男優賞、2つのオスカーは彼のキャリアを思い返すと少なすぎる、ロバート・デ・ニーロがヴィトー・コルレオーネを演じる。数々出演作品はレビューしているけど「レナードの朝」の患者役、切ないねぇ。近年の「リベンジ・マッチ」は「ロッキー」のシルヴェスター・スタローンとボクシング対決!デ・ニーロには「レイジング・ブル」もあるけどスタローンの領域だよねぇ。
・妻役のダイアン・キートンは「アニー・ホール」のオスカーウィナー。「グリフィン家のウエディングノート」ではデ・ニーロや「デッドマン・ウォーキング」のスーザン・サランドンと共演しているが、デ・ニーロとは元夫婦という設定、本作を知っていると息子の嫁に手を出した?ヴィトー?
・側近トムを演じるロバート・デュヴァルは「テンダー・マーシー」のオスカーウィナー。「シビル・アクション」でもオスカーにノミネートするが弁護士役!あぁ裁判長役でオスカーにノミネートした「ジャッジ 裁かれる判事」を観たいゾ!他に恐い恐い「スカーレット・レター」など。
・人間味が溢れていて良いキャラクターの次男フレドを演じるジョン・カザールは「狼たちの午後」、「ディア・ハンター」など。
・長女を演じてアカデミー助演女優賞にノミネートしたタリア・シャイアは「ロッキー」シリーズのヒロイン、エイドリアンとして有名。2016年公開の「アウトバーン」では“ロッキーとエイドリアン”とセリフで出てくるが、様々な映画でエイドリアンという役名は出てくる。
・回想シーンだけで登場するジェームズ・カーンは前作「ゴッドファーザー」でアカデミー助演男優賞にノミネートしている。「ミザリー」の可哀想な作家役。
・フランク・“フランキー”・ペンタンジェリと上の方で記述したが“フランキー”は愛称だから…演じた故マイケル・V・ガッツォもまたアカデミー賞にノミネート。
以下はチョイ役orカメオ出演となりますが…。
・「ドゥ・ザ・ライト・シング」のオスカーノミニーのダニー・アイエロがロサト兄弟の一人としてチョビーットだけ顔が確認出来た。「訣別の街」の議員。他に「ラッキーナンバー7」、「乙女座殺人事件」など。
・まだ駆け出しの頃だったのだろう、FBI捜査官として登場するハリー・ディーン・スタントン。他に「ストレイト・ストーリー」や「ラスベガスをやっつけろ」など。
・回想シーンでケーキを持ってくる部下の役であるエイブ・ヴィゴダは「ジョー、満月の島へ行く」では火山の島の酋長や「ノース ちいさな旅人」など!
・コッポラ監督の娘さんソフィア・コッポラが確認するのは難しいけど子供ヴィトーが船に乗っている時の後ろ側に登場。クリント・イーストウッド主演の「白い肌の異常な夜」のリメイク版監督として最近名が出た。
・コッポラの息子ロマン・コッポラが“昔のシーン”での息子ソニーとして登場!
さて。
お・お・重苦しい…。ユーモアの欠片もなかったよねぇ?もしあったとしたら作風が変わるかも?だけど。タリア・シャイアがアカデミー主演女優賞にノミネートしたとは言え、男たちの映画だし女性陣はダイアン・キートンも含めて見せ場がなかったような印象を持ったtoikun。ダイアンが演じるキャラにもスポットライトが当たるけれど如何せん“脇”だったなぁ。
色々観てきた映画が増えてきたので1974年という古い映画に“こんな人も出ていた!”という発見する楽しみを持ったtoikun。ビックリしたりして本編から木が逸れちゃった…?
恥ずかしい批評となっちゃうので、本格的なものはヨソ様にお譲り致しますが、本編とは関係ない切り口を1つ。
マイケル・コルレオーネが“IBMやITTの株を持っている”…なんてセリフがあるけど、「タイムトラベラー きのうから来た恋人」でもIBMの株券が大金に化けたという話が出てきたよ!
それに“ラスベガスのホテルをマフィアがどーのこーの”って話があったけど、ラスベガスをカジノの街にしたとされるベンジャミン・“バグジー”・シーゲルというマフィアがいて「バグジー」に“ソレ”が描かれている。本作の本編には“バグジー”とは出てこなかったが、もしかしたら何か意識したものがあったのかも!?
さてさて、一応ラスト。
本作では絡みのなかったアル・パチーノとロバート・デ・ニーロだけれども、「ヒート」で共演!しかしこの時も“別々に撮った?”とか言われて仲が悪いと思われていた。後に「ボーダー」でも再共演を果たすが。本当に仲が悪かったら2人してアカデミー賞のプレゼンターとして登場しないよ!この時ね“チャラララ~”って本作のテーマが流れたよ☆
2016/06/09
by toikun.
映画ファンの口コミ・レビュー
No.1 dreamer さん
レビュー日時:2021/11/17 16:10:54
評価:10点/10点満点中(最低点1点)
★★★★★★★★★★
"マフィア社会に生きる人間の現代的な自意識とその苦悩を描いた、大河ドラマの第2作目で映画史に残る名作「ゴッドファーザーPARTⅡ」"この映画「ゴッドファーザーPARTⅡ」の冒頭のシーンは、アル・パチーノ演じるマイケル・コルレオーネが、苦悩を滲ませた沈痛な面持ちで、じっと静かに物思いにふけっている表情のクローズ・アップから始まります。そして、ラストシーンも同様に、この若きゴッドファーザー二代目の、目の縁に小皺を刻んだ苦悶の表情のクローズ・アップで終わります。監督のフランシス・フォード・コッポラは、この映画について、「完成した映画を見て私を含めた観客が、PARTⅡが前作の単なる続編でないと感じられれば、成功といえよう。正直なところ、私としては前作だけでは半人前だと思っている」と語っていましたが、興業的にも批評的にも成功した第一作に続けて、その物語の展開としての第二作を、第一作とは違う観点からそれ以上のものとして撮るという事は、心理的にも技術的にも難しい挑戦であったに違いありません。PARTⅡは、この困難を乗り越えるだけの充実したコッポラ監督の野心と若さとを秘めており、前作のような華やかな魅力というものは、あまりありませんが、慎重かつ大胆な映画的な構成は、このPARTⅡを前作と連続させながらも、これから独立し、更にそれを凌駕する程の優れた知的水準の作品として完成させていると思います。初代のゴッドファーザーであった、第一作目でマーロン・ブランドが演じたヴィトー・コルレオーネが、両親が殺されたイタリアのシシリー島から1901年、孤児のままニューヨークに移民し、そこのイタリア人街で、次第に頭角を現わし、売り出して行く過程と、故郷のシシリー島に戻って両親の復讐を果たすまでの回想を、若き日のヴィトー・コルレオーネを演じるロバート・デ・ニーロが、寡黙な中にも静かで憤怒の感情を秘めた役どころを抑制された演技で好演していて見事です。一方、前作の後、この映画の主人公でもあるヴィトー・コルレオーネの三男で、秀才のマイケルが二代目として縄張りを継ぎ、それを拡張して、ニューヨークのアクターズ・スタジオの創設者のひとりで、俳優自身の内面にある喜びや悲しみや怒りやコンプレックスを重要視し、日頃、忘れているその微妙な感情を思い出させ、心の内側から溢れて来る感情を、体の動きや表情で具体的に表現しようとする、いわゆる、"メソッド理論"の提唱者で、その演技指導も行った、リー・ストラスバーグが演じる、宿敵ハイマン・ロスとの闘いを"策略と血の粛清"で勝ち残ったものの、ダイアン・キートン演じる妻ケイに去られ、母は死に、そして組織を裏切ったジョン・カザール演じる、次男の兄フレドを殺して、組織としてのファミリーのためには、肉親としてのファミリーの愛は求めず、ただひとり、権力の頂点でじっと孤独を噛みしめる----という新しい時代のゴッドファーザーの苦悩を、アル・パチーノが、その肉体的なハンディキャップを逆手にとって、厳しく張りつめた精神力で見事に演じ切っていたと思います。この映画の中で、マフィアのドンであるマイケルは、マフィアに対する社会全般の非難が高まってくる状況の中、彼を糾弾するために召喚して、査問委員会が開かれ、彼の行動が徹底的に追及されます。そして、段々と彼の非合法な悪事の数々が露見してくると、彼はその証人を消していきます。厳重に護衛をされて、そばに近づくのも不可能な男を殺す手口の、冷静で計算された計画性とその実行力は、マイケルの恐ろしい程の知的な才能を物語っています。しかし、これだけ冷酷かつ緻密な行動で、マフィアの組織を守りながら、常に苦渋に満ちた彼の表情のアップからも感じられるように、その心の中では、いつも"現代人的な自意識"というものに苛まれているのです。そういう自意識は、先代のゴッドファーザーである彼の父親ヴィトーにはなかったのではないかと思います。第一作ではマーロン・ブランドが演じたヴィトーが、含み声でぼそぼそとしゃべりながら、自らの権力をフルに活用していました。しかし、そこには自らの行動に対する"懐疑"のようなものはなかったと思います。ヴィトーは、貧窮の中から身を起こして、マフィアのトップにのし上がった事への満足感に浸っている事が出来ました。これは自分の代で出世栄達した男の、世の常であり、出世だけが生きる目的でしたから、自らの行動をいちいち疑っていたりしていたのでは、その野望が果たせません。だが、父親が自らの腕一本で地位を築き上げた、その二代目の息子になると、当然の事ながら、タイプがガラリと変わってくると思います。例えば父親は、貧窮からのしあがって来たので、学校もまともに出ていませんが、その息子は大学まで出ています。そして、親の稼いだ金で知性を身に付ける訳ですが、今度はその知性で父親のような生き方というものを冷静に、そして客観的にじっと観察するのです。そこに、当然の事として、矛盾や醜悪さといったものを見出し、それについて深く考えるようになります。マイケルも最初は、父親の生き方に批判的で、マフィアに対して嫌悪感を抱いていたと思います。しかし、マイケルはインテリであるだけに、その内面に持つ冷酷さもひときわ凄いものがあります。そして、その内面の陰の部分には、自らのやっている事の空しさ、愚かさをじっと噛みしめるだけの"現代的な自意識"というものが横たわっているような気がします。こうして映画は、第一作の前と後の二つの物語が並列し、それがフラッシュ・バックでジグザグに交錯するという複雑な構成をとっていて、我々、観る者に分かりづらくなる危険性を、その寸前のところで食い止める緻密な計算による演出で、素晴らしい効果を上げていたと思います。そして、この映画の中で最も印象的だったのは、マイケルを裏切ってハイマン・ロスに内通していたファミリーの中の裏切り者の兄フレドが、暗い湖上で殺害されるシーンです。窓越しに見える弟マイケルと、ボートで釣り糸を垂れる気弱な兄フレドの姿を、交互にロングの切り返しで捉えて、サスペンスを高めていき、暮れゆく静かな湖上に響くピストルの音だけで締めくくっているところは、ただ殺伐なだけのマフィア物から一線を画した、優れた人間ドラマになっていて、この兄弟それぞれが抱える悲しみや思いのつらさ、淋しさを映像だけで表現する、このコッポラ監督の演出の見事さには、本当に映画的表現の素晴らしさを感じました。なお、この映画は1974年度の第47回アカデミー賞の最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀脚色賞、最優秀助演男優賞(ロバート・デ・ニーロ)、最優秀劇映画作曲賞、最優秀美術監督・装置賞を受賞し、同年の英国アカデミー賞の最優秀主演男優賞(アル・パチーノ)を受賞し、同年の全米批評家協会賞の最優秀撮影賞(ゴードン・ウィリス)を受賞しています。
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『映画ファン』さんのレビュー・評価
投稿日時:20??/??/?? 15:59:46
4点/10点満点中★★★★☆☆☆☆☆☆
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