映画「大統領の執事の涙」あらすじ,ネタバレ,レビュー
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あらすじ
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アメリカ。南部生まれの黒人青年が大統領の執事になった。歴代の大統領に自分を殺して仕え、その事で息子とは疎遠に。年を取り世間の変化の中、男は執事を辞めて息子が主催するデモに参加する…。
事実にインスパイアされた自伝的ドラマ。後年の「グローリー/明日への行進」は“描き方”に批判はあったがアカデミー賞では受賞・ノミネート等高評価だったが本作はオスカーノミネート無し。何でかなぁ、フォレスト・ウィテカーが若い時代から年寄りまで演じていて好演!て感じましたがねぇ。
今でもあると言われる黒人差別。toikunは外国に出たことがない井の中の蛙。映画界でも2016年のアカデミー演技賞ノミネートに黒人がいなかったという事で大きな批判を受けることになったアカデミー協会。toikunの意見としては“ノミネートされなかったのは今年はそんなに目立った人がいなかったからでは?”なのだが、思うにアメリカでは違うのであろう。人種問題ですね。そんな人種問題を描く本作、是非見てみて下さい。オールスターキャストが出迎えてくれるから…。
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ストーリー・ネタバレ
(注意:物語の真意を伝えたいが為に差別用語“ハウス・ニガー”を用いています。当レビューの作者toikunには差別を肯定する意図はありません。気分を害しましたら申し訳ございません。)
とある一人の老人が黒人として初めてアメリカ合衆国大統領となったバラク・オバマに会う為にホワイトハウスへ来ていた。この男は…。
1926年ジョージア州メーコン。白人の大規模地主が黒人を雇って大規模農場を営んでいた。そこで働く男の一人としてセシル・ゲインズは育った。母を性の対象として“扱った”地主の息子に対して怒った父は殺された…。もちこんこの時代のアメリカである。罪に問われることはなかった…。
時が経ち青年になったセシル。夫を失ったことで心を患った母を残して街に出た。深夜、空腹に耐えかねず飲食店に入り込むセシル。黒人の雇われ店長メイナードはセシルを見つけても罰することなく逆にケガの手当てをした。“ハウス・ニガー”であるメイナード。それからセシルは彼に師事する。
そしてセシルは自分を殺して“ハウス・ニガー”として“白人の機嫌を損ねない”執事という事で経験を積んでいった。後メイナードが彼にワシントンでの仕事を持ってきたのだった。
1957年ワシントンD・C。セシルは高級ホテルのレストランで働いていた。“何も見なかった、何も聞かなかった”、そんなセシルに客であった大統領の側近の男は目を付けた。
このホテル時代にセシルは妻グロリアと知り合った。彼らは結婚をして長男ルイスと次男チャーリーという子宝に恵まれていた。
セシルはホワイトハウスで執事として働くことになった。もちろん黒人の“先輩執事”の面接もあったが彼は気に入られた。
学歴などあるはずも無いセシル。だがホワイトハウスが求める“ハウス・ニガー”としての知識・経験は十分であった。その為歴代大統領から気に入られる。
初めて仕えた(注:劇中ではそう取れる)アイゼンハワーの時に長男ルイスは南部のフィスク大学へ。ルイスは大学でキャロルという女の子と出会う。2人とも黒人差別に対して怒りがある。差別を変えようとする白人教授にインスパイアされ2人は政治活動に足を踏み入れた。フリーダムバス運動まで…。
その頃の大統領は“お坊ちゃん”ケネディであった。職の為に自分を殺していたセシルはケネディなどに最初は何の期待も無かったが公民権運動の盛り上がりもありケネディは“英断”をしセシルは期待した。…しかし凶弾に倒れた…。その時セシルは涙するのであった。
長男ルイスは運動で何度も逮捕される。大学などそっちのけ。セシルはきっと息子に学を成して将来は…と期待していたのであろう。それが違う意味で返ってきて疎遠となる。また多忙で妻グロリアのことを顧みなかったセシル。酒に溺れたグロリアを救おうと家庭にも重きを置いた。
時は経ちブラックパンサー運動にのめり込むルイスがキャロルを連れ久しぶりに家に帰ってきた。家を顧みないルイス、何よりセシルはこの運動が気に入らなかったのであろう。2人を追い出した。グロリアも執事のセシルを侮辱したことで同じ気持ちであった。
政治活動に邁進するルイスではあったが徐々に暴力的な側面を見せる活動とキャロルからは手を引いた。
また次男チャーリーはベトナム戦争に従軍した。“兄は国に対する、自分は国の為に”。セシルはチャーリーの悲報を受け入れることは出来なかった…。
ルイスは長年、黒人スタッフに対する待遇に関して意見を言ってきた。黒人スタッフの給料は白人スタッフに比べて低いし、昇進も昇給も無い。だが聞き入れられなかった。
ホワイトハウスの主はロナルド・レーガンとなっていた。執事として一番の評価を得ていたセシルは“待遇改善”を勝ち取った。コレには大統領側の何かしらの思惑があったのかも知れない。そしてこの時代に初めてセシルは執事ではなく客としてホワイトハウスに入った。妻グロリアにとっても初めてのことであった。これもレーガンの幾分かの“思惑”が…。
変わりゆく時代の気配を感じ、老いたセシルは執事という職を辞した。レーガンの気持ちは幾許か…。
結末・ラスト
ホワイトハウスの前で開かれる南アフリカへのアメリカの姿勢を批判するデモ。マイクを握るルイスが見たのはセシルの姿だった。セシルにとってデモへの初参加、そして逮捕。数十年に及ぶ親子の蟠りが消えた瞬間だった。
2008年のアメリカ合衆国大統領選挙。黒人として初めてバラク・オバマが大統領になった。投票を前に妻グロリアは逝った。投票後、家で“初の黒人大統領”誕生に対して涙を流すセシルがいた…。
歴代大統領に貰ったものや遺品などを身に着け年老いたセシルは再びホワイトハウスに足を踏み入れた。案内などいらない見知ったところだ。セシルを待ち受けるのはアメリカ合衆国大統領バラク・オバマであった…。
レビュー・感想・解説・評価
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ジャーナリストであるWil Haygood(ウィル・ヘイグッド)がワシントン・ポストに寄せた記事“A Butler Well Served by This Election”にインスパイアされた本作。
メガホンを取るのは「プレシャス」でのアカデミー作品賞・監督賞ノミニーのリー・ダニエルズ。
主演の執事を演じるのは「ラストキング・オブ・スコットランド」のアカデミー主演賞俳優フォレスト・ウィテカー。太っこいイメージのある彼が幾分かやせ形で髪の毛を減らしながら半世紀に及ぶ役柄を見事に演じている。本作でウィテカーの事が好きになったら2016年6月公開予定の「サウスポー」というボクシングドラマをプッシュしたい。闇を抱える老ボクシングトレーナー(=ウィテカー)が元チャンピオンにボクシングを教える。元チャンピオンは右利きのボクサーだ。『SOUTHPAW』という原題、映画をご覧頂くと意味が分かる。非常に良質のスポーツドラマになっている。
執事の妻役にはスティーヴン・スピルバーグ監督作品「カラーパープル」でアカデミー賞にノミネート、そしてその後アカデミー賞のジーン・ハーショルト友愛賞を受賞し、製作・出演した後の「グローリー/明日への行進」でアカデミー作品賞にノミネートしたオプラ・ウィンフリー。
実力派ブラックアクターが勢揃いで「ハッスル&フロウ」のオスカーノミニーのテレンス・ハワード(復讐劇「ブレイブ ワン」のラスト、アナタは共感されましたか?それとも…!?)、「ザ・エージェント」のアカデミー助演賞俳優キューバ・グッティング・Jr、デヴィッド・オイェロウォ(「ラストキング・オブ・スコットランド」の医師役)等枚挙に暇がない。
更に“枚挙に暇がない”と言えばチョイ役スター達。出演作は省略させて貰うが故ロビン・ウィリアムズ、ジョン・キューザック(「フローズン・グラウンド」をレビューした。実在のシリアルキラー…大統領から殺人犯、任せられるのは認められているから!)、LOVELY!アラン・リックマン(故人)(「愛しい人が眠るまで」)、リーヴ・シュレイバー(「ソルト」、「ザ・ハリケーン」)、ジェーン・フォンダ(「アイリスへの手紙」)、ヴァネッサ・レッドグレイヴ(「アガサ 愛の失踪事件」、「ミッション:インポッシブル」)などなど…スゴすぎです。
なお、2016年1月半ばにアラン・リックマンが旅立ったことを知ったtoikun。本作を最初にレビューした2015年10月の段階で何かあったのだろうか?虫の知らせが偶然か…。ロナルド・レーガン大統領をソレはもう輪郭まで似ているなぁと思わせたリックマンに惚れたのなら、toikunの青春のロマンス映画「愛しい人が眠るまで」を追悼レビューしたので映画鑑賞のお供に、そしてリックマンの初監督作品「ウィンター・ゲスト」(カメオ出演あり)もレビューしたので…。合掌…。
またマライア・キャリーとレニー・クラヴィッツが出演している。クラヴィッツはメインキャラクターだ。
うむうむ、スゴいねーキャスト!映画ファンを喜ばしてくれるがこれはきっと本作に共感したスター達の出演料など顧みない協力によるものだったのであろう。尊敬してしまう。
多分に自伝的なドラマ。ワシントン・ポストの記事を見たわけではないし、その記事がどれだけ真実に近づいているのか、そしてそれにインスパイアされた本作が更に脚色されていないかは分からない。多分に作り手の思いが入っていることは推測できるので本作だけを持ってしての判断というのはキケンではあるが、我々日本人が世界史で習ってきたような“黒人差別”というのは脚色のない事実として描かれていると判断する。そしてその判断をしたtoikunには涙が溢れた。
年を取ってしまって泣き上戸になっている、だが本作はお涙頂戴では決してない。アフリカン・アメリカンの“事実”なのである。まだ未見ではあるがアカデミー賞授賞式の主題歌賞パフォーマンス・受賞で泣いてしまったtoikunは「グローリー/明日への行進」を見てみたい!って2016年に見ましたよ&レビューもしましたよ!デヴィッド・オイェロウォがマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師を演じています!それにキューバ・グッティング・Jr、コールマン・ドミンゴも出演!
演出として暗くならないように(なのか…!?)軽快な音楽を交え、それと映像を巧くシンクロさせて編集で魅せてくれたのに唸ってしまった。バンザイ!!!
デモに参加するだけで逮捕…日本では考えられない(法律違反がなければの話し)。そんな時代があったんだね、今でもかも知れないが。
作中に現れる動画はほぼ実際の画像なのであろう。いいね。
最期に変な感想を。ちょっと前に「ツリー・オブ・ライフ」のCMでショーン・ペンの父親役にブラッド・ピットってのがあったが、本作も歴代大統領を見ているとアラン・リックマンよりジョン・キューザックが年寄りだったり混乱する…(苦笑)
…追記だが本作の忌々しい差別表現である“ハウス・ニガー”であるが「デンバーに死す時」で使われていた。そしてまた余談となるが本作ではジェームズ・マースデンによって演じられたケネディ大統領はケビン・コスナー主演の「13デイズ」では“ケネディ俳優”=ブルース・グリーンウッドによってかなり“近しい外見”が描かれるが…。
2015/10/26
2016/01/11
2016/03/26
2016/05/24
2016/12/11
by toikun.
『映画ファン』さんのレビュー・評価
投稿日時:20??/??/?? 15:59:46
4点/10点満点中★★★★☆☆☆☆☆☆
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