映画「運命の逆転」あらすじ,ネタバレ,レビュー
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あらすじ
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クラウス・フォン・ビューローは妻サリーにインシュリンを注射して、二度にわたり殺害を試みた疑いで告訴された。第一審では有罪を宣告された。
第二審で彼は法学教授であるアランに弁護を依頼した。しかし、この事件は誰もが有罪だと決め込んでいて、アランもその例外ではなかった。あくまでクラウスは無実を訴える。アランは弁護を引き受ける。
果たして裁判の行方は?
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ストーリー・ネタバレ
1980年12月21日。富豪の女性サニー・フォン・ビューローは夫のクラウスによって昏睡状態にあるところを見つかった。病院に運ばれるも彼女の意識は戻ることなく植物状態となった。前年にも彼女は意識不明のところを発見されたことから、彼女の実の長男アレックスと長女アラは継父であるクラウスのことを疑っており、2年続けてのことでクラウスが妻サニーを昏睡にしたと判断して私立探偵に以来。探偵がクラウスのバッグから糖尿病の治療に使うインスリン(当時はインシュリンと呼んだ)を発見。インスリンは注射をして血糖値を下げるものだが、投与しすぎると低血糖症状を起こしてやがて昏睡状態となる。このインスリンを警察に持ち込んだ私立探偵によって警察が捜査を開始してクラウスは逮捕された。そして一審を闘うも懲役30年の実刑判決を受けてしまう。保釈金100万ドルを支払って家に戻ったクラウスは第二審である控訴審で争うためにハーバード大学の教授で生徒に法律学を教えている弁護士のアラン・ダーショウィッツに弁護を依頼した。
この物語は実際のクラウス・フォン・ビューロー・ケースをアラン・ダーショウィッツが記述した本を映画化したものであり、幾つかのことは事実と異なっている…。
一審の時の事はこうだ。クラウスはサニーと暮らしている頃から女性と浮気を繰り返しており、事件当時の恋人アレグザンドラもクラウスに不利な証言をした。そして“注射針からはインスリンが検出された”為、決定的な証拠となりクラウスには有罪判決が言い渡された。ただ、この“注射針からインスリン”という証拠はダーショウィッツたちに覆されることになる…。またフォン・ビューロー家で働きながらも、サニーの母親に通じており、どちらかというとサニーの個人メイドと呼んだ方がしっくりくるマリアは、朝起こしに行っても起きず、昼になっても起きてこないのでクラウスが同じベッドで起きているところにやって来て、サニーを揺り起こしても彼女は反応を示さなかったために、クラウスを説得して救急車を呼んで貰ったのだ。そしてマリアはサニーの寝ていたベッドのシーツに彼女のおねしょの後を発見した。そしてまた先のインスリン発見の件はマリアが見つけたのだ。実はクラウスのバッグだったのだが、サニーのバッグだと思い込んでいたマリアがバッグを開けてインスリンを発見。サニーは糖尿病ではないのでアレックスに知らせた。そしてアレックスから探偵へ…。
アラン・ダーショウィッツは一連の一審裁判のことを記録から調べ直し、攻めるべき点を考えたのだ。そして、クラウスは大金を払ってくれるので、自身たちが無罪を確証して無償で弁護を引き受けている死刑囚の再審費用捻出のために引き受けた。
まず、ダーショウィッツはかつて同棲していた弁護士の腕を認める女性サラを呼び寄せた。そしてまた、彼の大学研究室の生徒にクラウス・フォン・ビューローを弁護することを話し、協力を求めた。ダーショウィッツは法学の権威で、実地的な事も勉強になるため協力してくれる生徒は多かった、普通であれば。今回普通でないのは限りなく黒に近いグレイであるクラウス・フォン・ビューローの弁護である事で、生徒の中にはダーショウィッツを中傷して部屋から出て行こうとする者まで現れた。だがダーショウィッツの言動、他の生徒の説得もありダーショウィッツの生徒は皆、協力することになった。
そんなダーショウィッツたちにデーヴィッド・マリオットという得体の知れない人物からコンタクトがあった。取り敢えず会うことにしたダーショウィッツだが、場所はブルックリンで、余り治安が宜しくない。ドライバーとしてついてきたサラに、ダーショウィッツは心配させまいと一定時間毎に窓から姿を見せると言ってマリオットの家に入っていった。
余計なおしゃべりをくっちゃべったマリオットは、勿体つけたようにこう切り出した。アレックスに頼まれて、注射器や注射針、白い粉などが入ったバッグを6回程サニーの元に届けたと。それを聞いたダーショウィッツだが、作り話の域を出ない話でとても信じられなかった。マリオットはまた情報を提供する旨を言ってこの日の面会は終わりとなった。
事件を調べ上げるサラや生徒たちが途中経過を持ち寄った。クラウス・フォン・ビューローや妻サニーとは小説家トルーマン・カポーティが関係していたなどゴシップ的な事も判明するが、この事は事件とは関係がなかった。
調査の合間を見てダーショウィッツがクラウスの邸宅を訪ねた…と言ってもこの邸宅の名義はサニーであり、今現在、クラウスは最近出来た恋人のアンドレアと一緒に住んでいた。ダーショウィッツは、インスリンが存在した事実については、サニーがダイエットのために利用した可能性があると告げた。これはクラウスにとって有利となることだが、彼を弁護するダーショウィッツにとってどうしても知っておきたい事実があった。クラウスの母親は心臓病で亡くなったが、クラウスが殺したという噂があった、しかも伯母殺しの噂まで…。モチロン否定するクラウスがいた。
サニーは解熱鎮痛剤であるアスピリンに依存するところがあった。下剤も大量に飲んだり、ほぼアルコール依存、そして持病として低血糖症を患っていた。
クラウスは、敵情視察ならぬ、味方の家の視察として、ダーショウィッツの家を訪ねた。クラウス・フォン・ビューロー・ケースを扱っているサラや生徒・スタッフたちとは寝食も共にしているダーショウィッツ。残りが38日間なのだから1秒たりとて無駄には出来ない。夕食の時間になると、彼らと一緒に外食に出かけたクラウス。とても不利な立場には見えない自信たっぷりの言動をするのであった。
裁判のために、クラウスはサニーとの馴れ初めまで口にした。ある時の上流階級のパーティで一緒になったクラウスとサニー。この時、サニーには夫がいたのだが、女性と遊び回っていたのだ。その腹いせに、パーティで目をつけたクラウスをベッドへと誘ったサニー。やがて公然とその仲を見せつけるサニー。結果、夫とは離婚をして、夫との子供アレックスとアラを引き取りクラウスと結婚したサニーだった。
ここで法学的に悩んでいるダーショウィッツ。新しい証拠を控訴審で提出することは出来ない決まりになっていたのだ。だがスタッフのピーターが、控訴審の判事の文献を調べると、“提出可能”と取れる判事の言葉が載っていた。その事で不利が見え見えだった控訴審が様変わりすることになる。
深夜。ダーショウィッツの家をマリオットが訪ねた。今回の面会でマリオットとは5回目となったダーショウィッツだが、マリオットの“思い出した新証言”も信用に足らない。ただの金の無心に思えたダーショウィッツ。だがトイレを借りたマリオットの、訪問の真意は違っていた。ダーショウィッツとの会話を録音していたマリオットがいた。
スタッフのピーターが“悪いニュース”を持って帰宅した。それは、マリオットが録音した会話を、“ダーショウィッツがデーヴィッド・マリオットから有利な証言を引き出すために買収しようとした”と取れるように編集して検察に提出したのだ。つまり、マリオットの証拠で控訴審に勝利をすれば、買収でダーショウィッツはムショ送りになってしまう。これを聞いたダーショウィッツは無視をしようと口にはするのだが…。
時間がない中で少しでも有利な証拠を揃えようとするダーショウィッツたち。その中で、マリアが一審でインスリンを発見したというバッグだが、マリアはそれがサニーのものだと思っていたのだが、クラウスのバッグだと分かった。そして良いニュースがテレビで流れていた。それはダーショウィッツを貶めようと検察に駆け込んだマリオットだが、当局の捜査の結果事実無根と判明したのだ。誰かは分からないがマリオットはその誰かから雇われたのだろう、裁判に混乱をもたらすためか、それとも別の意図があったのか…。
控訴審が開かれる前。ダーショウィッツはもう一度クラウスに事件の真相を尋ねた。2番目の昏睡の前に、クラウスの愛人だったアレグザンドラが、クラウスが送ったラブレターなどを送り返してきた。宛名がなかったので、サニーがそれを開けてしまった。自分には送ってくれたことなど一度たりともなかったラブレターを愛人に送っていた事実は、クラウスに愛人がいたことを知っていても“重い事実”であり、サニーはアスピリンに頼ってしまい盲聾となってしまった…。
結末・ラスト
なお、注射針にインスリンが付着していた件については、それを調べた検査所の不手際が証明されている。注射針を刺してインスリンを投与すれば、注射針を抜いた時に、“肌によって注射針は拭かれ”、インスリンは残らない…。
ついにクラウス・フォン・ビューロー・ケースの控訴審が始まった。自宅のテレビで中継を観ているクラウスと“恋人”のアンドレア。ダーショウィッツは、新証拠を出すに辺り、判事の文献を読んで、検事も納得させた。そして新証拠=インスリンの検出は嘘というのが取り上げられた。
とある日、授業を終えたダーショウィッツの元に、サラたちが集まった。控訴審は勝訴になる可能性が強いことを伝えた。そして勝訴が確定し、上告もされないことになった。
ダーショウィッツはそれを伝えに、“クラウス・フォン・ビューローの大邸宅”へとやって来てそれを伝えた。当然のことながら“喜ぶ”クラウスがいた。
結局、上告はされたクラウスだが勝訴した。今現在も、クラウスはサニーと婚姻関係にあり、ロンドンに住んでいるという。そしてダーショウィッツが無償で弁護を引き受けたジョンソン兄弟は死刑囚棟へ収監。
ある日。コンビニを訪れたクラウスは店員にこんなジョークを言った。“インスリンをくれないか?”チャーミングにウィンクをして去ったクラウス・フォン・ビューローしか、事件の真相は知らない…。
レビュー・感想・解説・評価
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本作も18年ぶりの鑑賞、クラウスは完勝?
まずはいつも通り前の感想を。
裁判を扱いながら法廷シーンはごく少なく、事件を解きほぐすことに時間をかける映画。事実を元にしている映画のようだ。クラウスを演じるのは、この映画でアカデミー主演男優賞を得た、ジェレミー・アイアンズ。
彼がホント静かに演じて、映画も低いトーンで落ち着いている。結局最後は無罪を得て終わるのだが、それでも映画では、クラウスを明白な白とは描いていない。しかも、この役にアイアンズを持ってくることで、ほとんど黒を意識したように思える。けれどもタイトルを自分なりに解釈してみると、これは彼の人生を意味し、無実が一転、嫌われ者になったということを表すと思う。ということは、白を意味すると。
最後にアイアンズがウィンクする場面があるのだが、なぜかとても、印象に残った。また髪の毛の多さも変化しており素晴らしい。
1998/08/28
2016年、たった1ヶ月の間に「ある天文学者の恋文」と「奇蹟がくれた数式」という非常に良作品が公開されるジェレミー・アイアンズのアカデミー賞受賞作品をもう一度観たくなったので☆ねぇねぇ、この2つの作品、どちらもアイアンズは教授だよ!
実際の事件を扱った本作のメガホンをとったのはバーベット・シュローダー。本作でアカデミー監督賞にノミネートした。この時に監督賞を受賞したのは「ダンス・ウィズ・ウルブズ」を監督したケビン・コスナーであり、同回の同賞にノミネートした作品として「グリフターズ/詐欺師たち」by スティーヴン・フリアーズをレビューしている。シュローダーの他の作品でレビューしているのは現在のところ「絶対×絶命」のみ。「ルームメイト」も好きなのだが…。なお、シュローダーは「王妃マルゴ」や「マーズ・アタック!」に“出演”している。
キャストを。
・トップクレジットだった昏睡状態になってしまったサニーに扮するのはグレン・クローズ。受賞はないが2016年現在6作品でオスカーにノミネートしている。レビュー作は前述の「マーズ・アタック!」、グレンは大統領夫人を演じている、ワオ!
・その素晴らしいキャリアの内で、本作が唯一のアカデミー賞ノミネート&受賞というジェレミー・アイアンズが疑われる男、クラウス・フォン・ビューローを演じる。toikunの好きな俳優であり、大好きなアクション映画「ダイ・ハード3」では敵の親玉として登場した。2004年の「華麗なる恋の舞台で」ではカメオ出演した息子マックス・アイアンズと共演。そして2016年、「ある天文学者の恋文」では「007/慰めの報酬」のオルガ・キュリレンコと共演したし、「奇蹟がくれた数式」ではデヴ・パテルと共演している。素晴らしき秋☆
・弁護を引き受けるダーショウィッツを演じるロン・シルヴァーはジャン=クロード・ヴァン・ダム主演の「タイムコップ」が有名かな。
・恋人関係にあった弁護士サラに扮するは、シルヴェスター・スタローンがギャラが低くても出たいと懇願した「コップランド」でスタローンに命を助けられ、耳が不自由になった彼に思いを寄せる役。他に「マイ・フレンド・フォーエバー」など。
・果たして誰が雇ったのか?(苦笑)怪しい男マリオットを演じるフィッシャー・スティーヴンスは製作した「ザ・コーヴ」でアカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞、日本人的にはチョット…。監督にも乗り出しているスティーヴンスの「ミッドナイト・ガイズ」はアカデミー賞俳優3人が共演しているし、toikunは評価をしている。
さて、改めて元になった本に触れるがアラン・M・ダーショウィッツ(Alan M. Dershowitz)の『運命の逆転(Reversal of Fortune: Inside the von Bülow Case)』(Amazonへのリンク)。いつか原作を読んでみたいと思う…といつも言っているなぁ。ティム・クラベーの『失踪』は読んだんだけど記述はしてないし…。
実在の人物であるクラウス・フォン・ビューローは2016年時点で健在で、妻サニーは2008年に死去している。
で、驚くべきは小説家のトルーマン・カポーティが出てきたと言うこと。前回の98年の時は知らなくてスルーだったんだけど、何で知ったかというと、勿論、故フィリップ・シーモア・ホフマンが「カポーティ」でアカデミー主演男優賞を受賞したから。レビューはしていないし、所見は昔なので内容は覚えてないのでアレだが、何かクラウス・フォン・ビューローに関わる人がアカデミー主演男優賞をこうも受賞するとは面白いよねぇ…って思った。
映画と関係ない点をもう一つ。劇中にサリーがエッグノッグを飲み過ぎて酔っ払う…なんて出てくるが、エッグノッグはウディ・アレン監督作品「アリス」に出てきて、秘伝のハーブを間違って入れられちゃって、主人公ミア・ファローが男どもに惚れられちゃってた、つまりは媚薬。
んで、劇中でインスリンはダイエットにも使えるって言っていたけど嘘でしょ?低インスリンダイエットってのはインスリンを出さないようにGI値の低いものを食べてダイエットするってヤツだったけど…低インスリンダイエットはtoikun太ったのでオススメしない。
ととインスリンと言いまくっているtoikunは、インスリンを注射する必要のある糖尿病なのだ。だからストーリー欄で、昔はインシュリンと呼ばれていた…なんて書いた。納得がいかない説明として、注射針にはインスリンは残らないって結果。コレって、注射針の中には残らないの?だって空洞でしょ?ん~、この辺は権威に聞いてみたい。
現状、昔と評価は変わらず6点のまま。弁護士の妄想の中で、何度もネグリジェ?をまくるハメになったグレン・クローズに同情した思いだけが強く残った…。
細かな点に気付いた。サニーが入院中に手首にタグをしていたの。今の日本じゃあ赤ちゃんの場合は取り違えを防ぐため、それ以外の場合は間違いを防ぐためにつける名前を書いたタグ。これ、1980年とかの話だよね。どの年の入院シーンだったかはうろ覚えなのでアレだが、少なくとも1980年にはアメリカでは入院患者にタグをつけていたんだねぇ。toikunの人生初入院は1985年くらいの盲腸だったかな!?1ヶ月…(汗)
そして、映画雑誌『SCREEN』誌のファンには絶対に申しておきたいことが出来たのだ。
ご存じの方も多いかも知れないが『SCREEN』誌では、例えばジャック・ニコルソンはジャック・ニコルスンと表現されるし、リタ・ウィルソンもリタ・ウィルスンと書かれる。つまり、ソン→スン何だけど、本作では弁護士ペリー・メイスンが語られた。で、ペリー・メイスンの綴りを調べてみたら“Perry Mason”なの。まぁ調べるまでもなくSON→スンなのだ。だから、昔は『SCREEN』誌的な表記が一般的だったのかなぁと妄想している。
And more.「ニキータ」などのフランス人監督リュック・ベッソンはtoikunの記憶の中では一度たりとも、『SCREEN』誌で“リュック・ベッスン”とは表記されず疑問に思っていたんだけど、解決した。
リュック・ベッソンて、Luc Bessonなんだよね。子音字を重ねることは英語では小さい『ツ』になる。フランス語でもソウだろうなと妄想すると、子音字重ねるリュックが、ベッスンは確かに変だ、ちゃんちゃん。
2016/09/18
by toikun.
『映画ファン』さんのレビュー・評価
投稿日時:20??/??/?? 15:59:46
4点/10点満点中★★★★☆☆☆☆☆☆
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