映画「サウスポー」あらすじ,ネタバレ,レビュー
©2015 The Weinstein Company LLC.All Rights Reserved.
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あらすじ
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養護施設出身の男はボクシング、ライトヘビー級の四団体統一王者となったがキレ易い自身の性格が災いし妻を亡くす。準備不足の次戦で負けるとベルトだけでなくライセンス、取り巻き、プロモーター、そして娘の愛、全てを失う。
支えてくれた妻を失った哀しみから立ち直ることの出来ない男は保護義務を怠ったと裁判所に判断され娘は保護施設へ。娘と再び暮らす為に自身をかつて苦しめたボクサーを育てたトレーナーの門を叩く男。
清掃夫として雇われた男はトレーナーの信頼を得てジムでのトレーニングを許されるとジムに通う青年と心を通わす。心に闇を抱えたトレーナーは青年の“死”でも苦しむ事になる。
娘に“ママじゃなく、パパが死んじゃえばよかったのに!”と言われてしまう男は娘の愛とチャンピオンの座を再び“勝ち取る”事が出来るのか?
「トレーニング デイ」のアントワーン・フークワが描く人間ドラマはリアリティ溢れるボクシング映画がベース。
そのボクシング映画と言えばシルヴェスター・スタローン主演の「ロッキー」シリーズやロバート・デ・ニーロ主演の「レイジング・ブル」という名作を一番に思い浮かべるファンも多いが、その理由は“人間ドラマ”というジャンルでもまた秀でているからである。
“スポーツ映画(ボクシング)”と“ヒューマンドラマ”、この二つのジャンルのどちらにおいても単独で逸品と言える本作だが、それぞれが“一つに溶け合うシーン”にきっと貴方は涙を流すハズ…。
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ストーリー・ネタバレ
ボクシングの聖地、マディソン・スクエア・ガーデン。今夜此処のリングに立つ一人のボクサーの育った養護施設は直ぐ側にあるという。この男の描いた夢は“施設とリング”以上に果てしない距離があった…。
ヘッドフォンで大音量の音楽を聴きながら集中するボクサーの拳にバンテージが巻かれ、その拳はグローブに収まる。この男の名はビリー・ホープ。母が収監された為に養護施設で育ったビリーは、ライトヘビー級で42戦無敗であり“ザ・グレート”という異名を持つまでのボクサーとなった。妻モーリーンは彼が12才の時に施設にやって来て知り合い結婚した。そんなビリーがこの聖地でWBC、WBA、WBO、そしてIBKという四団体統一王者の防衛に挑む。集中するビリーのヘッドフォンを外す彼の妻モーリーンは“打たれすぎないで”と声をかけるが、彼のスタイルは打たれた怒りを力に変えるというもの。彼はその“スタイル”でリングに立った。
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試合が始まると打たれまくるビリー。彼を心配しながら見つめるモーリーンの隣には彼のプロモーターであるジョーダン・メインズの姿がある。メインズの表情にはビリーを心配する素振りは見られない。それ程に、この“打たれる”というスタイルがビリーの持ち味なのだ。対戦相手のジョンズをクリンチすると“打ってこい”と更なる挑発をするビリー。これが終わると残り2ラウンドとなる第10ラウンド。ビリーの渾身の右ストレートが顔面を捉えると堪らずダウンする相手は10カウントで立てず、ビリーのKO(ノックアウト)勝ちで試合の幕は下りた。43戦無敗の四団体統一王者…観客はビリーの偉業を称えた。
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試合後。打たれすぎた為に口から流れ出る血が止まらないビリーを、妻モーリーンが気遣う。ボロボロの身体のビリーがチャンピオンとして記者会見場に姿を現した。喜びを口にするビリーを見つめる一人の男がいた。名前をミゲル・エスコバルといい“マジック”という異名を持つボクサー。ミゲルは爆発的なオフェンス力を持つボクサーだがディフェンスにも定評がある。そんなミゲルが“自分と戦え!”と挑発をして場を荒らすが、血の気の多いビリーを宥めるモーリーンとメインズによって事なきを得た。
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帰宅したビリーとモーリーン。この家はビリーがその腕で稼いだ金によって手に入れた豪邸。試合が気になって眠れずにいた娘レイラの部屋に入ったビリーは、愛する娘を抱きしめた。顔の傷を数えたレイラからは“パパ打たれすぎ!”と言われるビリー。その後、妻モーリーンとベッドで…。
翌日。何よりも稼ぐことが第一であるプロモーター、メインズが早くも次戦の話しを持ってきた。そのスタイルから夫の身体を気遣うモーリーンがいた。
生まれ育った養護施設でビリーが寄付を求めるスピーチをすることになった。身の上を話したがらないビリーを説得するモーリーン。2人は養護施設にやって来た。慣れないスピーチをするビリーだが喝采を浴びた。このチャリティーの参加者の中にミゲル・エスコバルと彼の取り巻き達がいた。帰宅しようとするビリーに“タイトルもお前の女ももらう!”と挑発するミゲルにキレたビリー。2人が取っ組み合いとなると参加者の誰かが持った拳銃が鳴った!ビリーが目にしたのはモーリーンが脇腹を押さえる姿。暴発した拳銃で命を落としたモーリーン。ビリーのこのキレ易い性格が違っていたならばこの悲劇は起こらなかったに違いない…。
モーリーンの葬儀が終わった。娘レイラは気丈に振る舞っているが立ち直れないビリー。全てを管理してくれていた妻の死によって豪邸は散らかり、ローンや税金などを滞納するようになったビリー。彼に大金を稼げる試合の契約書を持ってきたメインズ。ビリーはそれにサインをした。8週間後。この精神状態で試合に臨めるはずもないビリーがリングに立つと、格下の相手に後れを取りチャンピオンの座を失う。オマケに審判への頭突きで一年間のライセンス停止。それと共に多くいた取り巻き達も彼の元を離れ、金を稼げないビリーは豪邸を失った。挙げ句、裁判所で“保護義務を怠ったから娘を保護施設に入れます”と言われ、全てを失ったビリーだった…。
そんなビリーを見捨てない唯一の取り巻きジョン・ジョンの車に乗り彼がやって来たのはティック・ウィルズが経営するボクシングジムだった。ウィルズは、かつてビリーと戦って彼を苦しめたボクサーのトレーナーだった。試合に勝ったビリーだがそれはメインズが審判を買収した為。全てを話してトレーニングと働く場を与えて欲しいと頼むビリーに、清掃夫の仕事をするように言ったウィルズ。元チャンピオンとしてのプライドが許さないビリーはジムを後にする。しかし仕事が決まらないままでは娘を引き取ることが出来ない為に、もう一度ジムを訪ねたビリーはその仕事をすることになった。
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ウィルズという男はかつてボクサーであったが敵のパンチで左目を失明していた。その事により闇を抱えるようになったウィルズ。彼が闇を振り払おうと経営するジムで子供たちなどアマチュアにボクシングを教えるようになっていた。その子供達の中にホッピーという青年がいた。彼と心を通わし、また次第にウィルズの信頼を得ていくビリーは最初は適わなかったグローブを着けることを許され…。
ホッピーというキャラクターは「8 Mile」でエミネムが演じたB・ラビットへのオマージュ。どちらもウサギという意味。
(俳優兼ミュージシャンのエミネムと本作の関係ついてはレビュー欄に記載しています。)
かつて自分を苦しめた男のトレーナーに師事する主人公、この後の展開は?
2016年6月公開予定。公式サイトで最新情報をチェックだ!
レビュー・感想・解説・評価
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英語に“super(意味:極上の)”という単語がある。作品名は忘れたがアル・パチーノが自身の出演作で“Super!Superer!Superest!(すばらしい、いやそれ以上、極上も極上、最極上だ!)”というセリフを叫ぶシーンがあった、うろ覚えの話しで申し訳ないが。何故この話しをしたかというと、toikunも本作を鑑賞後こう叫びたくなったから。
「トレーニング デイ」では、長い間獲ることが出来なかったアカデミー主演男優賞をデンゼル・ワシントンにもたらし、「エンド・オブ・ホワイトハウス」では、アクション映画の一括りである「ダイ・ハード」ムービーを最上級に昇華させて映画ファンを驚かせたアントワーン・フークワの描く“最極上”ヒューマンドラマ。
・主演のキレ易いボクサーを演じるのはジェイク・ギレンホール。「ブロークバック・マウンテン」でアカデミー賞にノミネートするなど高く評価されたギレンホール。「ナイトクローラー」の特異な性格であるパパラッチ役は興味しろかった。
toikunのボクサーに対するイメージは正に“キレ易い”というものだがギレンホールの演技は本物のボクサーをイメージ出来る。また8つに割れた腹筋はどれだけ彼が本作に真剣に取り組んだかが分かる。撮影に臨むに辺り6ヶ月間1日2回、ほぼ毎日行ったトレーニングメニューをプロダクション・ノートから一部抜粋する。
普段の体重86kgから7kg落として“ボクサーの身体”を手に入れたギレンホールの肉体美はボクシング映画として必見である。
・ボクサーの妻役に「スポットライト 世紀のスクープ」でアカデミー賞に初ノミネートを果たしたレイチェル・マクアダムス。レイチェルは「パニック・フライト」というスリラーで“Shove it up your ass!”とスカッとする決め台詞を吐いて、聴いていて気持ちがよかったtoikun。「人生は小説よりも奇なり」等のアイラ・サックス監督が描く“昔のロマンス”「あぁ、結婚生活」もまた良し。本作では物語の展開上序盤で退場してしまうが、最後まで強い印象を残している。
・“心に闇を抱えた…”このページでtoikunはそう表現してるがボクシングトレーナーを演じているのは「ラストキング・オブ・スコットランド」のオスカーウィナー、フォレスト・ウィテカー。下積み時代の出演作「ハスラー2」(1986)ではポール・ニューマン演じる伝説のハスラー“疾風のエディ”をカモにしているし、「大統領の執事の涙」(2013)では実在の人物の老いも若きも演じ強烈な印象を残している。本作では“ボクシングを教える立場”なのだから過去を知るファンとして嬉しい。主人公と言ってしまっては大袈裟だが、ウィテカーの役どころは間違いなく物語の中心パートの一つだ。
・プロモーターに扮するは自身もボクシングプロモーターであるというミュージシャン兼俳優カーティス・“50セント”・ジャクソン。(彼の英語名表記は作品によって様々変わりT's Theaterに掲載する時に困っているが“Curtis '50 Cent' Jackson”で落ち着いたのかな?)他にロバート・デ・ニーロ・アル・パチーノ共演作品「ボーダー」(2008)や「フローズン・グラウンド」(2013)という作品でも見ることが出来るは本作はそれ以上の“役どころ”だ!
・「007/スカイフォール」、「007/スペクター」と007シリーズに“連投”したナオミ・ハリスが演じているのは児童保護施設の職員。出演作として「ダイヤモンド・イン・パラダイス」(2004)をレビューしてるが、同作は元007のダンディーピアース・ブロスナンがコメディックな泥棒さんを演じている。
・本作の描く“父と娘の物語”、その娘を演じているウーナ・ローレンスはブロードウェイ舞台「Matilda the Musical」でトニー賞を受賞、グラミー賞にもノミネートしているという。そんな末恐ろしいウーナが本作で見せる表情は、母の死に気丈に振る舞う“大人の顔”と背伸びをする“子供の顔”、そしてやはり親を求めてしまう“子供の顔”。この場面場面で違った様々な表情が、正にそれぞれの場面で本作が描きたかったモノではないか?
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ストーリー欄で触れたミュージシャン、エミネムに関して。
2016年6月より全国ロードショーが決定している。公式サイトでは物語を端的に表す画像がありイメージを膨らませる事が出来る。それを見て劇場公開までお待ち下さい。
2016/03/12
2016/03/17
by toikun.
『映画ファン』さんのレビュー・評価
投稿日時:20??/??/?? 15:59:46
4点/10点満点中★★★★☆☆☆☆☆☆
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