映画「ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ」あらすじ,ネタバレ,レビュー
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あらすじ
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アーネスト・ヘミングウェイやF・スコット・フィッツジェラルドを見出した編集者マックス・パーキンズの元を訪ねたまだ日の目を見ることのない小説家トマス・ウルフ。幾ら手書きとはいえ何十冊もの長編を持って現れたのだ。彼の作品を読んでみると帰宅する電車の中でも止まらず、帰宅してからも家族との会話はそっちのけで文章に引き込まれるパーキンズ。
トムの才能を見抜いたパーキンズは、トムと一緒に長編の編集作業を行い、読者の元に届けるのに相応しい長さと表現を提案する。そして出版された『天使よ故郷を見よ』はベストセラーとなりトマス・ウルフは有名作家の仲間入りを果たした。
2作品目をかき揚げたトムはまたパーキンズと編集作業を行う。自分があるのはパーキンズのお陰だと、普段は黒子として表舞台に現れない編集者パーキンズに対し、謝辞を本に追加したトムがいた。
それ程に、自分を見出してくれた編集者パーキンズを慕っていたトムだが、自分の文章を“削除(Edited)、削除(Edited)、削除(Edited)”と簡単に削除していると反感を持ち始める…。
実在の作家トマス・ウルフと編集者であるマックス・パーキンズを描いた“事実を基にした”ドラマ。
編集者パーキンズを演じるのは「英国王のスピーチ」でアカデミー主演男優賞を受賞したコリン・ファース。少しエキセントリックに描かれるがこれが“この人の実像”なのだろう、小説家トマス・ウルフを演じるのは「リプリー」と「コールドマウンテン」でアカデミー賞にノミネートしているジュード・ロウ。
意外にもイギリスを代表する2人の俳優の初共演作品となった!
そして彼らの周りを囲むのは「めぐりあう時間たち」でアカデミー主演女優賞を受賞したニコール・キッドマン、現在のところ3度のオスカーノミニーであるローラ・リニー。
出演シーンは少ないものの実在の有名作家を演じるのはこの2人。劇中では3つのシーンで登場するF・スコット・フィッツジェラルドを演じる「L.A.コンフィデンシャル」のガイ・ピアースと、1つのシーンでは登場しないが強烈なアーネスト・ヘミングウェイの印象を残す「マネーモンスター」のドミニク・ウェスト。
豪華な俳優陣をまとめ上げたのは、本作が劇場用長編映画初監督作品ながらイギリスとブロードウェイという演劇の世界で著名なマイケル・グランデージ。
そして本作には原作がある。A・スコット・バーグの『名編集者パーキンズ』(Amazonへのリンク)だ。これを本作の脚本家であるジョン・ローガンがバーグから映画化権を買い取り17年間暖めてきたのだ。何と言う“愛と執念”。
toikunは本作を観るまでマックス・パーキンズの事を知らなかったが、そちらの世界では有名である事を教えられた。無知は罪…。ただそれ程には、一般的には知られてはいないとも教えて頂いたので、パーキンズを知らない方、そして編集者という職業をご存じない方には特に本作を観て欲しい、価値観が変わるから…。
10月7日(金)、TOHOシネマズシャンテにて先行公開、14日(金)より全国順次公開。
公式サイトは、公開劇場一覧や翻訳家・アメリカ文学研究者の柴田元幸氏による興味深い作品解説、パーキンズが手がけた代表的な書籍が一覧になるなど盛り沢山!
toikunはクライマックスに大粒の涙を流した…。
なお、本作の邦題“ベストセラー”と“編集者パーキンズに捧ぐ”の間は、全角スペースである。
配給:ロングライド
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ストーリー・ネタバレ
A True Story(実話)...
1929年、アメリカ・ニューヨーク。この街は、いつの時代も夢を掴もうとする人が訪れる街。運がなければ女神は微笑まないが…。
雨が降り、人々が傘を差しながら忙しく行き交うこの街で、一人の男がびしょ濡れになりながら何か落ち着かなそうにタバコに火をつける。男の見上げたビルに入っているのは出版社チャールズ・スクリブナーズ・サンズ。社名と共に、創業年である“1846年”という文字がことさら強調されているビルの外壁。
この出版社で編集者として働くのはマックス・パーキンズ。L・スコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』やアーネスト・ヘミングウェイの『日はまた昇る』の編集を手がけたパーキンズの書棚にはそれらの本が並んでいる。そんなパーキンズの元に、無名の作家から作品が届けられていた。パーキンズはその“添削作業”をしながら、こう評した。
ユニークだが、傑作ではない
途轍もなく長編である無名作家の小説を帰宅のために乗った汽車の中でも読みふけるパーキンズ。そして妻ルイーズや娘たちが待つ自宅に帰宅した後も、会社での服装=スーツと帽子を被るスタイルを着がえることなく事なく本に集中、家の中で劇の練習をする妻や子供たちが五月蠅かったのでクローゼットに籠もってまで、無名作家の小説を読んだ…。
翌日。出社したパーキンズの顔は“満足”という笑みが溢れていた。
GENIUS
パーキンズがヘミングウェイの『武器よさらば』の編集作業をしていた時、前日にビルを見上げていた男が現れた。
君がトマス・ウルフだね?
身振り手振りだけでなく、会話をコーディネイトする言葉さえも大袈裟なその男がトマス・ウルフ。ベストセラー作家になる男だが、それはもう少し先の話。トムが送ってくれた本を読み終えていたパーキンズは、トムに有無を言わせずこう言い放った。
うちで出版します
高さ20cm以上もあるトムの原稿の山がパーキンズの部屋で光輝くのを待っている中で、パーキンズは500ドルを印税の前渡金としてトムに差し出した。
落第だと思ってやって来たトムなので、この瞬間は意外だった。他の出版社に断られた作品を、ヘミングウェイやフィッツジェラルドの作品を手がけたパーキンズに評して貰って、ダメならば…と思っていたのかもしれない。500ドルを貰い部屋を出、エレベーターを待つ間に彼の喜びが爆発し、歓喜の声は社内で何時までこだましていた。
帰宅したトムを出迎えたのは、一緒に暮らす女性アリーン・バーンスタインだ。彼女には夫も子供もいるのだが、夫との生活に不満があり家を出てきてしまい、まだ無名で小説では食べていけないトムをサポートする形で同棲をしているのだ。500ドルを手にパーキンズとのやり取りを話したトム。その後、抱きしめ合う2人の姿があった…。
チャールズ・スクリブナーズ・サンズ社のパーキンズの部屋にトムが来ている。出版に際して、300ページも削ると話したパーキンズ。パーキンズとトムの2週間に及ぶ共同の編集作業が始まった。
編集作業をやりやすくするために、まずやることは、手書きのトムの小説を社の女性たちがタイプライターで“読みやすい文字おこし”をやっていく。そして、読みやすくなった各ページを見て、“削除(Edited)”やパーキンズのアドバイスで表現を変えたりしていく。たった2週間しかないので、パーキンズの家に泊まり作業をすることになったトム。その作業は、出勤・退勤の汽車の中でもだ。
パーキンズの家では彼の家族と食卓を囲むトム。歯に衣着せない彼の言葉は娘たちには好感を持たれるが、パーキンズの妻ルイーズが、“戯曲を書いている”と話すと、トムは“一度戯曲は書いたが…”と悪意の無い戯曲への批判をしてしまい、ルイーズの表情は曇ってしまった。電話を借りてアリーンに泊まっていくと話したトム。そしてパーキンズにこう話した。
君に会うまで友人がいなかった。
これを聞いて微笑んだパーキンズの笑みの真意は、“私が君の初めての友人になれて嬉しいよ”なのかもしれない。
パーキンズの会社。原稿はとうとう完成した。パーキンズはトムにこう聞いた。
タイトルに関してもう一度聞くよ。
トムは原稿の表紙にこう書いた。
『天使よ故郷を見よ』
こうして出版された『天使よ故郷を見よ』は瞬く間にベストセラーとなり、トムは一躍時の人となった。
[ストーリーは導入のみ]
・トムが2作品目の執筆を終わると、再びパーキンズとの共同編集作業へ
・『天使よ故郷を見よ』では謝辞をアリーンに書いたが、トムは忙しく彼女を顧みなくなった
・パーキンズもまた忙しく、妻ルイーズと…
・2作品目は黒子であるパーキンズに最大限の感謝の謝辞を記述したトム、パーキンズとの友情は一生続くと思われた
・だが、パーキンズが“削除(Edited)”を連発すると、“あなたはフィッツジェラルドやヘミングウェイの原稿も削除を連発したのか?していないだろう?”と反発してしまう
・またフィッツジェラルドの妻ゼルダは統合失調症で病院から退院してきたばかりだったが、トムがフィッツジェラルド夫妻に会うと暴言を…これに対し、激怒するパーキンズ…
・そして、トムに他の出版社がアプローチをしてきて…
・奔放なトマス・ウルフの溢れる人間的魅力、“正”の魅力も“負”の魅力も、ジュード・ロウだからここまで伝わった
・“自分は黒子”と表に出たがらないパーキンズに謝辞を書いたトム、それは真の友情があったから。彼らの友情の絆、例え何があっても最後には…
・「英国王のスピーチ」でロイヤルファミリーの兄弟を演じたコリン・ファースとガイ・ピアース。同作では弟=ファースに王位を譲ってしまう兄の役がピアースなので、「英国王のスピーチ」を覚えていると、本作の2人の関係が更に興味深く見られるかも
・アーネスト・ヘミングウェイを演じるドミニク・ウェストの登場はたったの1シーンのみ。しかし強烈な印象を残すぞ!
・トムがパーキンズをジャズバーに連れて行くシーンがあるが本作中で一番微笑ましい
これだけは言える、マックス・パーキンズがいなければトマス・ウルフが世に出ることはなかった
・トムがパーキンズへ手紙を書いた。それを読んだアナタはパーキンズと同じく…
10月7日より先行公開されるTOHOシネマズシャンテ。遠い方はもどかしいですよね。でも翌週14日より順次全国公開されます。た・だ・し、11月より公開の劇場も多いので、公式サイトの公開劇場情報でチェックして下さいね。英国人名優の2人、コリン・ファースとジュード・ロウの初共演を楽しみに待ってみて下さい。傑作ですから…。
レビュー・感想・解説・評価
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パンフに“初共演”と書いてあってtoikunはビックリしちゃった。その初共演とはアカデミー賞俳優のコリン・ファースとアカデミー賞ノミニーのジュード・ロウの事だ。
少々、あらすじ欄との重複もありますが…。
37歳という若さで亡くなった作家トマス・ウルフと編集者マックス・パーキンズの友情を描くドラマであり、原作はA・スコット・バーグの『名編集者パーキンズ』(Amazonへのリンク)。
キャリアで初めて映画監督を務めたのはマイケル・グランデージ。プロダクション・ノートによれば、「アメリカン・ビューティー」などのサム・メンデス監督に、“劇場との兼業は難しい”とアドバイスを受けて、自分のホームグラウンドである演劇会のドンマー・ウエアハウスを去ったそうだ。グランデージは製作も兼ねる。
本作を世に出そうと17年間も暖め続けてきたのが製作も兼ねる、本作の脚本家ジョン・ローガンだ。原作者A・スコット・バーグから映画化権を取得後、15年間も手紙や資料などを読み尽くしたそうだ。そして原作者バーグからは最大限の賛辞が送られている。“この映画を見て、それは事実じゃないと思うことは一つもなかったよ”と。
付加情報となるが、名優レイフ・ファインズの初監督作品「英雄の証明」の脚本家はローガンであり、セリフは文語調そのままでシェイクスピア悲劇を現代に置き換えてしまったのに驚いたtoikun。
キャストを。
・W主演の内、静の主人公マックス・パーキンズを演じたのは「英国王のスピーチ」で念願のアカデミー主演男優賞を受賞したコリン・ファース。「恋愛小説家」のアカデミー賞女優ヘレン・ハントの劇場用長編映画初監督作品「いとしい人」でも光っていたし、2015年のスパイアクション「キングスマン」では非常に紳士なスパイが印象的だった。途中で死んじゃったけどどうやら続編にも出演するそうだ、科学技術で生き返るのかね?2017年に本国アメリカで公開予定。
・動の主人公トマス・ウルフに扮するのは「リプリー」と「コールドマウンテン」のオスカーノミニー、ジュード・ロウ。名作「探偵スルース」のリメイク「スルース」、「ホリデイ」や「クローサー」というロマンスも良し。スティーヴン・ソダーバーグの元にオールスターキャストが集まった「コンテイジョン」には正直納得していないtoikun。
・脚本を読みジョン・ローガンに出演を懇願したのが「めぐりあう時間たち」のアカデミー賞女優ニコール・キッドマン。本年は「プリティ・ウーマン」などのジュリア・ロバーツと初共演を果たしたミステリースリラー、「シークレット・アイズ」で魅せてくれた。「シャイニング」などのスタンリー・キューブリック監督の遺作となった「アイズ・ワイド・シャット」はセクシー&スリラー作品でありニコールも少しだけセクシーな衣装を着ていた。だが多分、彼女がキャリアで一番綺麗なのは「ビリー・バスゲイト」の“あのシーン”だったろう。他に「遙かなる大地へ」、「誘う女」など。
・パーキンズの妻を演じるのは「ユー・キャン・カウント・オン・ミー」と「愛についてのキンゼイ・レポート」、そして「マイ・ライフ、マイ・ファミリー」で3度アカデミー賞にノミネートしているローラ・リニー。今年は「ハドソン川の奇跡」が公開。ローラの出演作として実話を描いた「アメリカを売った男」、世界が戦慄した「真実の行方」など。
・F・スコット・フィッツジェラルドを演じるのは「L.A.コンフィデンシャル」でラッセル・クロウと共に売り出したが、途中差がついちゃったかな?なんて心配したガイ・ピアース。軍事法廷を舞台にしたスリラー「英雄の条件」、前述したが「英国王のスピーチ」ではコリン・ファース演じる王子の兄役。
・たった1つのシーンで強烈な印象を残すドミニク・ウェスト、ヘミングウェイに適役だった。「ハンニバル・ライジング」など。
・フィッツジェラルドの妻ゼルダ・フィッツジェラルドを演じるのはヴァネッサ・カービー。10月1日公開の尊厳死がテーマの映画「世界一キライなあなたに」では、なかなか複雑な元カノを演じている。本作でのセリフ…あったかな?確かトムの暴言に怖がるのみだったような。これからきっと主役級として活躍してくれるだろう。
さて。
エンドロールを観ていたら、文言は不確かだが、トマス・ウルフの財団への感謝や、マックス・パーキンズの家族への感謝が書かれていた。これはジョン・ローガンが研究のために彼らに協力を求めた時から始まったフレンドシップだろうと思う。
映画内容に関して。
脚本を読んで望んで出演したニコール・キッドマンだが、彼女の見せ場はなかった様に思う。本作はあくまで2人の男の映画だから。内容を知っているのに、目立たない役でも関わりたいと出演したニコールに女優魂・映画への愛を感じた。
前述したがジャズバーのシーン。編集者として仕切るパーキンズも不器用な人間なんだなぁとグリングリンしてしまったtoikun。とても良いシーンですよ!
パーキンズを知らなかったし、編集者の仕事内容すら知らなかったので、これから本を読む時に見えないアナタ達に感謝したいと思います。改めて、ありがとうございます。
最後に。マックスウェル・エヴァーツ・パーキンズがいなければ、トマス・ウルフはおろか、アーネスト・ヘミングウェイやF・スコット・フィッツジェラルドもいなかったのかもしれない。それがパーキンズという名編集者の業績だ!
2016/09/17
by toikun.
映画ファンの口コミ・レビュー
No.1 ともちん さん
レビュー日時:2017/03/12 08:15:31
評価:9点/10点満点中(最低点1点)
★★★★★★★★★☆
おはようございます( ̄▽ ̄)いい映画でした!コリンさんにピッタリの役ですよね(笑)帽子が最初から違和感丸出しでしたが・・生活するのに大変ですよね💦帽子に重みがあるんですね(笑)ロウさんの演技も良かったです♪
『映画ファン』さんのレビュー・評価
投稿日時:20??/??/?? 15:59:46
4点/10点満点中★★★★☆☆☆☆☆☆
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