映画「レナードの朝」あらすじ,ネタバレ,レビュー
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あらすじ
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ブロンクスの病院へとやって来たセイヤー医師。患者は動くことをせずに感情も見せない人たちが多数。熱心に各々の患者のカルテなどを調べていったりしたセイヤー医師は。そして、パーキンソン病患者に対する新薬に目を付けた彼は上司に懇願し、一人だけ実験的に取り入れて良いと言われ、レナードという男性に投与することに決める。
彼は子供時代に発病し、以来30年間この症状だった。母親から投薬の許可を得、さっそく投薬を始める。最初は効果を見せなかったものの、量を増やし根気的に続けていったある時、レナードは急に目覚めた。まるで健常者のように立ったり歩いたりするのだ。それを見た母親は喜び、セイヤーも嬉しくなった。そして、この薬を患者全員に投与したいと思い、病院の支援者を説得し全員に投与できるようになる。まるで奇跡が起こったかのように次々と目覚める患者達。病院内は華やかな空気に包まれた。
レナードも知り合ったポーラという女性に初恋をする。患者達もそれぞれ失われた時を取り戻すように生き生きと生活を送る。だが、レナードは病院を一人で出ることが出来ない事に不満を持ち他の患者達をけしかけ自由を要求し始める。しかし、病院としてはそれを受け入れることは出来ずにレナードを監獄病棟のごとき場所に入れてしまう。
そして“夏の奇跡”もそう長くは続かなかった。
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説明:
ストーリー・ネタバレ
移民が多く住んで言われるというアメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市ブロンクス区。
1930年代のこの地区にレナード・ロウという少年が暮らしていた。同世代の移民の友人たちと遊んでは公園のベンチに“Leonard(レナード)”と彫ったりして、子供らしい“自分を誇示”したりする事もあったが、基本的には読書をしたり勉強したりするなど真面目な青年であった。
真面目さが取り柄だけあって学校の成績は上位を維持していたレナードだったが、とあるテストの時にレナードも出席していたはずなのに答案が出ておらず、担任の先生が“何故成績優秀なレナードが答案を提出しなかったのであろう?”と気になって、レナードの机に手を入れてノートを見ると、始めは汚い字ながらもビッシリ書かれていたノートが、ある時を境に“単語を書き始めると、右下がりになり途中から波線になっている”というのを発見して“しまった”。それは、レナードを女手一つで育てる母親のロウ夫人に直ぐに伝えられて、ブロンクスを襲った流行病にレナードがかかったこともあって、母親はレナードを“原因不明の病気”として家から出さないようになった。友人たちが遊びに誘いに来ても、身体は檄になったレナードだが、家から出ることを許されずに何時も自分の部屋から友達を眺めるだけになっていた。この時の彼の右腕は“原因不明の病”により震えをきたしていた…。
1969年。
ブロンクス区にあるベインブリッジ病院を訪ねたのはマルコム・セイヤー医師だった。仕事を求めてブロンクスにやってきたセイヤー医師は当然“医師免許”は持っているものの、今まで研究しかしたことがなかった。その研究をラボで出来るという求人を見て来たのだが、院長や病院の一切の実務を仕切っているカウフマン医師との面接に臨むと、彼らはセイヤー医師に入院患者の診察を求めたのだ。セイヤー医師が研究“だけ”に没頭してきた一番の理由は人付き合いが苦手だからである。患者を看れば口べた、コミュニケーションが下手なセイヤー医師でも当然患者と話をしなければならない。その事が頭をよぎると、他の病院で仕事を探そうという考えが浮かぶも、二人の医師からは“医師免許があれば良い”という様なニュアンスが示されて半ば強引に採用されたのであった。
看護師のアンソニーによって病院を案内されるセイヤー医師。セイヤーがこの病院で出会った患者は“風邪を引いている”だの“骨折している”だのという病気ではなかった。精神、そして神経科の病院であるこのベインブリッジ病院の入院患者は神経の病に冒されており、人間だから一人一人個性がありその反応にビックリするセイヤー医師。病室を離れて静かな診察室に戻ると、患者の安全のために設えられた金網と窓を開けて思いっきり外の空気を吸うのであった…。
セイヤー医師の助手として就いたのは、病院のベテラン看護師のエレノアであった。彼女は勤務から数日経っても病院に慣れないセイヤーに“信じられないけど慣れますわ”と声を掛けるのであった。
帰宅するのは何時も深夜になるセイヤー医師。苦手なのは人間だけでなく、近所の犬バターカップもであった。こんなセイヤーだから研究しかしてこなかったことは納得できることである。もっとも、バターカップは吠えることはあってもセイヤー医師のことを気に入っているようではあるが…。患者の為なのか、それとも只の趣味なのか、育てている植物を弄んでは粗末な食事で一日を終えるセイヤー医師の姿があった…。
翌日。新たに入院してきた老女ルーシーの診察をするセイヤー医師。少しも動こうとしないルーシーを診てタイプライターに“原因不明の痴呆症”とタイプしたところで後ろを向くと彼女が前のめりになっていた!そしてその手には彼女の眼鏡が握られていた。何かを悟ったセイヤー医師はその眼鏡を手に取り上から落としてみると全く動かなかったルーシーが眼鏡の落下を防ぐために手を伸ばして握ったのだ!この事から“ボールでも反応するのでは?”と考えたセイヤー医師は、それをカウフマン医師やエレノアの目の前でやって見せたのだ。“反射行動”だと自身の医学的見地から語るカウフマン医師だったが、セイヤー医師は面白い見解を示した。“行動の意志を失って、ボールの意志を借りて動いた”と。これを聞いていたタイラー医師やバート医師は呆れて行ってしまうが、カウフマン医師はセイヤー医師の表現を“おもしろい”と評する。そして看護師エレノアは尊敬の念をセイヤー医師に持ち正直に言葉で伝えるのであった。
次第になれていったセイヤー医師が取り組み始めたのは、“起きているのに心は死んでいるように反応を見せない=身体が動かない”症状だった。中には身体を自由ではないが動かせるものの、身体的反応・精神的反応は普通とは異なる患者も居る。
そんなセイヤー医師の目に留まったのが他の患者と同じ症状だが、年齢が同年代のレナード・ロウであった。レナードは子供時代から患った病気によって、1944年9月11日以来、動くことが出来ず、顔は無表情という他の患者と同じ症状になってしまったのだ。時間にして25年間も症状が続いている。このベインブリッジ病院で年老いた母親のロウ夫人によって介護を受けていたのだ。エレノアと一緒にレナードのことを調べたセイヤー医師は、レナードへの興味、いや、興味と言っては語弊があるが関心が強くなり、退勤後のエレノアのコーヒーショップの誘いを断って家に着くとレナードへの思いを巡らしてソファーへと眠りに就いた。
だがふと真夜中に目覚めたセイヤー医師は病院へと戻ると過去の資料を調べ上げその中のどれにも挙げられている“嗜眠性脳炎”という言葉に目をつけた。この“嗜眠性脳炎”というのは1920年代に流行した病気であり、ベインブリッジ病院の入院患者全てがこれにかかっていたのだ。過去の新聞からこの病気の権威であったピーター・インガム医師の住居を訪れたセイヤー医師はインガム医師から話しを聞き、昔のスライドも見せられて、“嗜眠性脳炎”が原因だとの確信を持ち始めた。
一方、セイヤー医師が“ボールの意志を借りた”と表現した老女ルーシーだが、セイヤー医師はエレノアに協力を求めて、“タイルの意志”を借りてルーシーを歩かせることが出来、大きな一歩となった。
レナードのことが気になるセイヤー医師は、レナードの生家を訪ねた。若いレナードの病状を聞き、意識を失ったレナードを1939年11月14日からベインブリッジ病院に入院させていると話すのだった。当時、レナードは20歳の、普通だったら青春を謳歌している時期…。
病院でレナードの脳波の検査をするセイヤー医師たち。大部分が何の反応も見せないフラットの波形であったが、唯一反応があったのがセイヤー医師がレナードの名前を呼んだ時だった。つまり、身体は反応が出来なくても、心は聞いている!?荒唐無稽なセイヤー医師の主張だが否定する根拠も待たないのも確かであった。
ルーシーが“ボールの意志を借りて自分の意志を示した”と言う事を、患者全員を集めて行った病院。一見ボール遊びだが大きな進歩である。
次に、様々なレコードを患者に聴かせる病院スタッフ。患者にも過去の時代には興味があったので、それぞれ反応する曲は異なるが、好きな曲がかかると無意識に食事をする患者まで現れた。
そして、セイヤー医師が一番気にかけるレナード・ロウである。他の患者が病院の医師やスタッフにより心に秘めた漢書を現す中、レナードのソレは余り現れることはなかった。
ここでセイヤー医師は当時、パーキンソン病に使われているL-ドーパ(現在はL-ドパ)という薬に興味を持った。製薬会社の薬の説明会に出向いたセイヤー医師は、技術者のパーキンソン病に対する有意性の説明もそこそこに、自分の患者に対して効果があるのかを質問したが、流石にこれは空気が読めずに押し切られた。しかし休憩時間のトイレで技師と偶然一緒になったセイヤー医師は疑問をぶつけるも、明確な答えは薬学士である男から得られるハズもなかった…。
病院に戻ったセイヤー医師は上司であるカウフマン医師に、明確なエビデンスがないにせよ、L-ドーパを患者に投与してみたいと進言したが断られる。めげないセイヤー医師は、最初は患者全員に飲ませるつもりだったが、レナード・ロウに限定して飲ませることを提案。カウフマン医師からは同意書を取るように求められるのであった。
ロウ夫人の自宅を訪れたセイヤー医師は彼女を説得した。結局、最初はオレンジジュースにL-ドーパを混ぜてレナードに投与した。オレンジの酸が影響するのか、次はミルクに混ぜて投与する。一番最初は200mgだった投与量も500mgにまでセイヤー医師は増やすように求めた。それでもレナードの状況は変わらず、セイヤー医師は夜勤の最中に自分で1gという膨大な量を測りレナードに投与。身体が疲れたのかレナードのベッドの椅子でうたた寝をしていたセイヤー医師が目覚めるとベッドにレナードがいない!セイヤー医師が探し回ると、レナードは起き上がり自分で歩いてテーブルまでやって来て、手紙を書いていた。ついにレナードの“Awakining=目覚め”だ!
日が経つにつれレナードの状況は良くなっていった。招かれたロウ夫人は感動し、病院の医師・スタッフも又驚嘆の声を上げ、レナードと一緒に食事を摂ったりした。だがポラロイドカメラを用いてレナードの写真を撮ろうとした時、彼は気付いた、自分の顔が大人になっていることを…。レナードの記憶の中では子供のママであったのだが、病気で意識がないとは言え、身体は成長して顔つきも大人の顔になって居待ったのだ。鏡で自分の顔を見たレナードの思いとは…。
夜になりベッドに入ったレナードは、目を閉じて篤実になると前の状況になるのではないかと怖がった。だがセイヤー医師は安心させると母親のこもり歌で眠りについたレナードであった。
セイヤー医師という付き添いがつくことが条件ではあったが、レナードは街中に散歩に出られるようになった。25年ぶりに見る街中は彼の想像力を持ってしても創造できないものであり、かつて“Leonard(レナード)”と彫ったベンチに腰を下ろしたレナードとセイヤー医師だった。
次に二人はセイヤー医師の自宅へとやって来た。“人付き合いは苦手”と正直にレナードに語るセイヤー医師だが、レナードはエレノアから“話”を聞いており、どうやらエレノアはセイヤー医師に気があるようだ。その事を話すレナードだった。
ある日の病院。昼食を摂っているセイヤー医師とカウフマン医師。病院中にレナードのL-ドーパによる改善が知れ渡っていたので、これを契機に患者全員へのL-ドーパの処方を進言するセイヤー医師だったが、それは月にして1万2000ドルもの大金がかかり、財政を預かるカウフマン医師は到底承諾できない。だが同じカフェテリアで食事を摂っていたエレノアや他の看護師、掃除夫までポケットマネーをカウフマン医師へと差し出したのだ。少しの足しになるが、これでは全員に薬は行き渡らない。
カウフマン医師がチャリティーを開いて、セイヤー医師がレナードに対する業績と回復を後援者にスライドで見せて語りかけた!エレノアのアドバイスもあり優しい言葉で説明できたセイヤー医師に、皆が感動し賛同、多額の寄付により患者全員へと行き渡るL-ドーパの資金が確保された瞬間であった…。
バート医師の計量で全ての患者にL-ドーパが行き渡った。そして皆が寝入る真夜中に“1969年の奇跡”が起こった!全ての患者が目覚めて健常者と同じように行動して居るでは無いか!これを見たセイヤー医師の目に宿ったものとは…。
病院職員の負担となっていた肉体的・精神的負担が減ったように思えた。動けるようになった患者をバスに乗せてセイヤー医師が考えたレジャー施設へと行く事になった。只この日、病院に見舞いにやって来た女性ポーラに目が留まったレナード。レナードの母親も旅行にいくハズであったが、身体を気遣うフリをして帰るように促したレナード。そして彼も又旅行へとは行かず、病院に戻りポーラと共に食事を摂ったのだ。色々な話をするレナードとポーラ。レナードは自分の病気を打ち明け、またポーラは、彼女の父親がレナードと同じ病気であると語った。
これはレナードの思春期では経験できなかった初恋。親を遠ざけるという行動も、思春期ならではのことであり頷ける…。一方、旅行に出掛けた一行は、セイヤー医師の趣味が余りに堅物名為に患者が退屈!ダンシングバーへとやって来ると、みな思い思いに踊って楽しむのであった…。
回復した患者たちと病院スタッフが過ごす部屋は全てが健常者のようで明るい雰囲気だ。それが夜になり、セイヤー医師が帰宅をするとレナードから電話が入った。直ぐに病院へと戻ったセイヤー医師に、レナードはまるで“躁状態”になったかのように夢を語った。
そして、この時が来た。レナードが一人で外出をしたいと病院の経営陣・医師・看護師・スタッフが集まる会議で言い出したのだ。“それは出来ない”との意見が大勢となるが、会議が終わった後にセイヤー医師がレナードに結果を伝えに来ると、答えは“No”だった…。激怒したレナードは一人で病院の玄関に向かい外に出ようとするが、セイヤー医師が玄関スタッフに電話をして、ソレを引き留めた。ロウ夫人は“L-ドーパの副作用で凶暴になった”と医師たちを責めるのであった。
拒否をされたレナードは、人間としての尊厳を取り戻すために他の患者に演説をして説得を試みる。結果、レナードの周りには数人の取り巻きが出来た。だが同時に、レナードの顔には“痙攣”が出るようになった…。
レナードたちのハンガーストライキでカウフマン医師とセイヤー医師は対立をすることになるが、セイヤー医師がレナードの説得に乗り出した。
やって来たセイヤー医師から取り巻きを遠ざけたレナードの痙攣は更に酷くなっていた。説得をするも応じないレナードは思いがけずセイヤー医師を殴ってしまい、彼の眼鏡を亡くしてしまった…。
家に帰り眼鏡のコレクションを弄るセイヤー医師の思いとはどの様なものだったのであろうか?眼鏡を取り戻すべく病院に戻ったセイヤー医師はテーブルの上に置いてある、ガラスは割れているが手で修復をされている眼鏡に気付いた。我を取り戻したレナードが眼鏡を見つけて、せめてもの直したのだ。壁に伏すレナードを見つけたセイヤー医師は優しく彼を抱きしめた…。
レナードは一般のこの病気の患者のところへと戻る事になった。だが彼はセイヤー医師に提案をした。どのくらいL-ドーパを投与すれば痙攣がなくなるのかを確かめて欲しい、痙攣が消えないことが分かればそれでも良いと。これがL-ドーパで正常な生活を取り戻した他の患者のためになるからだ。
結末・ラスト
レナードは一番始めに実権に参加をしたために、他の皆には痙攣は起こっていないが、レナードの痙攣は皆に見えていて次第に酷くなっていく。その為、セイヤー医師たちは処方するL-ドーパの量をかなり増やしていったのだが、痙攣が消えることはなかった。
自分が痙攣する姿を他の患者のためや、後学のためにセイヤー医師にビデオで録画をさせるレナード。セイヤー医師にとってはこれが何よりも苦痛だったのだ、苦しむ患者に手を差し伸べることが出来ないのだから。
ある時ロウ夫人がやって来て、この“レナードに対する実験”を止めるようにいうのだった。
そしてまたある日。病院へやって来たポーラとテーブルを囲んだレナード。彼の痙攣は留まらないが、愛する女性に会えたことで顔は笑顔である。だがレナードはこう切り出した。“もう会わないようにしよう。”握手で別れようとしたレナードだったが、ポーラは震えるレナードをダンスに誘うと不思議と彼の痙攣が止まるのだった…。
病室でポーラを見送るレナードの目は涙で溢れていた…。誰も彼に声を掛けられる状況ではなかった。そして、レナードは1969年の奇跡が起こる前に戻った。今、セイヤー医師がスライドで見ているのは、奇跡の後に録画したレナードのインタビューである。この時、エレノアがやって来て“先生は親切な人です”と語ったが、セイヤー医師は“命を与えてまた奪うのが親切なことか?”と吐露した…。
夏の奇跡から冬になり、外には雪化粧。セイヤー医師は自分の経験を包み隠さず講演で語るのだった。
仕事熱心なセイヤー医師が何時ものように残業という概念を持たずに深夜に働いていると、エレノアが帰るために彼に挨拶をしていってしまった。だがセイヤー医師は何かが今までとは違っていた。窓からエレノアを呼び止めると急いで外に出る。待っているエレノアに、口べたながらもコーヒーへと誘う、少し成長したマルコム・セイヤー医師の姿があるのであった…。
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Oliver Sacks(オリバー・サックス)の事実を描いた原作小説『レナードの朝(Awakenings)』(Amazonへのリンク)を基にした映画であり、映画としてはフィクションとして描かれる。ジャンルはヒューマン・ドラマ
アカデミー作品賞を始めとしてロバート・デ・ニーロが主演男優賞、他に脚色賞にノミネートされるなど非常に高い評価を得たが受賞はならなかった。個人的にはロビン・ウィリアムズも主役なんだから、二人でオスカーを争ったら面白かったのだが…。
なお脚本のスティーヴン・ザイリアンは「シンドラーのリスト」でアカデミー脚色賞を受賞しており、他に「ギャング・オブ・ニューヨーク」でアカデミー脚本賞にノミネートされるなど常連さんだ。監督としては「シビル・アクション」を撮っている。
音楽のランディ・ニューマンは兄弟も説明する必要はないし、アカデミー賞のノミネート・受賞履歴も素晴らしい作曲家だ。
キャストを。
・toikunは二人が主人公と評したが、トップクレジットだったのは名優ロバート・デ・ニーロで、レナードを演じる。思えば本作のお陰で『SCREEN』誌が一時“レナード・ディカプリオだったのでは?”と最近考えているが、どうなのだろうか?それは置いておくとして、「レイジング・ブル」と「ゴッドファーザーPART II」でアカデミー賞に輝いている名優は本作や「タクシードライバー」などでもオスカーにノミネートしている。「ジャッキー・ブラウン」はクエンティン・タランティーノ監督作。本作、病気がある程度良くなった後のレナードが取り巻きに囲まれるのは、やはり怖い。
・もう一人の主人公セイヤー医師を演じたのは「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」でアカデミー賞を受賞し、翌年ジュディ・デンチにアカデミー助演女優賞を手渡した故ロビン・ウィリアムズ。悲しい最期だった。コメディが地盤のウィリアムズは「ミセス・ダウト」がとても宜しい。他にtoikunの大好きな「大統領の執事の涙」ではアイゼンハワー大統領を演じているし、下品なコメディ「グリフィン家のウエディングノート」では神父役としてデ・ニーロと再共演。人付き合いが苦手という役どころが、もしかしたら役ではなくて本人の性格だったのかも知れない…。
・病院の看護師エレノア役にはゴールデン・グローブ賞ノミネート歴がすごいジュリー・カヴナー。ウディ・アレン監督の「アリス」(1990)など。中盤でコーヒーを誘って断られるのが素晴らしい布石ですよねぇ。
・病院の実務を取り仕切る恰幅のよさげな医師には昨日「スネーク・アイズ」をリレビューしたが同作では軍事会社の社長を演じていたジョン・ハード。最も有名なのは「ホーム・アローン」のお父さんだろう。なお「幸せの向う側」というミステリーは非常にオススメだ。それはジョン・グリシャムの「ペリカン文書」より…。本作では最後の方に字幕で“部下を解雇している”なんて出ていたけど、結局自分では責任を認めていないんだよねぇ。
・一時、正気になったレナードが惚れる女性役にペネロープ・アン・ミラー。昔の『SCREEN』誌では“ペネロピー・アン・ミラー”…。アレック・ボールドウィンのダークヒーローもの「シャドー」など。嫌みのないとても綺麗な女優さんで配役がよかった。
・チョイ役だったがお爺ちゃん医師として登場するマックス・フォン・シドーは「ペレ」と「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」で二度アカデミー賞にノミネートしている名優のマックス・フォン・シドー。「マイノリティ・リポート」や「ゴーストバスターズ2」など。本作では殆ど光らなかったなぁ。
・患者としてピアノをよく弾いていたのがデクスター・ゴードンで「ラウンド・ミッドナイト」でアカデミー賞にノミネート。元が音楽家という事だけあって演奏は素晴らしい…ってかウィリアムズのピアノ演奏シーンが出てくるが本当に弾いていたのかな?
・殆どセリフがなく顔が映るのも少ないが、医師の一人として登場するブラッドリー・ウィットフォードは「パーフェクト・ワールド」では嫌な奴だったし、2016年公開の「アイ・ソー・ザ・ライト」では実在の作曲家を演じ、トム・ヒドルストンと共演している。他に社会的な「フィラデルフィア」など。
・セイヤー医師がL-ドーパの売り込み会?に行った時に説明していたのが個性派ピーター・ストーメアで、先日鑑賞したお下品なドラッグコメディ「SPUN/スパン」がまぁまぁだった。他に「アルマゲドン」など。
さて、17年前の1999年の感想を。
レナードをロバート・デ・ニーロ、セイヤー医師をロビン・ウィリアムズが演じるというベストキャスティング名、事実を基にしたヒューマンドラマ。他に、レナードが恋する女性ポーラにペネロピー・アン・ミラー、ピーター医師にマックス・フォン・シドーがチョイ役出演している。
アカデミー作品賞にノミネートされるなどその高い評価が物語るとおり、涙なくしては見られないような感動作品だ。同じくオスカーにノミネートされたデニーロの演技、またウィリアムズとの2人のやりとりなど見所たっぷり。特にデニーロの無邪気な笑顔にはホンワカし、そして悲しくなる。
劇中でのウィリアムズの苦悩に、“一度目覚めさせてまた殺してしまった。”と言うのがある。この1969年の夏は彼らにとっては本当に有意義だったのかな。それ考えると、胸が詰まってしまう。つらい。ただ感動させるだけでなく考えさせる映画でもある。
ラストのセイヤー医師が看護婦をコーヒーを飲もうと誘うシーンにとても救われた気がした。
1999/09/24
2016年の感想を。
2015年終わり辺りに前述の「グリフィン家のウエディングノート」を観て“クソコメ”だなぁって思って、途中でウィリアムズが出てきたから忘れていた本作を観たくはなっていた。それにデ・ニーロが助演した低予算的なクライム映画「タイム・トゥ・ラン」もあったし、デ・ニーロ熱が高まっていた。
しかし、子役も似ている子を集めたよねぇ。ホクロは付け黒子かもしらないけどさ。このデ・ニーロってオッサンだから、大人しい役も怖い役もどっちも魅せられるんだよねぇ。デ・ニーロ万歳ですわ。
閑話休題。劇中に出てきたL-ドーパについて。何かこの薬は日本では『L-ドパ』とか『レボドパ』とか聞くんだけど真実は余り知らない。けど大分前に見た記事では脳内のドーパミンを増やしてパーキンソン氏病を改善させるってあった。でも血中濃度や半減期の関係で、ダウンもあるとか!?この辺は薬剤士さんとかお医者さんの専門だろうけど、もう良いお薬が出てるよね!?
2016年に、アメリカでエイズの薬の権利を手に入れた男が“薬の値段を上げる”なんて言ったけど、赤字ならまだしも利益のためだけにはやって欲しくないなぁ…と映画とは関係ないところで終わります…もう一言。最近自宅の部屋でお灸をする様になったんですよ、肩こりで。窓を開けてやるんだけど、終わった後も臭くて2~3日は匂いが消えないの…(泣)
2016/11/27
by toikun.
『映画ファン』さんのレビュー・評価
投稿日時:20??/??/?? 15:59:46
4点/10点満点中★★★★☆☆☆☆☆☆
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